世界がアべンジャーズを応援する理由はパーパスにある——ブランドに最も必要な「パーパス」の話
本連載にとって最も重要なキーワードの一つである「パーパス」について解説します。あなたのブランドが消費者、そして社員やパートナーたちに愛され、一貫した事業を提供し続けることができるかどうか——ブランドを成功させるための本当の鍵をぜひ理解してください。
ブランドが最も大切にしなければならないもの
FICC BX事業部の福岡です。今年は映画の当たり年、シリーズ10年越しの完結作『アベンジャーズ:エンドゲーム』から大作ラッシュで映画ファンとしては休まる間もありません。さて、早速本題ですが「ブランドにとって最も大切にしなければならないもの」って何でしょうか?
それは「パーパス」です。パーパスとは「ブランドが社会と共有する目的」であり、ブランドが善良な精神に基づき社会にどのような影響を与え、何を成し遂げたいのか?あらゆるブランドのアクションはそこからスタートします。
パーパスがブランドに与える力
しかし “世のため人のため” なんて本当にビジネスにつながるのでしょうか?元P&Gのグローバル・マーケティング責任者であったジム・ステンゲルは、消費者のロイヤルティと財務成績の両面で目覚ましい成長を遂げた50のブランドはどれも「パーパス」を確立したブランドであったと言います(ジム・ステンゲル『本当のブランド理念について語ろう 「志の高さ」を成長に変えた世界のトップ企業50』より)。
ではなぜパーパスを持ったブランドは成長を遂げることができるのでしょうか?最もわかりやすい理由はブランドに対して皆が共感できるようになることです。
あなたがとある会社の従業員だとします。もしその会社が共感できない理由で事業を行なっていた場合、あなたはその会社のために頑張りたいと思うでしょうか?当然「なんでこんな人のために働かなきゃいけないんだろ…」と給料分以上働きたいとは到底思わないでしょう。
共感できないブランドのためにあなたはがんばりたいと思うでしょうか?従業員ならまだ拘束力がありますから出世を理由にがんばる理由も出てくるでしょう。でもその下請けや関係会社の社員だったら?さらに末端の消費者であれば?共感できないブランドのために何かしてあげたいと思うでしょうか?
ブランドに関わるあらゆる人の力によってブランドは成長します。であればあらゆるブランドは内外問わず多くの人に共感を持って愛され続けるために「社会に対する善良さ」と「共感に値する社会への関わり方」、つまりパーパスを表明する必要があるのです。
世界を動かす「アベンジャーズ」のパーパス
ではどのようなパーパスがいいのか?わかりやすい例があります。マーベル映画「アベンジャーズ」のヒーローたちが10年もの間支持されてきた理由もパーパスにあると考えています。
私たちはアイアンマンやキャプテン・アメリカが私たちにはない力を持っているから支持しているのでしょうか?そうではないはずです。ヒーローたちの持つ「人々を傷つける存在や差別のような歪んだ常識と戦い、良い世界へと導こうとする意思」に対して共感し、映画の枠を超えて観客は彼らを支持してきたのです。
しかし世界を救うような崇高な目標こそがパーパスなのでしょうか?それは少し違います。スパイダーマンは作中で「親愛なる隣人」とも呼ばれるように、私たちと同じ人間として当たり前のようなことに、悩み、苦しむ存在だからこそ、私たち観客は彼らのパーパスを信頼することができるのです。権力を志向するのではなく、顧客の目線で社会に向き合わなければ皆の共感を得ることはできないでしょう。
パーパスを共有しているのは消費者だけではありません。今年6月、アイアンマン(トニー・スターク)を演じた俳優ロバート・ダウニーJr.はロボット工学とナノテクノロジーを利用して地球環境を改善する組織「Footprint Coalition」を立ち上げました。映画とは無関係な、彼の善意による社会的なプロジェクトです。
彼のまるで映画からそのまま抜け出したかのような行動は、ブランドのパーパスが彼に乗り移ったことを意味しています。優れたパーパスは多くの支持者を作り出し、社会に直接影響を及ぼしすらします。そしてブランドはパーパスを架け橋にして皆が誇りに思えるほどに強固なものになっていくのです。
あらゆるブランドにパーパスはある
アベンジャーズほどではなくとも、世のブランドは個人の力を超えた多様な力を持っています。ではその力を何のために使うべきでしょうか?今すぐにパーパスを抱くことは難しいかもしれませんが、アイアンマンことトニー・スタークだって最初は利己的な経営者でした。数々の体験と学びがパーパスを与え、彼を”ただの人”から”アイアンマン”に変えたのです。
「トニー・スタークにも心がある」
どんなブランドにもきっと、心があるはずです。だからこそ、パーパスからブランドを始めましょう!
FICC BX事業部のお知らせ
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