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初めての鬼①/#毎週ショートショートnote

鬼まんじゅうは角切りのさつまいもを小麦粉と砂糖を混ぜた生地に入れ、蒸した菓子である。老舗「月鬼堂」では生き残りをかけ、創業110年以来初めての商品開発に着手する事となった。

「口に入れると芋が弾けるのはどうでしょう」

さっそくドンパッチ開発者に教えを請い、超炭酸機材が持ち込まれた。開発段階だからと、絶対に食品に入れてはいけない〇〇といった劇薬も用意された。できた試作品をまずは新入りが口に含んだ。恐る恐る唾液を沁み込ませる。

「芋の…香りはほんのり残ってます」
「よし。そのまま少し噛んでみろ」

青かった彼の顔が徐々に赤くなり、風船のように膨らんでくる。慌てて吐き出させようとするも口が開かない。顔はどんどん膨らみ、作業場の半分に拡がった。逃げ出す他の者。やがて頭から無数の光線が迸り出た。

「ひでぶっ」

北斗の拳の断末魔の叫びと同時に破裂し、血肉片が室内に飛び散った。
死亡事故を受け、初めての鬼まんじゅう開発計画は中止となった。


(408文字)

たらはかに(田原にか)様の企画に参加させていただきました。