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父とテレビ

我が家にはテレビがないので
両親がうちに来る時は
7インチの極小ポータブルテレビを
持参してきます

今回は、大みそかに放送される
WBCの特集を見たかったようです

父は16歳で
大阪の松下電工のテレビ学校に入学し
卒業後、室蘭市という街で
ナショナルの家電屋をはじめました

ちょうど時代は昭和30年代
室蘭市は鉄鋼産業と良好な港の追い風を受け
何をしても成功できる街と言われ
奇跡の発展を成し遂げていました

父は戦後の侘しい暮らしを根性に変え
この室蘭市で勝負に出たのです

当時、テレビが売れてくれて
本当に助けられた、と話します

父にとって、車とテレビは
ステータスでした

まさに、日本の産業と
人生がリンクしていたのです

なので、今回楽しみしていたWBCの特番を
7インチの極小ポータブルテレビで見るのは
あまりにも哀れなので
その倍の14インチのポータブルテレビを
買ってプレゼントすることにしたのでした

案の定
うちでテレビが見れるとあって大喜び
子どものように箱から取り出してました

がしかし

いざつけてみると
チャンネルが1つしか
入らないではありませんか

うちのマンションの作りなのか
備え付けのアンテナが
役に立たないのです

がしかし

それで我慢する父ではありません
なんか線ないか?
と、俺に言ってきました

ちょうど余分なパソコンの電源コードがあって
それを渡すと楽しそうに作業を始めたのでした

ね、ねぇ
それパソコンの電源コードなんよ

途中、何度も何度も言いましたが
父は、知ってるってと言って
俺を突っぱねます

数分後、作業が終わると

なんじゃなんじゃ、なにやった?
(笑)


よし完了!

舌をペロッと出した父が
テレビの電源をONしました

やっちまったなぁ(笑)


なんと、室内アンテナにつながってる

見事、すべてのチャンネルが入るように
なってるではありませんか

ちょっと画像が荒くなるけど
まぁ十分だろ

と、言いながら
WBCのチャンネルが入るかどうか
確認しています

さすが元祖内線屋!と
感動してしまいました

そうだそうだ
この人たちは、無いものを在るものにしてきた
経済成長期ど真ん中の族

80過ぎて、年寄り扱いしてましたが
我々の土台を作ってくれた
物づくりの天才だったのです

うっかり忘れてました

そのあと、偶然はいっていた番組
探偵ナイトスクープで

俺が大爆笑

ユリアンが依頼者の
開かないハズのサプリの瓶の蓋を
一発で開けてしまうところで
笑い転げて死にそうになりました

テレビをバカにしてましたが
父の情熱と探偵ナイトスクープによって
改めて、その価値を思い直すのでした

カキのガンガン焼きでも食べますか
昼過ぎに、両親つれて初詣
激混みでした
氏神様か住う新琴似神社
田舎神社なのに、謎に大人気です

その後に石川県の大地震
テレビの速報を
見守ることになるのです

心より、お見舞い申し上げます

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