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この世に潜む多くの”交渉”とは

おはようございます。

今日のテーマは「交渉」。
現在僕が務めている企業でも交渉学に基づいた研修を実施していますが、
この世には数多くの交渉が存在していること自体を知らない方も多いです。

そこで今回は「交渉」とはなにか、
なぜ、「交渉力」を高める必要があるのか、
ということをテーマにお話できればと思います。

1.そもそも「交渉」とは何か?

「交渉」と聞くとどんなイメージがみなさまにはありますか?
僕が最初に「交渉」という言葉を聞いたイメージは、
「スーツばりばり着込んだ、オールバックの外国人が、国と国の存亡を賭けた取引を行う」
というシーンでした。イメージわかりますか?
よく外国の映画でありますよね。緊迫した空気、迫り来るタイムリミット、相手国には自国を攻撃する準備が整っている。。。
主人公の一声で戦争が始まるか、戦争を回避できるかが決まる・・・
13Daysの見過ぎですかね。

実は「交渉」というものは、もっと身近なものです。
例えば旅行の行き先を友達と決める、明日何を食べにいくかを決める、
お客様から言われた納期をもうちょっと伸ばしてもらう、、、
などなど。

「交渉学」では「2名以上の意思決定の場」を「交渉」と呼んでいます。

2.交渉力はなぜ必要か?

ではなぜ私たちは交渉力が必要だと思いますか?

僕は比較的、性善説を信じるタイプです。
人は生来より、人と争いたくない。愛する隣人を守りたい。
でも一方で、勝負には必ず勝ちたい、騙されるくらいなら騙したい。
そう思う人も一定数いるのが現実です。

でもこの論議は、全く意味をなしません。
そもそも2名以上の意思決定で、互いがハッピーになれる道は確かに存在します。

交渉力を高めるということは、
「効率よく相手に勝つこと」ではありません。
「互いにハッピーになれる道を探すスキルを身に付けること」
これが交渉力を身に付ける重要なポイントになります。

3.事前準備が8割

ではどのようにしたら「交渉力」は身につくのか。

この交渉力をもし、
「明日から変わる!」
「すぐ身につけられる!」
という文言をみたら怪しいと思った方がいいです。

交渉力には確かな理論が存在します。
ですが、それは「交渉テクニック」のような簡単なものではありません。
その概念に沿って、意識的に交渉経験を重ね、自身の引き出しを増やすことが重要です。

ですが、その”観点”だけなら身に付けることはすぐにできます。
全てをお伝えするにはページ数が足りないので、1つだけご紹介します。

それは交渉の事前準備における1つの鉄則。
「BATNA(バトナ)」を知ることです。

これは日本語に置き換えると、
「交渉不成立時に、最もよい選択肢」
のこと。
ひらたく言えば、その交渉がダメだったときの次の選択肢です。

この選択肢を持っているかどうか、または強いか弱いかによって、
交渉の強弱が変わると言われています。

4.交渉において超重要な「BATNA」の本質

先程、さらっとBATNAの強弱で交渉の強弱が変わるとご説明しましたが、
それはどういうことをご説明します。

例えば、あなたはパソコンを買い換えたい。
そこで休日にあなたはY田電気を訪れました。
予算は20万円。でもできるだけ安くパソコンを手にいれたい。
Y田電気の売り文句は、
「他店よりも安い!」

ここで2つのパターンを用意します。

1つめのパターンは、
「他店のZカメラのチラシを持参。お目当てのパソコンが18万円で売っていると言う情報を得ている。」

2つめのパターンは、
「友達に未使用のお目当てのパソコンを15万円でもらえるが、箱や説明書はついていない。」

このご時世なので説明書はなくても困りませんが、
箱があるといつか売りに出す際に有利かもしれません。

こんな状況だった場合、どちらが有利に交渉を進めることができるでしょうか。

この場合、パターン1のBATNAは「他店で18万円で買うこと」。
パターン2のBATNAは「友達から15万円で買うこと」。

単純に価格交渉のみを行う場合には、
パターン2の方が、有利に、もしくは心に余裕を持って進めることが可能だと思いませんか?

5.ここからが奥が深い「BATNA」

しかしです。
それだけでは話が終わりません。

先程の例では本当にパターン2のほうが安く買うことができたのでしょうか?

・この先3年間使用した場合、箱付きと箱なしでは売値はいくらになるか
・店舗から買うことで保証がついてくるのではないか、いくら保証されるのか
・他店でも交渉したらもっと交渉できたとしたらいくらまで値下げが可能なのか

このように、BATNAの強弱を把握するということは、
これから交渉に臨むにあたって知るべき情報が類推できるのです。

これは例えば彼女と旅行の行き先を決めるのも同じ。
男性が沖縄、彼女が北海道に行きたい。季節は6月。
この場合、お互いの行きたい場所のプレゼンだけでは納得しそうにもないですよね。

ですが、この時に北海道以外だったらどこがありうるのか、
それによって彼女は何を望んでいるのか、妥協点や、譲れるポイントはどこなのか、を知ることができるのです。

BATNAを交渉時に意識するだけでも、
営業や社内交渉に臨む傾聴姿勢が大きく変わっていきます。
みなさんも意識してみてください。

・・・・実はBATNAは自分にも存在しており、BATNAを作りだすことや、相手のBATNAを消滅させる、、、なんていうのも交渉学の深いところですが、それはまたおいおい。。。

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