ウクライナのボルシチと平和の願い
ドイツは寒い日が続いています。子供が「ビーツを食べたい!」と言出だし、「そうそう、ボルシチのシーズンだ」と。今シーズンの初めてのボルシチを作りました。体の芯から温まるボルシチには春までお世話になります。ボルシチを作りながら、なんで我が家の定番になったのか、平和への願いを込めて書きたいと思いました。
2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。私はドイツで安全に暮らしていたにもかかわらず、コロナウィルスに感染して自宅療養する中、ニュースを見て、倒れそうになったのを覚えています。春になり、私が住んでいる州の文化芸術団体が、ウクライナと関連する文化や芸術に関わるプロジェクトを公募していることを知りました。
KDFS: Kulturfonds Sachsen-Ukraine
私自身アーティストとして活動していて、あと、ご飯を作るのも食べるのも大好きなんですよね。胃袋の赤い糸的な感じで、胃袋からつながれる何かをできないかと考え始めて「ウクライナ映画と食の夕べ」という企画を提案しました。私が住む街のウクライナの人たちと料理をして、みんなでウクライナ料理を食べながらウクライナ映画を鑑賞し、集まった寄付を人道支援のプロジェクトに送金しようというものです。地域で配られているフリーマガジンの電子版でもとりあげてもらいました。
この映画会は2回開催したのですが、どちらの回でも料理上手でドイツでも調理の仕事をしたいというウクライナのお母さんから習ったボルシチを出しました。初回はちょうど秋の終わりの今頃開催し、去年もこの時期にボルシチを作って懐かしく思い、早く平和な日々が戻るように願ったのを覚えています。
教えてもらったレシピはHive Blogで書いているSoup Storiesの1ストーリーとして投稿しました。ぜひ作ってみてください。冬の寒さの厳しい国のスープだけあって、根菜の優しい味わいで体が芯から温まります。
Soup Stories #10: Ukrainian Borscht / ウクライナのボルシチ
今年も平和を願いながらボルシチを作りました。煮込む前には野菜をひまわり油でしっかり炒めるのですが、ボトルの明るく力強いひまわりを見て、なんだか悲しい気分になりました。
夏の終わりに映画界で上映する映画の権利の交渉を手伝ってくれたウクライナ人アーティストと一緒に展示をした時に、ドイツでの風当たりがきついという話を耳にし、同じ移民としてとても悲しかったです。
ドイツも表面上の安全や平和は保たれているものの、不動産の賃貸や売値がびっくりするような上がり方をしたり、街中や公共交通、道路での酷いマナーを目にしたり、なんとなくみんながストレスを溜めてギスギスしているように感じます。
私が年をとってそう感じるだけかもしれませんが、平和な日々が戻ってくることを願うばかりです。ゆっくり、ゆったり、自分の持つものに感謝しながら、平和の輪を広げていけたらと思います。またどこかでボルシチを作ってみんなで食べたいな。
ウクライナの食については、以前お菓子について書いたので、こちらの記事もぜひ。
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