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完成までに何年も時間がかかることもある

7年前に木製のおにぎりメーカーをデザインして、その後ずっと生産して販売しているのですが、パッケージがありませんでした。「パッケージを作ってプロダクトとして完成させたいな」「販路が広げられるだろうな」と長らく考えていて、ようやくパッケージが完成しました。「7年ってどれだけ!」と笑っちゃいますよね。

実際、気合を入れて、パッケージの材質や形状を考えて、それに合わせてデータを作るのにかかったのは、今月の2-3週間だけで、作業していた時間はそれよりも短いです。

まずは材質と形状を決めて・・・
(脱プラなドイツでできれば紙だけで作りたい!)
紙に合わせてデータを作っていきました

時代の流れは、仕事命な時代を経て、スローな時代に移りつつあるものの、プログラムやロボット、AIでいろいろなことを自動化できるようになり、効率重視の流れは続く気がします。そして、私はコンピューター業界にも身を置いていて、プログラムを書いたり使ったり、機械の力を借りて自動化するのは嫌いではありませんというか好きです。

でも、おにぎりメーカーの完成まで7年かかるのも悪くないと思っています。時間がかかることってあるのです。そう知っておくと気楽です。

私は最初にコンピューターのプログラミングが心底わかったと思えて、自分の手ですらすら書けるようになるまで、6年ほどかかりました。ドイツに来て初めて作ったプロダクトは2011年にアイディアが生まれて、2015年にテレビで紹介してかなりの数が売れるまでに4年かかりました。

気乗りしない時には自分に負荷をかけすぎず、自分とアイディアをじっくり寝かせて時を待つのも一つの手です。いい時が来たら、気合を入れて完成させられたり、どこかから声がかかったりして、次のステージに移れます。

ひとつ注意したいのが、長く時間をかけるのは良いものの、ずっと一人で完璧を目指すのはあまりおすすめできません。適宜、家族や友人、お客さんにフィードバックをもらうのは大事だと思います。

もうひとつ、ゆっくり待ってきちんと仕上げるには、待ち時間にご飯を食べて生きていくためのお金も必要です。人に喜んでもらえる・人の役に立つ技術を身につけておくとよいと思います。私の場合は、プログラミング、執筆、翻訳・校正、料理、園芸などです。収入を得る術があると、余裕を持って納得する形でプロダクトを仕上げられるし、押し売りしようともしません。収入の道さえあれば「スタートアップは5年で9割滅びる」の9割側に入らなくていいのです。大成功する保証はないけれど。

これはあくまで私のケースで、多分めちゃくちゃスローだと思います。せっぱつまってがんばるタイプの人には向かないかもしれません。

それにしてもようやく完成、本当にうれしいです。時間をかけただけにじわじわと。

できあがったばかりの7年前の懐かしい写真

木工所に追加生産を依頼して、できあがったら、日本食のレストラン、日本の食品・雑貨を扱っているお店やデザインショップに営業をして販路を拡大しようと思います。

ゆっくりじっくり、みなさん良い一日を!

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