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「60歳からの知っておくべき経済学」を読んで

 高橋洋一著「「60歳からの知っておくべき経済学」(発行所:㈱扶桑社)を読んだ。

https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594097301

 日本は、超少子高齢化社会。本書のような高齢者向けの本は、ますます増えていくんだろうな。 それに若い人たちは電子書籍に移行しているし。
まぁ、書店でのんびり本を物色するなんて、年寄の特権なのかも知れない。
でも、どうせなら、字も大きくして、行間を空けてくれるといいのに。
 世界中で高齢化が進んでいるので、高齢者向けサービスの開発は、世界をマーケットにした事業化の契機になるかも。

 著者の高橋洋一氏は、小泉政権時代の知恵袋の一人として活躍した。
特に「埋蔵金」は、2008年の流行語にも選ばれるほどバズった。政府の至る所、余っているというのか、使いきれてないお金があるので、これをちょっとだけ使いましょう、という話。
 まぁ、最後の一円まで予算どおりに使うなんて無理な話で、そうであるなら、細かく細分化された行政の至る所で、少しずつ余りは出てくる。それを集めれば、それなりのお金になるのは当然。中には、有事に備えた隠し玉的なものもあるのかも知れない。
だから、それを使うなんて!って感じで、快く思えない輩もいるはず。
 著者は財務省出身者なのに、埋蔵金ハンターになって、大丈夫?

 著者の書籍は何冊も読んでいるし、YouTubeも時々見てる。 
書いてあることも、言ってることも、知ってしまえば常識的な話。
だけど、「なるほどねぇ。へぇ、そうだったんだ」と合点がいくことばかりで面白かった。

人生のリスクへの備え・・・知っておいて損はない

 40数年働き、現役を引退した今だからこそ、大きな声で言いたい。
「もっと若い頃、本書に示された日本の世の摂理(原理原則のようなもの)を知っていれば、もっと気楽な人生を送れただろう」
現役諸氏も知っておいた方がイイと思う。
 
 例えば、誰であれ冠婚葬祭、特に葬儀は突然訪れる悔やみごと。
悲しみと共に、そこには様々な有形無形の作法があって、間違えると批難ごうごう。というか、まだまだ子供だね、って言われそう。
 だから、親兄弟や先輩諸氏に聞きながら、粗相のないように振舞っているはず。 今なら、Webで知ったり、SNSに聞く方が多いか。

 同様に、確定申告が必要なのにしなかったとか、親の遺産を相続したのに、相続税を払ってなかった、とか、洒落にならないことは、特別なことではなく、身の回りにたくさんある。
 そのつど、焦って調べて、学んで対処しているが、いずれも断片的で、正直、何かどうやら、良く分かっていないことが多い。少なくとも、私は必要のつど、最小限の勉強してたので、全体像がぼんやりしてた。

 でもそれは、何の備えもない人生のようで、リスクに脆弱な生き方だ。
無事に生きて来れたのは、ホントに運が良かったんだなぁ。

 本書は、日本の財政や国家の仕組みや、税や社会保障など、基礎的なことを網羅的に学べる場でもあるので、わたしのような還暦過ぎの爺さんだけでなく、現役諸氏であっても、勉強になるので、読んでおいて損はないと思う。 本書は「60歳から」になってるけど、若い人が読んでもいいし、斜め読みでも、飛ばし読みでもいいと思う。 
 税や社会保障、株式投資等々のお金の勉強だけなら、FP(フィナンシャルプランナー)の勉強でもいいかも知れない。 中田敦彦氏(芸人)のYouTube大学とか、両先学長のリベラルアーツ大学とか、面白いかも。

いつになっても、学び続ける

 本書は、序章(学び直しの姿勢)が気に入った。

 『「思い込み」を捨てることから学問は始まる』と諭してくれている。
まぁ、現実には、歳を重ねるごとに、思い込みが強くなり、事実を歪んでみてしまいがち。自戒しなきゃ、と思いつつも、ついつい自分の感情が先走って、事態を見誤る。
世の中は目に見えない程度であっても、確実に進化している。つまり、昨日と今日は繋がってるけど、違う。だから、極論すればいつだって、最新の情報を集めて、学び直さなきゃ、時代遅れになる
 人間いくつになっても、学び続ける姿勢が欠かせない。逆に言えば、新しい事を学べなくなってきたら、進化に取り残された存在、ということかも。

 WebやSNSがこれほどまでに普及すると、情報収集も容易。
だけど、同じくらいフェイクも多い。ウッカリすると、コロッと騙されてしまう。
 
 往々、自分の感性と一致する情報に飛びつき勝ち。「やっぱり、そう思ってた」と。でも、これは危ない。
 私心を無くして、幅広くリサーチする。感性と一致する時は「騙されるな」と思い、過去の経験と同じなら「時代は進化してるはず」と思う。アマノジャクみたいだけど、幅広く調べることがいい。

 もちろん、集めた情報を精査して、考え抜いた結果なら、感情的判断でもいいし、理性的判断だっていい。
決めたのは自分だから、自分で自分の責任を担うだけのこと。
本書は、そんな生き方のための第一歩になり得るものだ。

                          (敬称略)

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