【読書】ピエール・ルメートル/悲しみのイレーヌ
今更カミーユですみません
出版されてから結構経つ本作ですがこれまでなぜか手が出ませんでした。でも「その女アレックス」は数年前に読んで面白かったことを明確に覚えています。海外推理小説大好きですが、老眼進む昨今読書ペースが落ちてなかなか手が出なかった本作ですが、スマホやテレビを遅くまで見ることが目に悪いということで、寝る前に本を読むことを最近また意識して復活しており、ちょっとペースが上がってきたので、その評判を確かめるべくようやく手にしました。
エルロイ万歳
私はジェイムズ・エルロイの大ファンです。翻訳された本は全部買って読みました。映画もブラックダリア、LAコンフィデンシャルをバッチリ見ました。そして読み始めて最初の事件ですぐにピンときたのです。これ、まんまブラックダリアやん、と。
そしてカミーユが片っ端からあげた本、まさに私が読んだ本ばかりなんでめちゃくちゃ嬉しくなりました。
プロットはセブン?
小説のプロットはタイトル、そしてその女アレックスでも既に示唆されていたのである程度読めていましたが、犯人像や流れが後味最悪だったデビッドフィンチャー監督作の「セブン」みたいなんですね。
疾走感はハリウッド
でもそうしたプロットはわかっているのですが、文章から伝わってくるのは疾走感です。めちゃくちゃストーリーが、登場人物が走っているのですよ。カミーユ、ルイ、ルグエン、アルマン、マレヴァル、みんなが活き活きと動いているのが伝わります。カミーユのシリーズ、映画化してほしいですね。
名作へのオマージュがすぎる
訳者あとがきでも書かれていましたがピエール・ルメートルさんは本作で取り上げられていた様な小説が本当に好きなんだろうなぁ、と思いました。それら名作へのオマージュに溢れてて、最高すぎます。
そして、劇中劇じゃないですが、これって読んでいる人が感じることが中に書かれているかのような効果があり、実に面白いです。
さてカミーユが出てくるのはあと二作。母なるロージーと傷だらけのカミーユ。また読んだら紹介したいと思います。
おすすめ度:★★★★★(私的にはその女アレックスよりもこちらの方が面白いと思いました)