An den Mond 月に寄せて (D.259)
今日も、このNoteを開いてくださって、ありがとうございます☺️✨
今回は「An den Mond(月に寄せて)」をご紹介します。
フランツ・ペーター・シューベルト(1797年〜1828年)は、オーストリアの作曲家。歌曲王と言えるほど、膨大な数の歌曲を作曲しました。そんな彼は、月についての歌曲も多く書いており、実は「An den Mond」という題名の曲も複数ある上、同じ歌詞にも二度作曲したりしています。
今日ご紹介するのは、作品番号D. 259のAn den Mondです。
そして、私が一番好きなドイツ歌曲の1つです🤗
詩は、文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ (1749〜1832) 。
さっそく歌詞を見てみましょう。
この曲では、題名にもなっている「 Mond(月)」という単語は一度も出てきませんが、月(Du/あなた)へ語りかけるように書かれています。
曲は、4番まで同じメロディーが続く、有節歌曲という形式で作曲されています。その音楽のシンプルさと、詩のもつ静かな内なる世界観の融合が美しく、心穏やかな世界へと誘ってくれます。
月の光が、世間で疲れた「わたし」を癒し、「わたし」は心の中の「もう一人のわたし」を唯一の友として静かに生きる幸せを語っています。
私は最初、あるおじいさんが、ひとりで余生を心穏やかに人里離れて送っているのを想像しました。人生で、いろんな良いことも辛いこともあった。大事な人たちが亡くなったこともあったでしょう。そんな彼がたどり着いた境地が、ここかな、と。でも、心の中に「私という友」を持って穏やかに生きることは、年齢に関係なく可能とも感じました。どこか私の知っている感覚だったからです。
実際には、私たちは学校に行ったり、働いたり、家族や友人関係で悩むことがあったり、いろんな感情に振り回されることも多い。まったく悲しみも、怒りも、憎しみもなく生きることは不可能のように思えることもあります。それが無くならない限りは、人間関係の悩みはずっとあるし、大きな規模でいえば、差別や紛争が無くならないのだろうと思います。
しかし、それは可能であって欲しい、と思っています。そして、感情があるからこそ、苦しくも生きる喜びがあるし、こうして素晴らしい詩や音楽も生まれてきたのだ、と思います。
©︎Milan Lalinský スロバキアで3番目に高い山、Kriváň(クリヴァーニュ)
あなたの日常が、少しでも穏やかで幸せに満ちたものでありますように . . .✨
動画の画質があまり良くなくて申し訳ないのですが、もしよかったらお聴きください。
これをきっかけに、他の往年の歌手たちが歌われてきた音源を検索してみるのも楽しいかもしれません。私は、ヘルマン・プライ Hermann Preyというバリトン歌手の音源が味わい深くて好きです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました☺️