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常に揺れ動く「感情」は邪魔者か、自分らしさの象徴か。

「心から涙を流すことを知らない者は、本当に笑うことも知らない」

ビジネスの現場において、利益をあげるために効率化や合理性が重要視されてきたこれまでから、もっと人間性を大切にすること、心のつながりを求めることが増え、欲求や弱さも含めて常に揺れ動く「人間の感情」は、“Emotion Design”とか“Cusomer Emotion”などと言われ、最近特に経営資源として注目を浴びつつある。

「人生を祝う」という行為は、「感情」と切っても切れない関係にあって、今日はこの「感情」について、私なりに書いてみようと思う。

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まずはじめに。

私がやりたいことは、【アナログな「感情」をビジネスにのせて社会に届ける】こと。

「この人生でよかった」と泣けるような瞬間を、オーダーメイドウェディングと、法人の節目を祝うコンサル事業で提供している。

これからの時代、「人間にしかできないこと」を考えると、この「感情」に敏感で、「感情」を共に味わえることではないかと思う。

しかし。
この「感情」というものはとても繊細で、とても頑固だ。思いもよらないところで涙が出たり、頭ではわかっているのに心に湧き上がるのは拒否反応だったり。簡単に扱えないほど繊細で、人前で出すのは恥ずかしくて、頑として押し殺している人も少なくない。

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「感情=人間らしさ」と定義してみると、世の中、人間らしくあることを否定するシーンがあまりに多い。
喜怒哀楽、自然に起こる感情を拒絶するのはよくない。特に怒り、悲しい、悔しい、嫉妬などを押し込め続けてると不感症になってしまう。

感情を引き出し、感情を扱い、感情導線を設計する。

セレブレーションプロデューサーとは、そういう仕事。

心の奥にあるその人の素直な「感情」を引き出すこと、そして人間性を表現することにこだわってきた。誰かの感情に触れることで、自分の感情が動き、緻密に設計された導線に誘われて、感情が場に溢れる。だんだん心が解けて、人間らしさを取り戻していくような、そんな時間を生み出す。

時にそれはあったかくて、
時にそれは心が震えるほど刺激的で、
人生を変えるほどの景色になることもある。

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これは2017年にビズリーチさんの社員総会をプロデュースさせて頂いた時の様子。

伝える側の本気で人の心が揺さぶられて、涙して、「頑張ってきてよかった」「この仲間と一緒に生きていて嬉しい」そんな感情が充満するその景色に触れるだけで涙が止まらなくなる。嬉しくて、嬉しくて、全員をハグしたくなったりする。

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でも、その景色は勝手には訪れない。
信頼する人のみが集う少人数の場なら、誰かが感情を表せば影響されたりもするけれど、数十人、数百人が集う場において、偶然感動の渦が巻き起こったり、皆が涙するようなシーンが生まれることはほとんどない。

全てに意図があるから、初めて人の感情は引き出されるのだ。

感情設計とは、感情を操るのではなく、
本来ある感情を素直に表出させる為のストーリーづくりのこと。

それはそれは大変な気合と根性と愛情が必要。

考えに考えに考え尽くして準備をするが、感情は生物。当日の空気感や参加者の温度を感じて、ミリ単位で音や照明を調整することも、思い切って大胆に進行を変えるすることもしょっちゅうだ。それくらい予定調和では、人生を祝う瞬間は作れない。

1)感情を引き出す(ヒアリング)
2)感情を扱う(コンセプト、プロセス)
3)感情導線を設計する(空気感、温度、ストーリー)

例えば、周年イベントでの社史の共有一つとっても明確に感情導線を設計している。

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これはCRAZY6周年の社員総会でビジョン変更に伴い、有志数名でこれまでの歴史を全員で味わうヒストリーギャラリーを作った時のこと。

それはただ社史を全員が知ることが目的ではなく、後に控える新ビジョン発表のセットアップであり、全員の気持ちを一つにする共通体験の更新と置いた。

この時は「CRAZY」という存在を擬人化し、これまでの歴史をCRAZYくんの誕生からこれまでの「感情」で表現した。


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全員の誕生日を並べ、目で追っていくと一番最後にCRAZYが誕生する。

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入社年次が若い順に一人一人名前を呼びギャラリーにご案内。薄暗い会場の中を一人で歩みを進め、じっくりとCRAZYくんの感情を疑似体験する。

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写真や映像を写すツールは、全社員の相棒とも言えるPCを使った。一見冷たく感じるデジタルギャラリーには、そこに存在する全員からの息づかいと想いが滲み出るように。

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周年イベントで社史を全員に共有することはよくある。周年イベントは、今までの歴史を体験することにより、入った年度に関わらず過去をきちんと追体験して、同じ位置から走り出すことができる。

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でも断絶された瞬間に人が共感することは難しく、時間軸のあるストーリーによって、共感し、体験し、コミットメントできるのだ。

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社史を冊子にしたり、映像にしたりはよくあるが、そこに全社員の感情が表出するストーリーは設計されているだろうか?ただ情報として伝えるだけになっていないだろうか?

共感は勝手に生まれるものじゃない。
ちゃんと感情を揺さぶる設計がされているのだ。

もちろん繊細な「感情」が場の空気や環境によって消えてしまわないように、丁寧なセットアップは不可欠。

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「心から涙を流すことを知らない者は、本当に笑うことも知らない」

ちゃんと泣けてますか?
腹の底から笑ってますか?
心は動いていますか?

まずは一人ひとりの素直な感情に気づくこと。
そして誰よりも創り手が感情に敏感で、感情豊かで、感情を中心に置いてないと、心を揺さぶるようなイベントは作れないと思う。

「感情」は邪魔なものではなく、自分らしさの象徴。そう思えるか否か。

それが人生を祝うことのはじまりだと、私は思っている。


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