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ぼたん鍋
年末にいただいた「脂の乗った冬の猪肉」を使って、ぼたん鍋をしました。去年8月に獣の解体を始める前、私が猪肉と聞いて想像できた料理は実は一つしかありませんでした。それが「ぼたん鍋」です。お肉を送った友人、知人も同じで、猪肉を送ると伝えると、まず開口一番に「ぼたん鍋」という単語が出てくる。ただ、実際に害獣の解体をやるようになると、実は「ぼたん鍋」を食べる機会ってほとんどないことが分かってきました。第一に、害獣として駆除されてくる猪(夏の猪)は脂が全く乗っていないので、ぼたん鍋には向いていない。それに師匠からも「味噌で煮込まなくてはいけないような臭い肉じゃないし、そんなに強い味を付けたらむしろ猪の良さが消えてしまってもったいない。しゃぶしゃぶがええぞ」と言われていました。それでこれまで一度も「ぼたん鍋」を食べたことがなかったのですが(子どもの頃に食べていたのは猪鍋ではなく、どうも猪のすき焼きだったらしいので)、せっかく脂の乗った猪肉も手に入ったのだし、記念に、というか一度くらいは「ぼたん鍋」なるものを食べてみることにしました。もちろん師匠に断ってから食べました。「オススメじゃないのは分かってるけど、いっぺんは食べてみたいから」と。
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