中村安希

(作家/旅人) 著書に『インパラの朝』『リオとタケル』『N女の研究』『もてなしとごちそう』ほか。

中村安希

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マガジン

  • らくがき(定期購読マガジン)

    身の回りの出来事や思いついたこと、読み終えた本の感想などを書いていきます。毎月最低1回、できれば数回更新します。購読期間中はマガジン内のすべての記事をご覧いただけます。

  • 就職氷河期世代 〜絶望の世代はどこへ向かうのか〜

    就職氷河期世代とは何か?中年期を迎えた絶望の世代が、これからをどう生き、死んでいくかについて考えました。*本マガジンは、旧題『Ice Age Generation』として『らくがき帳』内に書き溜めてきた記事をまとめたものです。

  • 短編集

    読み切り作品用のファイルです。

  • ジビエ連絡帳

    近所で駆除された鹿や猪141頭を解体し、お肉を食べる(食べてもらう)活動を続けてきました。ジビエ肉(主に鹿肉)をささっと調理し、おいしく食べるために挑戦したレシピなど、肉の取扱いに関する情報共有を目的としたマガジンです。

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最近の記事

【独身成仏2】〜流れに逆らわない死のあり方〜

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    • 【ペット産業と保護犬をめぐる闇(後編)】

      先住犬が5歳になった2023年夏ごろ、2匹目(我が家の6代目)を検討し始めたものの、コロナというペット特需を経て保護犬の世界が一変していたことは【ペット産業と保護犬をめぐる闇(前編)】に書いた。それから約1年。2匹目の譲渡が決まるまでの体験を交えつつ、犬たちを取り巻く世界の歪みを書き記しておきたい。 2匹目の受け入れを考え始めた頃、私の周りでは同じように2匹目を考えている人や初めての犬を迎えようとしている人が複数人いた。結果として、私が2匹目を迎えるまでの1年の間に、保護犬

      • すべてはあまりに瑣末なこと (雑感)

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        • 【ペット産業と保護犬をめぐる闇(前編)】

          今夏、我が家には野犬のお母さんから生まれたという保護犬が1匹やってきた。徳島だったか香川だったか、いずれにせよ野犬の多い地域で捕獲され、しばらくは四国の施設にいたそうだが生後2ヶ月を過ぎても譲渡先が決まっていなかったことから、より譲渡確率の高い大阪の保護団体に移ってきたところだった。そこから正式譲渡に至るまでのプロセスは、別の記事(読書メモ)内でも少し触れた通り、なかなかに骨の折れるものだった。 先住犬(5代目の雑種犬)が5歳になった頃から2匹目の検討を始めて約一年。現在の

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        記事

          【森の家12】〜田舎で暮らそうとすることの困難について〜

          地方創生という言葉が世に広まって10年が経った。先月、自民党の総裁に選ばれた石破総理は、初代の地方創生担当大臣。今後は国のトップとして地方創生に力を入れていくのかもしれない。ただ、一つ疑問にも思う。ここで言う地方創生の「地方」とは何を指し、「創生」とはどのようなことを意味しているのか。 私自身は地方(三重県)の出身で、地元の高校を出た後はシリコンバレーや首都圏、香港島などの大都市で暮らした。そして今現在は地方都市(滋賀県大津市)で暮らしつつ、同じ県内の中山間地域への生活拠点

          【森の家12】〜田舎で暮らそうとすることの困難について〜

          大学院のこと (最終回)

          大学院に進学する。ただそれだけのことで、これほど色々と考えさせられるとは思っていなかった。大学院とは大学の次の段階であり、より専門的に学んだり研究する機関だと思っていた。大学卒業後にいったん社会に出た人が、自分に足りない部分を見つけて、あるいは発展させるべき目標や新しい分野への興味を抱いて、より深く学び直すために戻っていく場所。たくさんの「子ども」が一堂に集められ与えられた課題をこなすのではなく、少人数の「大人」が、それぞれの課題解決のために能動的に学び、行動するための空間。

          大学院のこと (最終回)

          【森の家11】〜「石場建て」を残すために今の自分にやれること〜

          森の家を手に入れて半年が過ぎた。初めての夏は、蒸し暑さとの戦いだけでなく、伸び盛る雑草や急な雷雨、ヤマビル、マダニ、アブやハチ、それにマムシや猛毒のヤマカガシとの格闘だった。 エアコンもシャワーもない現場で迎える夏の暑さは、キツくなかったと言えば嘘になる。汗だく泥まみれになるたびに、早く涼しくなってくれ〜と叫びたくなると同時に、いつか電気が通り、水が通り、家が直り、ゴロンと横になれる床ができ、トイレがあり、シャワーが浴びられるようになる日が切実に待ち遠しくなった。土埃にまみ

          【森の家11】〜「石場建て」を残すために今の自分にやれること〜

          『人間はどこまで家畜か』(読書メモ)

          子どもの頃に犬を飼って以来、およそ20年ぶりに犬を飼って思うのは、犬たちを取り巻く状況の激変ぶりである。私が子どもの頃には、雑種犬の子犬がそこら中にいて、犬というのは、近所でもらうか拾ってくるものだった。ブランド犬ももちろんいたが、よく見かけるのは柴犬などの和犬種かシェルティーくらいで、それ以外の犬種はいたとしても稀だった。 それがどうだろう。この20年で飼い犬の犬種の構成は、トイプードルやチワワ、ミニチュアダックスに豆柴など、圧倒的に小型化が進んだ。その一方で大型犬は大型

          『人間はどこまで家畜か』(読書メモ)

          【独身成仏1】〜独りでも死ねます〜

          『リトルブッダ』という映画を覚えているだろうか?仏教における輪廻転生をテーマとした作品だったが、詳細はほとんど忘れてしまった。ただ、映画の終盤で描かれたある一連のシーンについては、以来ずっと忘れることがなかった。ひとりの老いたラマ僧が死に向かう場面である。 そのラマ僧は、自分の死期を悟るとお堂に篭って深い瞑想に入り、座したまま息を引き取った。 長年修行を積んだ高僧であれば、何日間も、ときに10日以上という長期間にわたって瞑想が続けられること。澄み渡る山のごとく座して動かず

          【独身成仏1】〜独りでも死ねます〜

          大学院のこと(12) (進学・留学体験談)

          大学院への進学は、進学時の目的からすれば概ね失敗に終わった。学費をドブに捨てるような選択だったと後悔しているが、その詳細については既に書いた。また、そうは言いつつも大学院の授業の全てが無意味だったわけではないこと、もしも専攻がジャーナリズムでなかったら、それなりに充実した大学院生活を送れた可能性があることなどを、前回11話にまとめた。 今回は、香港大学大学院で専攻を間違えてジャーナリズムにしてしまったにもかかわらず、それでも「行ってみたことはただ無駄だったわけではない」と結

          大学院のこと(12) (進学・留学体験談)

          田舎の土地の「儲け話」をめぐって(雑談)

          週末の朝、友人から突然連絡があって、1年ぶりに会うことになった。数年前に茶畑の仕事で知り合った彼女は、今年も春から畑作業に来ていて、もうすぐ3ヶ月の収穫作業を終えて都会にある自宅へと帰っていくところだった。私はいろいろあって今シーズンは畑には一度も出ていなかったし、もう今年は会えないかと思っていたタイミングでの、とても嬉しい再会だった。 彼女からは「今年の畑がどんなだったか」を教えてもらい、私は2月にやっと手に入れた「森の家」について話した。話の途中で、茶畑に近年増えている

          田舎の土地の「儲け話」をめぐって(雑談)

          解体処分しようと思っていた「おくどさん」。だんだん捨てるのがもったいなくなってきて、再利用できないかと悩み始めた。でも、これだけ傷んでいるとさすがに無理かな・・。

          解体処分しようと思っていた「おくどさん」。だんだん捨てるのがもったいなくなってきて、再利用できないかと悩み始めた。でも、これだけ傷んでいるとさすがに無理かな・・。

          大学院のこと(11) (留学・進学体験談)

          香港大学大学院で過ごした日々は、入学前に期待していたものとは違っていた。留学全般にかかった費用や労力、また進学によって失ったものについて考えると、それなりに後悔はある。 ただ一方で私は、香港という地で大学院に在籍したことを全くの無駄だったと思っているわけではない。ここまでの十話では「期待はずれだったこと」について書いてきたが、ここからは「それでも行って良かったこと」を書き進んでいきたいと思う。 大学院では卒業に必要な単位として10科目を履修した。そのうちの3科目が詐欺的に

          大学院のこと(11) (留学・進学体験談)

          【森の家⑩】〜「天長地久」をそのままに〜

          庭の片付けと並行して、古家の解体が始まった。長年空き家として放置されてきた家は、床が沈み、壁が崩れて穴があき、苔むした屋根瓦から雨が漏れ、割れた土間の隙間からはワラビがわさわさ生えている。元の持ち主さんも正確な築年数は分からないということだったが、コンクリート瓦であることから、90年ほど前の建築ではないかと言われていた。 この家を初めて見た時、とてもじゃないが住めないと思った。残置物も多く荒れ放題で、干からびた動物の死骸や糞尿が散乱し、白蟻に喰われたり腐っている柱も目につい

          【森の家⑩】〜「天長地久」をそのままに〜

          『資本主義の次に来る世界』(読書メモ)

          中学生の頃だっただろうか、古代ローマ貴族の食事について学んだとき、なんてもったいない話だろうと思った。豪華な食事を味わい続けるために、貴族たちは食べたものを無理やり吐き出していたという話だった。それならば、お腹を空かせた庶民や奴隷に分けてあげればいいのにと当時は思ったものだった。 王侯貴族が民を支配し富を独占した封建社会のあと、農奴制が解かれ、世界は資本主義へと移行した。これにより、領主や貴族による強制的な取り立てではない新しい政治経済のあり方、つまりは市場を信じるという、

          『資本主義の次に来る世界』(読書メモ)

          【森の家⑨】〜さよならスマホ。の夢〜

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          【森の家⑨】〜さよならスマホ。の夢〜