祭りだワッショイ
2023/08/01(火)
健康診断に行った。
視力検査のマシンが新しくなっていて、これが見づらい! 大きめのランドルト環(『C』みたいなやつのこと)も二重に見えて、上下左右のどこが開いているかよくわからない。今年買ったばかりの眼鏡をかけていき、ふだんも不便はないので、急激に視力が落ちたわけではないと思う。「マシンが悪い」というと危険なクレーマーっぽいので、眼鏡のレンズと目との距離が適切じゃないのかもしれない。近いうちにお店へ行ってフィッティングしてもらおう。
胃カメラで内臓も診てもらう。
直ちにどうこうという心配はないけど、免疫力が落ちていて弱っている個所があるという。お医者さんも「これが原因」というはっきりしたことはわからないらしく、首を傾げていた。
原因不明の症状って、現代もいろいろありますよね。お医者さんも「ストレス」とか「不規則な生活」と言うしかないやつ。
人体、なんでこんなに複雑なんだ。もうちょっとメンテナンスしやすいように作ってほしかった。現在の文明を築き上げる能力を備えるにはこれだけの複雑さが必要だったんだろうか……
ストレスをなくすために、南の島のプライベートビーチで筋肉ムキムキのイケメンふたりに両側から大きな扇であおいでもらいながらココナッツジュースを飲んでゆったり読書するといった暮らしができればいいんだけど、その予定は今のところないので、このまま何とかやっていくしかない。
昨夜、京極夏彦『鵼の碑』の発売日が発表された。
9月14日。デビュー作『姑獲鳥の夏』の発売日と同じだ。
17年前(!)に『邪魅の雫』の巻末で次回作として題名だけ発表されたまま、なんの音沙汰もなかった作品なので、読者も半ば諦めかけていたんじゃないだろうか。大好きな妖怪の仕事に直接コミットできる立場の京極先生が、もう百鬼夜行シリーズにご自身の妖怪への想いを託す必要はないのかもしれない、と。
日本中が沸騰したと思う。
私のTwitterのタイムラインもこうなっていた。
京極先生のエッセイや講演録を読むと、とにかく「言葉とは本当に不完全なもので、言いたいことが誤解なく伝わるわけがない」という意味のことを繰り返しおっしゃっている。
あなたにそうおっしゃられたら私みたいな作家はどうしたらいいんですかという感じだけど、そういう「不信」を強く持っている作家だからこそ、読者を幻惑し、語り手の主観に引きずり込んで、事件の真相をまったく見えなくさせる、あの魔術的な言語表現を自在に駆使できるのだろう。
健康診断の帰りに、本屋に寄って『絡新婦の理』文庫版を買う。全作は無理だけど『鵼の碑』発売までに何作か読み返したい。
祭りだ祭りだワッショイワッショイ。
茫然としていても、何かしていても、同じ時間が過ぎていく。
何もしないと時間が経つのが遅い、ということがない。普通にさらさら流れていくので困る。それなら何かした方が絶対にいい。
自分で自分に命令を出すようにして動いたらいいのかな……
そういえば注文し忘れていたな、と思って佐内正史の新しい写真集をポチッとする。非常に高名な写真家です。忌野清志郎やくるりのことも撮っている。友だちに「森島章子(私の小説のキャラクター)はこういう写真を撮るんだろうね」と言われてから、意識して佐内さんの作品を鑑賞するようになった。
ぱっと見、その辺の人が(それこそ私なんかが)撮ったスナップみたいな普通の写真なんですけど、何か違う。その瞬間の光や空気がたっぷりと取り込まれている感じがする……とか偉そうに言って、素人の写真と並べて『格付けチェック』をしたら正解できる自信はありません。そのくらい、プロっぽい作為をまったく感じさせない作風の写真家です。私にはうかがい知れない無数の技術や鍛錬の果てに辿り着いた境地なのだろう。
そういう小説が書けたらいいなぁと思う。がんばろう。
今日はわりといっぱい書いた。
7月はなんだかんだで「とにかく毎日何か書く」の精神でやりましたが、今月は「書くことがない日はちょっとしか書かないし、3日分くらいまとめて更新する」くらいの気持ちでやっていきたいと思います。
8月も引き続き読んでいただけると嬉しいです。
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