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私たちの受験戦記~ASD娘の生きる道

2月1日午後8時0分。
娘の中学受験の戦いが終わりました。

さかのぼること一時間前。
午後受験の学校の試験終了が午後6時55分。7時を過ぎても誰も出てこない。
寒空の暗闇のなか、見知らぬ保護者達が等間隔に散らばって子供がでてくるのを待つ。いつもの模試なら明るい昼間だけど、真っ暗なんて初めて。保護者達それぞれの体から期待と緊張と疲れが出てるのを感じる。妙な一体感。子供たちが出てくる出口をみんなで見つめる。

疲れたー。寒いー。
って言いながら娘が出てきた。
午前校からの移動の時より元気そう。
午前校の移動の時は、疲れと電車内のポカポカした暖かさに誘われて、うとうとしてた。
そしてあんまり自信がなかったんだろうな。不安そうで言葉が少なかった。
ラムネ食べていい?
受験の休み時間に食べれるように、昔ながらのグリーンの小さい容器のラムネを買っていたのだけど、食べていいのかわからなかったと言って学校の中では食べられなかった様子。
駅のホームで大事そうに一粒出して、食べる。ラムネは娘にとって傷ついたからだを治す薬みたい。

娘には何時に合格発表か伝えてない。
でも午後入試から自宅に帰るころに発表がある。
何度も何度も、午前校のホームページの合格発表のバナーを押してみる。
何度も何度も、発表は20時ですのお知らせを読む。

頼む頼む頼むから受かってて。

帰宅途中の電車の中で念じる。体に力が入っているのがわかる。
この念で物体でも浮かすことができるのじゃないかって思うくらい念じる。

自宅の最寄り駅で降りる。あと8分。

緊張するね。ドキドキしてきた。
気持ち紛らわすために、ドーナツでも買っていこう!

普段買わないドーナツを買う。あと3分。

もうすぐ、もうすぐ。
8時0分!
発表だ!
娘に黙ったまま、スマホを操作する。
え、まさかのパスワード入力。え!パスワード間違えた!
ってやってる間に。
「合格!」
主人からのラインが届く

ごうかく!合格だよ!やったよ!
となりの娘に抱きつく。
よくやったねー!

涙が出てきた。自分の受験の時にうれし涙なんて出したことなかった。
娘は「よかったー!本当によかったー」ってほっとしてたみたいだけど、
全然泣いてない。
いいんだいいんだ。かわりにお母さんが泣く。

暗い夜道を歩きながら、何度も娘に抱き着く。
よく頑張った、よく頑張った。
娘も、お母さんもよく頑張ったよ。って言ってくる。(ASDっ子め。)

あー、終わったんだ。
終わってしまったらあっという間。
3年前、自分から「受験したい。」って言いだした。
受験させるなんて全く考えてなかったからびっくりした。
何より、自分から何かを始めたいなんて娘が言ってきたのは初めてだった。
習い事はいつでも、娘に合いそうなものを私が見つけてきたものを淡々とやっていた。
でも受験に関しては、自分からやりたいって言ってきた。
「なんでやりたいの?お友達の誰かやってたから?」
って聞いたら、
「一生懸命頑張る女の子になりたい。一生懸命頑張ってる子は受験をしてる。」
3年前、3年生の2月6日だったか、8日だったか。ちゃんと覚えていないけど、2月に入ってすぐのころだったと思う。

通級の先生たちは「受験をするなら、決して背伸びしないと行けない学校は選ばないでね。」とのことだった。(その頃はもう通級をやめていたので、継続していた友達のお母さんから聞いた。)
ただでさえ、つま先立ちで頑張っているのに、これ以上無理をさせるな。そんな話だったと思う。

この3年間、娘を泣かせたことも何度もある。「やる気がないなら、受験なんてやめな!」、「答え写してるなんて、時間とお金の無駄だから、明日塾辞めにいくよ!」、「そんなにテレビ見たいなら、もう受験なんてやめたらいいじゃん!」
そのたびに、「いやだ~!やめない~!!」って泣きながら抵抗してた。
クラス落ちをした時も、最低偏差値を更新した時も、
一度も辞めたいって言わなかった。

でも時々、
「ねえ、お母さん、ギュっとして。」
「ねえ、お母さん、よしよしして。」
って甘えてきた。

テストで見直しなんでしないの!って言ったら
「見直しってどうやってやるの?」
って、返されてびっくりした日も、
なんで漢字テスト100点満点中10点だったの!?
「え?学校で習ってなかったから」
って返されて脱力した日も、
テストの結果が公開される月曜日の昼休憩時、あまりのひどさに職場で絶句した日も、(1回や2回ではない。)
今となったら、貴重な子育ての思い出。

娘に抱き着きながら、帰った2月1日の夜のことはきっと一生忘れない。
こんなにそばで伴走できるのも、今回が最後だったのかも。
これからは、そばで支えたくても手出しできないことが増えてくるんだろうな。
でも、いつでも、ギュっとしたり、頭なでたりはできるから。
困ったらいつでも甘えにおいで。(ノーサンキューって言われる日も近いかも。)

合格おめでとう!!
これからの娘の人生に幸あれ!!

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