大人は〝ちゃん〟付け、子どもは〝さん〟付け
「役員同士は〝ちゃん〟付けで呼び合います」というルールがあると聞いて、面食らった。
子どもが幼稚園に通っていた頃、保護者会の役員をすることになった時の話だ。年長さんの保護者3人✖️年中さんの保護者3人の6人で活動をするのだが、その最初の顔合わせの時、こう言われたのだった。
だから、石田さんは〝あきちゃん〟だね、あきちゃん、よろしく、という具合に話は続いた。
私はあまり人懐っこいタイプではないし、どちらかというと人見知りなので、「ええーーーー。初対面から、親しげに呼び合うの?なんか、無理矢理じゃない?」と顔は微笑みながらも全身が拒否した。
しかし保護者会の活動を重ねるにつれ、〝ちゃん〟付けで呼び合うのは、想像以上にプラスの効果があると気がついた。初対面だったのに、距離が縮まるのに時間がかからなかったし、会議も作業も常に和やかな雰囲気だった。2年間の活動で、8人の保護者と知り合いになったが、今でも「○○ちゃん」と呼び合う。子どもが卒園して数ヶ月ぶりに会ったとしても、「○○ちゃん」と呼ぶことで時の経過が霧散して、話に花が咲く。
〝ちゃん〟付けって、悪くないものだなあと、今でも思っている。
その一方で、子どもたちーー世間の小学校では、〝さん〟付け指導が行われていたから驚いた。あだ名や呼び捨ては、子どもの間でいじめを誘発するというのが理由だそうだ。
小2の息子・ともまるも、幼稚園まで「ユウタ君」や「マリエちゃん」とお友達のことを親しく呼んでいたのに、急に「山口さん」とか「佐藤さん」に変わったので、親の私がなんだか気持ち悪く感じた。子どもらしくない、距離感を感じる、長ったらしい。
私は幼稚園の保護者会での経験から〝ちゃん〟呼びの凄さを知っているから、余計に「○○さん」という呼び方に違和感を抱くのかもしれない。
だいたい、あだ名や呼び捨てを禁止したところで、いじめがなくなるわけがない。ひどいあだ名をつける子どもがいたら、「あなたがそう呼ばれたら、嫌じゃない?」と正すのが教育なのでは?
漫画『タッチ』を思い出してほしい。浅倉南が「タッちゃん」じゃなく「上杉さん」って呼んでいたら嫌でしょう。
そゆこと!