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「明日は画面を見ない日にしようかな」と娘が言った。(が、意外な障壁が)

急な宣言だったので驚いた。
中学生の娘が、「明日は朝にLINEをチェックしたら、タブレットを見ないようにしようかな」と言い出したのだった。
塾へ向かって、一緒に歩いている時だった。

授業でもタブレット、部活でもタブレット(譜面もタブレットだそうです)、家に帰ってからもついついタブレットでSNSを見てしまう。
いよいよ、視力が心配になってきたという。

私は普段から「スマホやタブレットを見ない日を作りたい」とこぼしていたので、それも響いたのだろうか。娘には完全に相手にされないだろうと諦めていたのもあり、思わず声を弾ませてしまった。「じゃ、お母さんも一緒にやるわ!」と。
しかし、具体的な話を進めるうちに、思いがけない課題にぶち当たった。

女友達への配慮問題、である。
娘が「画面を見ない日は、タブレットが壊れたことにする」と言うので、
「え、なんで?『今日はタブレットを見ない日にしまーす』って宣言すればいいじゃない?」と話したら、
「そんなの送ったら、みんなに一斉に広がって、陰で何を言われるかわからない」と言う返事。
・・・・・・こっわー! どういうこと?

それから娘は淡々と語り出した。
・ちょっとでも独特なことを書くと、悪意を持って拡散される場合があること。
・拡散して、陰口を叩く人が、一定数いること。
・「未読スルー」なる言葉があり、1日2日過ぎても返事をしないと関係にヒビが入ること。(既読スルー、じゃないんですね)
・裏の顔、闇の顔がある女子がいること。

塾までの道はすでに薄暗く、人影もまばら。「裏の顔、闇の顔」という表現が妙に生々しく感じられ、ドキュメンタリー番組で衝撃の現実を知ったような感覚に陥った。

「そうじゃない子がほとんどだよ。でも裏の顔がある子もいる」
「そうじゃない子、例えば○○ちゃんとか□□ちゃんとかは、喋っていると本当にほっこりするんだ〜」

ああ、そうなのかあ。
勉強に部活に忙しいのが中学生だけど、昔と違って放課後にも気を遣っている実態がよーく分かった。いじめもそう。ネットが世に蔓延る前は、下校したら家という〝安全地帯〟に避難して、心身を休ませてあげられたのに、今は放課後も裏世界でいじられるというではないか。

なんて生きづらいんだろう。心から同情してしまう。

「タブレットが何回も壊れるのも変な話だし、SNSから離れるのって難しいなあ」というようなことを言って、娘は塾へと入っていった。

というわけで、「タブレットを見ない日」を決行することはできなかった。

スマホやタブレット、SNSと距離を置くのは本人の意思次第と思っていたが、中学生でも「しがらみ」に悩んで一歩を踏み出せないという現実。
欧州や豪州では法規制が進んでいるというが、本当にそうでもしないといけないのだなと痛感した。

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