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怪盗紳士ルパンの驚くべき変装能力⑥

みなさん、こんにちは!

今日は、『ルパンの世界』の第7章「パリのおしゃれを伝える衣服」を考察していきたいと思いますが、ストーリーのネタバレ箇所も、チラッとあるので、注意してくださいね。

まず、ルパンの服装についてなんですが、冒頭に”たいしたことは分かっていない”と書かれています・・・💦

が!怪盗って、なぜかシルクハット🎩&モノクル🧐のイメージが定着していますよね⁉

シャーロック・ホームズに、ディアストーカー&インヴァネスコートというイメージがあるように、ルパンにもそのイメージがある。

でも、ルパンの冒険譚に、シルクハット🎩&モノクル🧐の装いをしている記述ってあったかな⁉なかったよね?というくらい記憶にない。

どうして、そのイメージが定着したのかは謎です。

しかしですね、ルパンはパリの劇場に行く際、ちゃんと燕尾服とオペラハット(シルクハット)を身に着けています。

『ルパンの世界』に掲載されているルパンの時代の服装

そして、本を読んで初めて知ったのですが、ルパンの時代はフロックコートと言えば、黒だったらしい。

因みに、フロックコートとはこんな感じです↓
フロックコート - Wikipedia

そもそも男性は、黒しか着なかったらしく、ということは・・・813で、ルノルマン国家警察部長(もちろんルパンの変装)が着ていたオリーブ色(緑色)のフロックコートって、当時かなり浮いていたんじゃないの⁉

ルパンは、変装する際に、何度かフロックコートを着る場面があるけれど、結構地味だったり、擦り切れていたり、窮屈だったりして、一言で言うと”残念な”コートを着ている気がする。

ルパンは、変装する時は地味になるんだな、という事がわかる。

例えば、水晶の栓で、ドーブレックを外から見張っている時、彼はどこにでもいる年金受給者の身なりをしている。

あえてオーラを消しているのだ。

普段のルパンは個性が強烈&おしゃれだから、変装の際はオーラを消し、周りに溶け込むような恰好をしているんだろうと思う。

でも、例外もあって、813に登場するセルニーヌ公爵もルパンの変装だけれども、こちらは公爵に変装しているだけあって、おしゃれで洗練されている。

同時期に(813のストーリーにおいて)、一方は中年のちょっとくたびれた国家警察部長、他方は若くて活発でおしゃれなセルニーヌ公爵に変装していたんだから(まさに1人2役!)、ルパンの変装技術は素晴らしいと言わざるを得ない。

そして、ルパンの時代は、”衣服=その人が属する社会階級”だったようで、だからこそ、衣服はとりわけ変装の道具に使われたと、本書に書かれている。

着る服が人物を表すんですね。

例えば、現代でも、軍人や警察官などは、ぱっと見てすぐその人の職業が分かるようになっていますね。

ルパン冒険譚の第1作目「ルパン逮捕される」で、怪盗紳士のことを「運転手、テノール歌手、競馬の予想屋、良家の子弟、青年、老人、ほら吹きのセールスマン、ロシア生まれの医師、スペインの闘牛士、つまり、ありとあらゆる人たちに変身できる男」と紹介している。

ルパンの世界』では、こうした人に変装するには、それぞれふさわしい衣服があった、と書かれているけれど・・・ルパン、めっちゃお金かかっただろうなー、と思う(いや、ルパンなら余裕か)。

服に加えて、化粧道具までそろえなきゃいけないわけだから、変装するのって、やっぱりお金がかかる。

因みに、変装道具というと、フランスのルパン博物館Le Clos Arsène Lupin, Maison Maurice Leblancにあった変装の部屋を思い出します。
Le Clos Arsène Lupin, Maison Maurice Leblanc - Wikipedia

(詳しくは、拙著を見てね↓)

そして、私は個人的に、ルパンは演技も習ってたんじゃないかと思う。

服と化粧で化けたとしても、演技力もないと、変装は難しかっただろう。

彼はもしかしたら俳優になれたかもしれない。

だって、ルパンが愛してやまない、あの乳母のビクトワールでさえ、変装で騙せるくらいだから。

私、変装に興味があるので、また変装ネタがあれば、記事を書いてみたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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