秘密の口づけ

秘密の口づけ

灯りを消してからは
燃える身体を重ねた
肩甲骨あたりに 汗がにじんでいる
しがみつく両手が滑りそうだ
頰に唇を寄せながら 彼の熱いキスを交わす
途端に 何かが遮っている
矯正? はたまたドラキュラの子孫?
しかし そんなことが頭をよぎることさえ許さない程に 心地よく 真剣に求め合った
    数日後 本屋の帰り途 ふと あれはなんだったのだろう?
矯正?違うなぁ  ドラキュラ?かも知れない
パンクやってた方? 

「このホテル 素敵ね 」
「うん 懐かしくて優しく受け入れてくれてる感じがするね」
「私達 お話ばかりして夜を過ごしてしまうわね」
「すっかり朝だね じゃあ どうするの?
くる?」
「うん」
既に着替えてベッドに横になっていた彼は
自然に服を脱いだ
始めは 彼の上に寝そべって それから
彼が上に…
あぁ〜 これだわ〜
彼の黒いワイヤー型のネックレスを見た
矯正でもドラキュラでもない
あの夜キスを阻んだのはこのワイヤーだったのね〜
「ほっ」
彼がドラキュラでもなんでも良いけれど
キスにガードが掛かるのは切ない
両方の掌と指先で
彼の首も耳も頭も包むように撫でながら
ディープなキスを
交わす

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