中国茶いろどり
中国茶に関しては最初の投稿を書いてからだいぶ経った。中国茶と一口に言ってもその種類は様々だ。日本茶といえばまず思い出すのは緑茶、つまり煎茶だろう。ほうじ茶や抹茶もあるが、それらも結局は緑茶に手を加えたものである。紅茶は様々な名前のものがあるので一見種類が多いように見えるが、実は製法の点から見るとほぼ一種類なのだ。では中国茶はどうだろう。
中国茶の製法は大きく分けただけでも6種類ある。その中には緑茶も紅茶も含まれている。つまり日本茶も紅茶もルーツは中国茶なのだ。そもそも茶の樹の学名はカメリア・シネンシス。つまり中国原産のツバキ科の樹木だ。ちなみにカメリア・ジャポニカは椿。花を愛でるほうだ。さて中国茶の種類だが、緑、黄、黒、白、青、紅の6種類。栽培方法は基本一緒で製造工程により分類が変わる。一般に中国茶のイメージの高い烏龍茶は青茶に分類される。だが実際に中国本土で最も飲まれているのは緑茶と言ったら驚くだろうか。烏龍茶を飲むのは産地の福建省、広東省、台湾がメインなのだ。黒茶は普洱茶が有名だ。普洱茶は一風変わっており、産地は南部の雲南省なのだが、飲まれているのは内モンゴルなどの内陸部だ。これは歴史が関係しており、長くなるのでまた別の機会に書く。
日本には上記6種類が全て輸入されているが、多数を占めるのは青、黒、緑だろう。ただし緑茶は超高級品のみが輸入されており、中国本土の方が飲んでいるものとは別物に近い。黒茶は先述の通りほぼ普洱茶。青茶が最もバラエティに富んでいるだろう。青茶は製法、風味とも緑茶と紅茶の中間的でその加工の加減によって爽やかな緑茶寄りから焙煎香の効いた紅茶に近いものもある。これが魅力だ。筆者も常に3種類は常備していて気候や気分で使い分けている。夏の暑い時期には爽やかな文山包種茶を。肉料理などこってり気分のときには香ばしく、ほんのりと甘みを感じる武夷巌茶といったぐあいだ。
講師をしているワインスクールではシニアソムリエとシニア中国茶エキスパートの知識を活かして、中国茶とワインが同時に学べるクラスを開催している。ワインと中国茶は製法が様々なことや産地のキャラクターが大切など共通の要素が多く、ワイン好きは必ず中国茶に、中国茶好きはワインにハマるのだ。そもそも中国には以茶代酒(酒の代わりに茶と成す)ということわざがあり、酒を飲めない人にはお茶でもてなすというくらいだから共通点があって然るべきだろう。 クラスは気軽な1日コースと茶を淹れる実技を含む3回コースの2種類がある。リンクをご覧いただき、興味を持っていただけると嬉しい。