【65】非合理の徹底による差別化『ドン・キホーテだけが、なぜ強いのか』坂口孝則
タイのバンコクで日用品を探すときに重宝するのが『ドン・ドン・ドンキ』
『ドン・ドン・ドンキ』は、激安の殿堂『ドン・キホーテ』の東南アジア業態で現在2店舗を運営しており、来年には撤退する東急百貨店の跡地に3店舗目の出店を予定しています
東急百貨店だけでなく、伊勢丹も昨年タイから撤退するなど日本式百貨店が苦戦するなか、ドン・キホーテが出店を加速するのは現在の小売業界の状況を象徴しているように感じます
本書ではドン・キホーテが小売業界のなかで独自の戦略を展開して成功している要因について解説しています
キーワードの1つは「非合理」です
スーパーマーケットやコンビニエンスストアであれば、どこに何があるのかわかりやすく、入口から会計までの動線もはっきりしています。POSに基づく品揃えや店づくりは旧来型の小売業と比べて合理的で効率が追求されています
しかしながら、ドン・キホーテの売り場は、所狭しと商品が天井まで陳列されており、どこに何があるのかわかりにくくなっています
一見すると非合理に見える陳列は、なるべく長い時間を店内で過ごしながら、宝探しのような楽しみを提供することを目的としているのです
百貨店との比較で考えると、その名のとおり品揃えは豊富ですが、何があるのか想像がつくのに対して、ドン・キホーテでははっきりと認識していなかったが、欲しいものがあるという違いがあります
「モノ消費からコト消費(体験型消費)」という言葉は新しいものではありませんが、小売業においてコト消費の提供に成功している例だと思われます
日本ではインフラと化しているコンビニですが、無人店舗化が進むアマゾンGoとの競争は避けられず、合理化・効率化だけでは限界が見えつつあります
一見非合理に見えることを合理的に徹底するなかで差別化することが小売業の1つの方向性だと感じました
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