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【69】コンサルタントによる功罪告白『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』カレン・フェラン

本を選ぶときにタイトルはとても重要な要素です

書店で紙の本を探すときは、装丁にも目がいきますが、電子書籍ではよりタイトルが重要な要素になってきます

もちろん目次やはじめにを読むことでタイトルと中身のギャップを把握できる場合もありますが、本を読む人にとってタイトル詐欺は避けて通れない問題だと思います

その点で本書は非常に購買意欲をそそるという意味で「いかにも」なタイトルですが、決してタイトル詐欺ではない一冊です

筆者は著名なコンサルティング会社での勤務実績に加えて、大手事業会社でのマネージャーとしての経験もあります。特に、マネージャーとして働いた際に、コンサルティング会社が導入したツールに苦労したという両面を知っていることがユニークです

そんな筆者がコンサルティング会社の功罪を説いているという点で、これまで読んだことがない意見や考え方が多くありました

私も中小企業診断士というコンサルティングの資格を持っており、興味がある分野ですが、耳が痛いこと多くありましたので、自戒の念も込めていくつか抜粋します

新卒の経営コンサルタントの得意なことは何か?論理的な分析を行い、さまざまなモデルや理論を駆使して、新たなモデルや理論を構築することだ。では、彼らに最も欠けているのは?実社会での経験だ。
問題は状況に反応する人間の側にある。ビジネスの問題はことごとく、状況に対して反応する人間が引き起こしている。
ともかく大事なのは、モデルや理論などは捨てて置いて、みんなで腹を割って話し合うことに尽きる。

最新の理論やツールを駆使して課題解決を図る場合、目的と手段が入れ替わっているケースが多いと著者は指摘しています。そうならないためには、問題の根本である人間としっかり向き合い、部分だけでなく全体を巻き込むことが重要だと言います。このように書くと当たり前に感じてしまいますが、いかにそれが難しいか、本質から目を背けてしまっているかを痛感します

コンサルティングに幻想を抱いている人だけでなく、仕事一般でも陥りやすい罠を解説している一冊です


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