【#読書感想文】世界は不安定だと気づかされた話。「世界は贈与でできている」を読んで。
「世界は贈与でできている」を読んでいると、世界は不安定だという話が出てきた。
この話は、のほほんと生きている私にとって、頭をハンマーで殴られたような衝撃だった。
例えば、通勤するときに、電車が遅れたとする。それは、正常か異常か?
何も起こらないことを「正常」、何かが起こることを「異常」と捉えてはいないだろうか?
この本を読む前の私なら「異常だ!」と答えていたであろう。誰かが何かをしたから電車が遅延した、と思っていた。
だが、それは逆なのだと気づかされた。
誰かが何かをしているから、電車はいつも通りやってくるのだ。誰も何もしていなければ、電車はいつまで経ってもやってこない。
世界は、誰かに支えられて、安定を保っている。
誰も何もしていなければ、電気もガスもネットもスーパーもない。誰も生きていくことはできない。
今こうして、夏なのに涼しい部屋の中で、美味しいウイスキーを飲みながら、スピーカーから流れる歌を聞きながら、パソコンに文字を打てているのは、誰かが何かをしているからなのだ。
この本の中では「アンサング・ヒーロー」と呼ばれていた。まさに陰の功労者なのだと思う。
意識的に目を向けないと、その恩恵を受けていることに気づくことすらできない。
これは、実際にこの本を読まないと意図は伝わらないかもしれないが、人に与えることによって受け取っていることに、初めて気づくことができる。
何も与えられない人は、受け取っていることに気づくことができない。
この世界は、物やサービスに溢れている。それを自然と意識せずに受け取っている。
誰かが何かをしているおかげで、この不安定な世界は、安定しているように見えているのだと、この本を読んで感じた。
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