公職選挙法守ると最低賃金割るんじゃないか(;゚ロ゚)
選挙に関わる度に感じていた事になるが、昨今の物価高や賃上げの状況を見て、流石にもう変えなければならない事を指摘したいと思う。
それは、選挙運動に従事する事務員、車上等運動員いわゆるウグイスさん、労務者の報酬や弁当料、宿泊費の上限額についてだ。
私が初めて選挙に出てのは平成9年の都議選。
今から27年前だ。
この時に既に車上等運動員は1日、15,000円、選挙運動事務員も15,000円、選挙運動に当たらない作業を行う労務者は1日10,000円になっていた。
弁当料も1食1,000円以内、1日3,000円まで、宿泊費は車上等運動員などで1泊2食付きで15,000円、労務者は1泊食事無しで10,000円以内になっていた。
それから、平成12年に手話通訳者、平成28年に要約筆記者に報酬を支払う事が出来るようになったものの上限額を増額する事はなかった。
この上限額にいつからなったのかを調べてみたところ何と平成4年から32年間変わらずに現在に至っている事が分かった。
平成4年の最低賃金の全国加重平均は565円
現在の半分程度だ。
つまり、平均賃金は約2倍になっているのに選挙運動に関わる人の報酬はずっと据え置かれたままで来ているのだ。
金のかからない選挙を目指すということから、選挙運動に携わる人の報酬を引き上げにかかったのだろうが、選挙運動に関わる人であっても、使用従属関係があれば労働基準法や最低賃金法は適用される。
現状の金額では場合によっては最賃割れになっている従事者や労務者がいてもおかしくないのだ。
そして、ウグイスさんに関して言えば、朝8時から夜8時まで12時間、車に乗りっぱなしで話し続ける事が求められるのだが、15,000円でやる人を見つけるのは相当に困難だと感じる。
その結果、多くの立候補者が収支報告書には法定内の金額で報告しておきながら、実は裏で上乗せして支払うという違法行為を行っている。
私の場合は、午前と午後で人を交代して、それぞれに15,000円支払うなどの工夫をしてなんとか法に反さないように守って来たのだが、知り合いがいない候補者がプロのウグイスを雇おうとするととてもではないけど1日15,000円でやる人を見つける事は出来ないだろう。
早急に上限額の引き上げが必要だと感じる。
選挙期間中の活動に従事している人の弁当料もずっと1,000円のままだが、弁当ならまだ1,000円以内で見つかるが、外食の場合は1,000円以内はかなり難しくなって来ている。
宿泊料も同様で昨今のインバウンド需要もありホテル不足に陥っていて宿泊料金が跳ね上がっている。しかも、衆議院選挙は今回のように突然解散するので直前になって宿を探すことになり空いている部屋を探すのすら困難なのに金額の上限がこれだとちょっと厳しいと感じる。
現職の時にも何回か提案しているのだが、政治改革担当の議員にはピンと来なかったのか、お金をかけない選挙に逆行すると考えたのか知らないが与党との協議にもあげてもらえなかった。(すみません。ちょっと愚痴る。)
私が政治に関わるようになってから報酬が支払えるようになった手話通訳者と要約筆記者については障害者総合支援法の地域支援事業にそれぞれの派遣事業が位置付けられているが、その制度に見合うようなした方が良いと考える。
車上等運動員などが1日単位で上限額を定めているからそれに横並びで同じ金額にしただけなのだろうが、手話通訳者、要約筆記者のどちらも時間単位で派遣額が決められている事を考えると時間単位の上限額にすべきではないだろうか。
ちなみに東京手話通訳等派遣センターの派遣額は手話通訳者、要約筆記者それぞれ以下の通りになっている。
東京都だと要約筆記者は1日3時間まで、手話通訳者は3時間では上限額を超えることになってしまう。
障がい当事者が立候補する場合、手話通訳者や要約筆記者を選挙運動時間中、ずっと同行させるにはボランティアで行ってもらうか、数時間ごとに交代してもらうかになる。
これはもの凄い非効率的であるし、人の確保が難しくなるのは目に見えている。
解説を加えながら書き進んで来たので、分かっていただけたと思いますが、32年間も報酬や弁当料や宿泊料の上限額を据え置いてきたが、もう限界、お金を掛けない選挙にすべきではあるが、従事する人達に皺寄せがいってしまうことを考えると現在の賃金や物価の水準に見合う金額に上限額を引き上げることは必須だ。
直ぐにでも与野党の協議を始めてもらいたいものだ。