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再生不良性貧血になった大学生(2)

はじめに

移植の前処置である抗がん剤治療開始から3日目になりました。元気なうちに書けることを書いておこうという気持ちで、前回の記事の翌日に執筆しています。この記事では、わたしが実際に行う治療の流れを詳しく執筆します。難しい内容もありますが、少しでも再生不良性貧血に対する理解に繋がればと思います。


前処置

再生不良性貧血の移植の前処置として、わたしの場合は抗がん剤治療・放射線治療の両方を行います。具体的な前処置の日程は以下の通りです。

前処置の日程

今回の前処置では移植まで全部で4ステップあり、わたしは現在 (2024年11月8日) 1ステップ目の治療を受けていることになります。

抗がん剤治療(1)
専門家ではないので詳しい説明は避けますが、1ステップ目の治療は、それほど強い治療ではないようです。サイモグロブリンは血液製剤なので、人によってはアレルギー反応が出る場合もあるようですが、わたしの場合は、もちろん事前に吐き気止め・解熱剤・アレルギー抑制剤を使用しているおかげでもありますが、体調的には問題ありません。ただ、いつアレルギー反応が出るか分からないため、サイモグロブリンを投与している間は、常に心電図を装着することになります。

抗がん剤治療(2)
2ステップ目の治療は、1ステップ目と比較すると多少強い治療となります。特にエンドキサンと呼ばれる抗がん剤は毒性が強く、副作用の1つとして心不全があります。前処置で投与する量はあまり多くなく、また、わたしの年齢が比較的若いこともあり、強く心配する必要はないそうです。しかし、ここで体調を崩す患者も多いようで、わたしが「元気なうちに書けることを書いておこう」と記したのは、このステップから体調が悪化する可能性があるからです。

放射線治療
3ステップ目の治療は、これまでの抗がん剤治療で殺した自分の免疫に、さらに追い討ちをかける形で放射線を全身に照射します。今回の治療で照射する4Gy (グレー:放射線の単位) という量は、それほど多い量ではないため、たいていは吐き気や倦怠感といった軽い副作用しか出ないとの説明を受けました。わたしの場合は、最先端の放射線機器がある近くの病院に2泊3日で転院し、その間に2回に分けて放射線治療を受けます。1回あたり60分の治療の間、照射箇所がずれないように上半身と顔面を型で固定する必要があるので、人によってはそれが苦痛に感じられる場合もあるそうです。

移植

1週間の前処置を乗り越えると、いよいよ移植を行います。移植と聞くと、何か手術のような大掛かりなイメージが浮かびますが、実際は点滴でドナーの造血幹細胞を投与する治療になります。しかし、他人の血液成分を投与するので、ほぼ必ずと言っていいほどアレルギー反応が起こります。わたしの場合は、前処置の2ステップ目で使用したエンドキサンを投与することで、アレルギー反応を抑制する「移植後エンドキサン療法」を行います。この際に投与する量は、前処置の3倍程度であり、それだけ副作用である心不全の可能性が高くなります。わたしの担当医も、「1番怖いのは感染症、2番目が移植後エンドキサンの副作用」と言うほどで、今回の治療における山場の1つです。心不全は命に関わるので、正直とても怖いですが、それだけ重い治療なので覚悟を決めるしかありません。

移植後

移植後は、事前に行える薬剤投与を除いて、基本的には経過観察になります。感染症・アレルギー反応があれば、その都度対応するという形になります。感染症にかかるかどうか・アレルギー反応の程度は、どちらも完全に運なので、ただただ祈ることしかできません。わたしに出来ることは、手洗い・うがい・消毒を徹底し、少しでも感染症リスクを下げることだけです。


おわりに

こうして治療の流れを整理してみると、治療が成功するかどうかが、ほとんど運で決まってしまうことに驚いています。自分の生死が運にかかっているという事実は、心境としてはかなり苦しく、常に不安が消えません。それでも、この状況になってしまった事実は変えられないですし、この治療を受けないという選択肢もありません。かなり個人的な感情が多く含まれてしまいましたが、それも1つの情報として、病気に対する理解に繋がればと思います。


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