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好きを仕事にするまえに
「好きを仕事にする」ということが最近話題になっている。
現在活躍している有名人の中には自分の「趣味」や「遊び」を極めて成功した人も多く、雑誌やブログなどで大きく取り上げられている。
ホリエモン「遊びがビジネスになる時代だ」〜堀江貴文という生き方〜
しかし、言うまでもなく、安易に「趣味」や「遊び」を仕事にしようとするのは極めて危険な行為である。
では、なぜ「危険」であるのか?
今回はその理由を明らかにしていきたい。
その好きは競争に勝てるか
「趣味」や「遊び」など自分の好きなことを仕事に選ぶのは決して間違いなことではない。
自分が情熱を注げないことを仕事するよりも、情熱を持って取り組めることを仕事にした方がはるかに長続きする。
だが、現代は過酷な競争社会でもあることを忘れてはならない。
中途半端に好きなことを仕事に選んでも、競争に勝たなければ成果は出せない。
例えば、デザインが好きで仕事がしたい人は、他のデザインを仕事にする人と競合することになる。
仕事を安定して受注していくためには、他のデザイナーよりも実績を残し、競争に勝ち続けるほど実力がなければならない。
それはライターやプログラマーなどの他の職種でも同様である。
個人でビジネスを営む以上、過酷な競争から逃れることはできない。
それゆえ、仕事を選ぶときには、「その仕事で自分が競争に勝てるかどうか」を自問しなければならない。
もし、その実力がないとすれば、いくら好きでも、すぐに仕事にするのは待った方がいい。
他の仕事で生活をするのに足る費用を稼ぎながらでも、技術を身につけ、チャンスを待つことはできる。
自分に強みに気づいているか
自分がそれほど望んでいなくことでも、相手から必要とされることがある。
また、望んでもいないことなのに、相手から想像以上の報酬を得ることがある。
大抵の場合は、そうした思わぬ成功は見過ごされがちであるが、それこそ個人が持っている「強み」にほかならない。
「強み」は過酷な競争社会で生き続けるためにはどうしても必要になる。
その「強み」を磨き、さらにその力が最大限に発揮できるように努めることで、初めて大きな成果を得ることができる。
自分の強みを見つけるには、過去の体験を思い出すことが最も効果的である。
とりたて努力をしたつもりでもないのに、なぜか人よりも勝っていたこと。
あるいは全くうまくいかなかったことがうまくいったことなど、自分の強みを知る手がかりは過去の体験の中にいくつも蓄積されている。
「強み」を持つ最大のメリットはその後の活動が明確になることである。
今日一日何をすべきか、あるいは半年、一年先に何を成し遂げるべきかが明確になる。
そして、その先にはほぼ確実に望んだ通りの成果を得ることができる。
したがって、仕事を選ぶときには「その仕事で自分の強みを最大限に発揮できるか」を自問しなければならない。
強みを活かせないような仕事は、いくら好きであっても選んではいけない。
過酷な競争社会の中で、強みを持たずに勝とうとするのは、大海に小舟で漕ぎ出すようなものである。
その仕事にニーズはあるか
情熱をもって取り組み、なおかつ自分の強みを活かせるとしても、ニーズがなければ仕事にすることは難しい。
たとえば、ファッションに興味があり、自分で雑誌を作りたいという人がいるとしよう。
その人はたしかにいい仕事をするだろうが、そもそも雑誌を買う人が減少し続けているならば、ビジネスとして成り立たせることは難しい。
同様のことは、低迷する出版市場や映画市場、少子化の影響を受ける教育市場にも当てはまる。
仕事を選ぶ際には、その仕事の内容だけでなく、社会全体の環境や変化にも目を向けなければならない。
優れた戦略家であれ
「好きを仕事にする」というのが流行りだしてから、いかにもそれが簡単なことのように語り出す人が増えている。
しかし、この社会が過酷な競争社会であることをふまえれば、それだけでは足りないことに気づくだろう。今回ここで指摘したことをもう一度まとめてみると以下のようになる。
・その仕事が「好き」であり、なおかつ「競争に勝てるか」を考える
・その仕事が「好き」であり、なおかつ「自分の強み」になっているかを考える
・その仕事が「好き」であり、なおかつ「ニーズがあるか」を考える
上記に示した考えかたは、経営学者であるジェームズ・コリンズ「ビジョナリー・カンパニー2」でハリネズミの概念として紹介していたものを参考にしたものである。
コリンズは、「情熱を持って取り組める分野は何か、自分が世界一になれる部分はどこか、経済的原動力になるものはどこか」の三つの要素をもとに戦略を考える方法を示している。
過酷な競争を勝ち抜くためには、たとえ誰であろうと優れた戦略が必要になる。
好きを仕事にして成功を収めた人もその例外ではない。
彼らは一見、趣味や遊びを極めて成功を収めたように見えて、実は優れた戦略家でもある。
好きを仕事にするために必要な、たったひとつのシンプルなこと ウォンテッドリー仲暁子氏
プロ顔負け!「好き」を仕事にする主婦たち 注目を集める「ママ版AKB」
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