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ロボ接客の先にある未来
ロボ接客の先にある未来 テクノロジーの進化と職業の変化について
ハウステンボス(長崎県佐世保市)にある「変なホテル」が話題になっている。
太陽光と燃料電池、蓄電池を組み合わせた省エネ設計を採用し、接客を担当するのは、恐竜や女性の形のロボット。
新工法で建設コストを抑え、省エネ設備で光熱費を減らしたうえに、ロボットで人件費を減らしているという。
たしかに、このシステムを採用することで、エネルギーを再利用でき、人件費などを含めて今までかかっていた費用を大幅にカットできる。
同様のシステムを応用すれば、ホテルのみならず、他の産業でも多くの利益を生み出すことになるだろう。
しかし、一方で、サービス業にロボットが参入することは、今までそこで働いてきた労働者の職を奪うことにつながる。
オックスフォード大学のAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーンと同大学のカール・ベネディクト・フライ研究員の共著『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』の中では、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いことが指摘されている。
彼は702の職種すべてについて、コンピューターに取って代わられる確率を仔細に試算し、将来なくなる確率が高い職業として、銀行の融資担当者、電話オペレーター、スポーツの審判などを挙げている。
こうした予測は、ロボットは単なる作業の代用品でしかない現代では信じがたい内容である。
ロボットとは、主に工場などで部品を組み立てるものとして利用されるもので、人間が行う知的な作業の代わりはできないというのがこれまでの常識だった。
しかし今、現代のテクノロジーは急速な発展を遂げ、私たちの想像をはるかに超えるような知的作業を行うことが可能にさせつつある。
米IT企業グーグル傘下の英グーグル・ディープマインド社が開発した人工知能(AI)「アルファ碁」は、世界最強棋士「イ・セドル九段」を4勝1敗で破った。
日本国内でもAIを使って創作した短編小説が文学賞の1次審査を通過し、ヒト型ロボット「ペッパー」だけで接客する携帯電話販売店も登場している。
AI技術がさらに発展すれば、これまで不可能だった知的な作業をロボットが担うことになることはほぼ間違いないだろう。
ロボットは着実に人間の仕事を奪い、多くの人が職を失うことになる。
だが、見方を変えれば、AIの進化はルーティン化された作業から人間を解放するメリットもある。
人間にはゼロから何かを作り上げるクリエイティブな能力があり、その能力を活かせば、今まで以上に豊かな社会を実現できる可能性は十分にあり得る。
マイケル・A・オズボーン氏は、こうしたプラスの面について次のように述べている。
「ロボットやコンピューターは芸術などのクリエイティブな作業には向いていません。となれば、人間は機械にできる仕事は機械に任せて、より高次元でクリエイティブなことに集中できるようになるわけです。人間がそうして新しいスキルや知性を磨くようになれば、これまで以上に輝かしい『クリエイティブ・エコノミー』の時代を切り開いていけるのです」
テクノロジーの進化によって、職業の概念は大きく変わる。
私たちはルーティン化された作業に埋没することなく、真にクリエイティブな仕事へとシフトしていかなければならない。
http://www.asahi.com/articles/ASJ3M540VJ3JTIPE02Q.html
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40925
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24HBT_U6A320C1TI5000/
http://www.huffingtonpost.jp/2016/03/21/ai-novel_n_9519634.html
http://www.asahi.com/articles/ASJ3P6F3VJ3PUCVL00G.html