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ハリウッドとは違う『葬送のフリーレン』に描かれる本当の強さ

さて、前回の第1部では、ハリウッドが描く「強い女性像」について触れ、視聴者が感じる飽和感や批判についてお話しました。今回は、その対比として、日本のアニメ『葬送のフリーレン』に登場するフリーレンやその他の
女性キャラクターたちの魅力に焦点を当てていきます。

ハリウッドとは一味違う、日本のアニメが描く「本当の強さ」とは何かを一緒に見ていきましょう(日本の〜とは言っても、今回取り上げるのは葬送のフリーレンだけですが。。)。

フリーレンのキャラクター描写《強さの裏にある弱さと成長》

『葬送のフリーレン』の主人公であるフリーレンは、見た目こそ冷静で感情をあまり表に出しませんが、彼女の強さは単なる戦闘能力や魔法の力に留まりません。むしろ彼女の強さは、長い時を生きるエルフとして抱える感情的な葛藤や内面的な成長にあります。

例えば、彼女は長い旅を続け、過去に失った仲間との別れを思い返すたびに、彼らとの時間の儚さや自分の感情に向き合う姿が描かれています。

特に勇者ヒンメルとの思い出は、フリーレンにとって大きな意味を持っています。ヒンメルの死を通じて、彼女は時間の大切さや人との絆の意味に気づき、後悔を抱えながらも成長していくのです。
ヒンメルの存在は、彼女の心の中で「強さ」以上の影響を与えています。

また、彼女の師匠である魔法使いフランメも、フリーレンにとって欠かせない存在です。フランメは単に強い師匠としてだけでなく、知恵と経験を持ちながらフリーレンに人生の教訓を伝えます。

フランメの教えはフリーレンに深く根付き、彼女の旅の中で何度も立ち返る指針となっています。こうして、フリーレンの強さは物理的な力だけでなく、フランメやヒンメルとの繋がりから来る感情的な成長や内面的な強さにも由来しているように思えます。

フリーレン以外の女性キャラクターたち《多様性と人間性の描写》

フリーレン以外にも、『葬送のフリーレン』には魅力的な女性キャラクターが登場します。例えば、フリーレンの師匠フランメは、単なる「強さ」を象徴する存在ではなく、知識や経験を通じてフリーレンに影響を与えます。

フランメの言葉や行動が、フリーレンの成長にどれだけ大きな影響を与えたかが描かれることで、彼女の存在が物語全体に重要な役割を果たしていることがわかります。

また、フリーレンの仲間たちも、それぞれが異なる価値観や人生経験を持ちながら、物語に深みを与えています。彼女たちは強さだけでなく、感情の揺れや人間関係の中での葛藤が描かれており、単純な強い女性像にとどまらない、より深いキャラクターとして成り立っています。

このような描写は、視聴者に多様な視点で女性の強さを感じさせる重要なポイントです。

ヒンメルとフランメの重要性《フリーレンの心を形作る存在》

ヒンメルフランメの存在は、フリーレンの成長において特に重要です。ヒンメルは、彼女にとって単なる仲間ではなく、心の中で大きな存在感を持ち続けています。

彼の優しさや人間らしさが、フリーレンの心を変えていきます。彼が亡くなった後も、その影響は彼女の旅を通して感じられ、彼の言葉や行動がフリーレンにとっての感情的な指針となっています。

一方で、フランメはフリーレンにとっての師匠であり、知恵や人生の教訓を与える存在です。フランメから学んだことは、フリーレンの強さの根底にあり、彼女の決断や行動に常に影響を与えています。

このように、フランメとヒンメルという二人の重要なキャラクターは、フリーレンの内面の強さと成長に深く結びついており、物語において欠かせない存在です。

ハリウッドとの対比《強さの描き方の違い》

ここで、前回触れたハリウッドの女性キャラクターと対比してみましょう。ハリウッドの強い女性像は、どうしても「強さ」だけが前面に出されることが多く、その強さの理由や背景が十分に描かれないことがあります。

これに対して、『葬送のフリーレン』では、フリーレンや他の女性キャラクターたちの感情的な背景や成長過程が丁寧に描かれており、強さだけでなく脆さや葛藤も重要な要素として扱われています。

フリーレンのようなキャラクターは、「強さ」の中にある感情の奥深さを示しており、彼女がどのように成長していくかを見守ることが視聴者にとって大きな魅力となっています。

今回ご紹介したフリーレンや彼女を取り巻く女性キャラクターたちは、感情的な成長や人間らしい描写が魅力的です。

そして、物語の始まり方、フラッシュバックの描き方、これらのトリックは超一流だと感じる作品です。

次回は、なぜハリウッドと日本アニメでこれほど描き方に違いが生まれるのか、文化的な背景やストーリーテリングの違いを掘り下げていきます。

おわり

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