コーヒー豆を手挽きするようになって
日々リモートワークをするようになって、家でコーヒーを入れて飲むことが増えた。
お気に入りの豆(挽いたもの)をオンラインで買っていた(そこでしか買えない)が、あるとき、豆の状態で買う方がかなりお得だということを知り、Amazonで「コーヒーミル」を検索していて、ふと、昔、実家で父が手挽きしていたことを思い出した。
実家に帰ったとき、母に尋ねたら、納戸からきれいに手入れされたコーヒーミルが出てきた。
「お父さんがコーヒーに凝ってたとき、買ったのよね」と母。
そう、父は凝り性で、カメラとか、道具とか、モノを揃えることから楽しむ人だった。
今はもう使っていないというそれをもらい受けて、豆の状態のものを買い、さっそく挽いてみることにした。
朝、夫と息子を送り出した朝のキッチンで。ちょっぴりワクワクしながら。
やってみると、これがなかなかに手間がかかった。
豆が刃に絡むのがとにかく気まぐれで、豆の位置をときどき調整しながら、レバーを回し続ける。
絡まない時間が長くなると、あぁ!もう!と、ちょっとイライラ。
それでも絡んだ瞬間…握っているレバーがちょっと重くなる手応えがあり、さらに続くメリメリメリメリ♪という音が、めちゃくちゃ気持ちいい!
気持ちよくて楽しくて、ずっと続いてほしいと思うけれど、また手応えがなくなり、キコキコと空回りを続けるレバーの音が響く。
そんな風に手挽きするようになって3日目、挽いている間、その日の自分の状態を見るようになった。
コーヒーミルが自分の思いどおりになってくれないことに苛立つのは、なんとなくモヤモヤしているときだったり、心配事があったり、その日の仕事のことを考えてナーバスになっているとき。
逆にコーヒーミルがどんな動きをしても一向に気にならないのは 心に余裕があるとき。
窓の外の緑を眺めながら、ボーッとゴリゴリする。
絡んだときはあぁやっぱり楽しい♪とは思うけれど、それだけ。
もう分かりやすい。
毎朝同じことをやっているからこそ、その変化がよく見えるのだろう。
そして使い始めて1週間、思ったのだ。
「自分でコントロールできないことにイライラするのはムダだな」と。
一生に使えるエネルギーは限られているのに、自分の意思でどうしようもできないことに心惑わされてエネルギーを持っていかれるのは、ただただもったいないと思った。
コントロールできないことに対してこそ、泰然と、悠々と、ゆったりした気持ちでいたい。
だって、どうしようもないんだから。
ムダに抵抗して、反発しても、疲れるだけだから。
そこはのらりくらりと笑顔でのぞみ、
自分の本気(エネルギー)は「大切にしたいこと」に使おう。
コーヒー豆を手挽きするという、一見ムダな作業が教えてくれた
人生の貴重な時間をムダにしないコツ。
挽きたての豆にお湯を注ぐと、フワッと膨らむことも発見した。
それをみて今日もニンマリ。
幸せはそこここにある。
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