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タジキスタン・パミール再訪記7 〜ドゥシャンベ散策・中編 本屋に行こう〜
ドゥシャンベ到着後、宿と食事と通信手段の確保は無事に行うことができた。ドゥシャンベでは後はフリータイムである。まずは本屋に向かうことにした。
目指せ本屋
Tcellで現地SIMを入手し、ヒソールのお兄ちゃんにバクシーシした後は、本屋に向かうことにした。
私は元々ペルシア語の詩に興味があり、今のようにパミールに特に興味を持つようになる以前は、主には「ペルシア語詩人の父」ルーダキーの出身地ということでタジキスタンに興味を持っていた。パミールに特に興味を持ってからは、同地にイスマーイール派をもたらしたペルシア語詩人ナーセル・ホスローも重要な位置を占めるようになっている。
これらの詩人の原文(発音を正確に知るにはキリル文字が望ましいが、アラビア文字表記も欲しい)、あるいはロシア語訳や、もしあれば英訳も入手したかった。
行くべき本屋はいくつか目星をつけていたのだが、一軒目は改装中で閉店していた。しょうがないので二軒目に行くも、そこも閉店中(恐らくは長期の)だった。やたら閉店が多い。
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お金を無心される その3
二軒目の本屋に向かっている途中、横断歩道を渡っていると子どもたちが近寄ってきて声をかけてきた。タジク語で返事をすると、「タジク語話せるの?」「少し話せるよ」的な会話になったが、すぐに
「プル、プル!(お金、お金!)」
と元気に言ってきた。「お金はあげないよ」と言うと、
「プル(お金)はロシア語で何だっけ?」
と聞いてきた。「ロシア語では『ヂェーニギ』だよ」と言おうとすると同時に、子どもたちもロシア語で何と言うかを思い出したようで、
「そうだ、デーンギ! デーンギ!」
とタジク語訛りの発音で言った。「そうそう、ヂェーニギ」と応えると、子どもたちは
「ダイ・ムネ・デーンギ!(ギブ・ミー・マネー!)」
とタジク語訛りのロシア語でさっき以上に元気な笑顔で言ってきた。外国人相手には、タジク語が通じる場合でもロシア語でお金をせびるのが流儀、といった感じなのだろうか?
「ニェーット!(ノー!)」
こちらも笑顔で応えた。
子どもたちはしばらく私の後をついて来たが、こちらが「ニェット」と言っていると間もなく退散した。ただし、その後も少し離れたところで何度か遭遇し、ニヤニヤしながらこちらを見ていた。
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本屋にて
三軒目の本屋は、開店中か閉店中かは不明だったが店内に入ることはでき、また店内もお客はおらず薄暗く営業中かどうか不明だったが、店員さんのお兄さんが一人いた。その店員さんに
「キトーブホーイェ・アシュオーレ・ルーダキー・ヨー・ノースィレ・フスラウ・ドーレード?(ルーダキーかナーセル・ホスローの詩の本はありますか?)」
と訊くと、店内の一角に案内され、そこの書架から古典詩から近現代の詩人の詩まで、いろいろな本を紹介してくれた。
ルーダキーは単独の本もあった。ナーセル・ホスローは単独の本は無いようだったが、複数の詩人のアンソロジー的な本の中にいくつか詩が含まれていた。
本文は、キリル文字表記のタジク語(ペルシア語)やロシア語訳の他に、アラビア文字表記のものもあった。アラビア文字表記のものはひょっとしたらイランから輸入したものかもしれない、と思ったが、奥付を見てみると、多くはソ連時代に国内で出版されたもののようで、イランで出版されたものは見つけた限りでは1冊だけだった。
アラビア文字表記のものの中には、タジキスタンの作家がペルシア文字で書いたもの?や、ソ連時代の学者と思しき人が解説を書いているものもあり、これは(イランやアフガニスタンのペルシア語ではなく)アラビア文字表記のタジク語かもしれない、と思った。
いろいろ目移りがし、また近現代のタジキスタンの詩人には詳しくなく名前を聞いたことがない作家のものは買うのを躊躇してしまい、迷った挙句に果たして良い選択ができたのかどうかは全く不明だが、最終的に以下の6冊を購入した。
ルーダキー詩集(ロシア語訳)
ルーダキー詩集(ソ連の学者と思しき人による解説を含め全文アラビア文字表記。解説の文章にイランやアフガニスタンとは違うタジク語的特徴があるかどうかは本校執筆時点で未確認)
古典詩の詩集(ロシア語訳。ナーセル・ホスローの詩もいくつかあり)
古典詩の詩集(ロシア語訳。ナーセル・ホスローの詩がもう少し多い)
オマル・ハイヤームのルバイヤート(キリル文字表記による原文およびロシア語訳)
フォルーグ・ファッロフザード「新たなる生」(キリル文字表記。原文をそのままキリル文字表記にしたものか、イランのペルシア語からタジキスタンのタジク語への翻訳がされているかは、本校執筆時点で未確認)
店員のお兄さんがせっかくいろいろ紹介してくれたのを活かせたかどうかが不明なのが多少心苦しかったが、お兄さんにお礼を言って本屋を後にした。
なお、上記の本は本校執筆時点で未だ積読状態である。時間を見つけてちょくちょく解読していきたい。
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