①マーケティングリサーチ ②UXリサーチ ③エスノグラフィリサーチ の違いを考えてみた
なんとなく理解がふわっとしていたので、整理してみる。
マーケティングリサーチについては自身のマーケターとしての経験を整理する。UXリサーチは経験がないので、マーケティングと比較したり関連性をみたりして考えてみる。
マーケティングリサーチ
・ 企業などの組織が、商品・サービスを提供するために、お客様を知り、お客様にあった商品・サービスをつくることで、様々な経営資源を効率的に運用するために顧客を知る活動
・企業のマーケティングの一環として、顧客のニーズ・ウォンツをリサーチすること。 またその手法をさします。
(※参照:http://www.jmra-net.or.jp/faq/mr.html)
あくまでマーケティング活動の一環。
じゃあマーケティングってそもそも何かっていうと、要は売れる仕組みをつくること。市場分析からターゲティング・ポジショニングからマーケティング・ミックス(4P)、戦略実行まで。
マーケティングは顧客満足を軸に『売れる仕組み』を考える活動。顧客にとって価値のある製品やサービスを提供するために必要なすべての要素をコントロールする役割を担い、その結果、顧客からの信頼を勝ち取り、継続的に成長することを目的とする。(グロービス経営大学院 MBA用語集)
経験上、各段階こんな風にリサーチを使っていることが多い(と思う)。
・市場分析:市場環境を調べる調査。競合調査、市場ボリュームなど。デスクトップリサーチでわかることも多い
・セグメント・ターゲティング:ターゲットやコアコンセプトを決めるための調査など
・4P:ブランド認知・選好調査や、製品・サービス改善のためのインタビュー調査など。ここでの調査が頻度としては一番高い気がする。
UXリサーチ
・「さまざまな場面で起きる人の知覚や反応について調べて明らかにすること」
・焦点は常にUX(=「プロダクトを使う前、使っている時、使った後に起きる人の知覚や反応のこと」)
・UXリサーチャーは「UX・ビジネスの両方の領域から、適切な探索と検証ができる」ことが求められる(※)
※調査を通して「ユーザーが対価を払いたくなる価値が提案できているか(主にUX領域)」「ビジネスモデルが受け入れられるのか(主にビジネス領域)」を明らかにすることが必要だが、それには専門性が求められる。ここを満たすのがUXリサーチャー
(※参照:ProductZine プロダクトマネージャーに贈る、UXリサーチの入門と実践~ユーザーとともに価値あるサービスをつくるヒント~ 第1回 より)
定義的には、プロダクト・サービス開発とマーケティング、どちらにもまたがる調査でありそう。
開発の一部とも、マーケティングの一部ともいえる。そんなイメージ。
マーケティング戦略立案のステップで考えると、UXリサーチはターゲティングを決めるor決まってから登場することが多そうな・・
(このあたりはUXリサーチの理解がまだ浅くいまいち言い切れないけど・・ある程度ビジネスモデルの形が見えてこないと検証しづらい、探索の対象が広すぎて調査実施が困難 などがありそう)
じゃあマーケティングリサーチにUXリサーチが内包されるかというと違和感がある。これは、わたしがこれまで所属してきたマーケティング部門のミッションがプロモーションに偏っていたからかもしれない。外資消費財メーカーのように、マーケティング組織がプロダクトの開発や改善をリードしていれば、ここを含むことには違和感はないかも?
エスノグラフィリサーチ
もともとは社会学・人類学の手法であったエスノグラフィ(参与観察調査=研究対象の人びとの活動に自身も参加しながら理解を深める手法)を産業界、実務に応用したもの。
■そもそもエスノグラフィとは?
・「エスノグラフィは(中略)人々の実践を記述・分析すること」。「少数事例の詳細な調査であり、主として構造化されていないデータを扱う。数量化や統計分析は行われたとしても副次的」。「主として単独の調査者によって行われる参与観察をベースとし、(中略)調査を行う」
・「手続きの度合いが低いこと、異化(※)やリフレーミング(※)の視点が不可欠であることが人類学的エスノグラフィの特徴」
(エスノグラフィを実践することの可能性 : 文化人類学の視角と方法論を実務に活かす、伊藤 泰信)
※異化:異質なものを馴染んだものに変換する、もしくは慣れ親しんだものを見知らぬものにすること
※リフレーミング:慣れ親しんだ身近なフレームを見直すこと
人類学の参与調査の事例では、日本から遠く離れた国で、1~2年間ローカルにどっぷりつかって調査するものも多い。
また、偶発的な出会いが重視され、事前の調査設計のつくり込みなどはないとされる。
■ビジネス・エスノグラフィ
・産業界におけるエスノグラフィ活用には2つの傾向がある。
①様々な業務やオペレーションの改善・最適化
「必ずしも言明と一致しない人々の行動(業務)を第三者的に観察することによって無駄や不整合を改善する方途を見出す」
②消費者の実践への肉薄によって、製品・サービス開発のためのコンセプトを導出する
・「仮説の生成やインサイトの獲得に力を発揮する」
(エスノグラフィを実践することの可能性 : 文化人類学の視角と方法論を実務に活かす、伊藤 泰信)
マーケティングや開発のプロセスで使われる調査手法の一つという理解ではあってそう。
産業での活用パターン①はビジネスのどのプロセスでも活きそうだし、②はマーケティング、開発どちらの目的とも合致する。
ただ、どんな調査でもそうであるように、結局はその調査から見えることの分析・解釈がキモだろうなあ。
エスノグラフィの場合、それは「異化」・「リフレーミング」などの人類学的な部分にありそう。
(この辺を今後の勉強で深めていきたいなあ)
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