高齢者医療費の財源はどこから来て、どこに向かうのか?
我が国では、今の所65歳以上を高齢者としています。75歳以上になると後期高齢者となり、今までの国民健康保険や被用者保険から、一律に後期高齢者医療制度へと移行します(図1)。
では、後期高齢者医療制度にかかる費用は、後期高齢者自身が負担しているのでしょうか?後期高齢者の医療費を誰が、どの割合負担しているのかを示したのが図2です。
全体の医療費18.4兆円のうち、後期高齢者が負担している分は窓口負担の1.5兆円+後期高齢者医療保険料の1.5兆円であり、全体の16%に過ぎません。現役世代の支援金とは、我々が支払っている保険金(国民健康保険や被用者保険)です。これだけでも現役世代が後期高齢者医療を支えていることがわかります。しかし、グラフをよく見ると右側は公費(税金)となっています。これは、我々現役世代がかなりの負担をしている所得税などの税金が充てられています。つまり、後期高齢者の医療費は現役世代が負担していることが分かります(この公費についての精査はこれからしていきたいと思います)。
令和4年10月1日から、ある程度収入がある後期高齢者(どのくらいの収入が該当するかは、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21060.htmlに記載されています)は、今までの窓口支払が1割負担から2割負担になります。2割負担に相当する方は、後期高齢者の約20%になるとのことです。図2の後期高齢者の窓口負担金を見ると、僅かな増加に止まることが分かります。
今後、高齢化社会において、この後期高齢者医療費が増加の一途となれば、日本の国民皆保険を維持していくのは困難になるでしょう。図3のように後期高齢者が増加し、現役世代の支援金が増えることは既定路線になっています。それだけでは賄いきれず、確実に増税が必須となるでしょう。
今回は、後期高齢者医療費の現状をお示ししました。医師側が日々悩ましいのは、増え続ける後期高齢者医療費を横目に、後期高齢者の医療技術がどんどん発展し、中々死を迎えることが難しくなっていることが挙げられます。これについてはセンシティブな内容なので、以後考えを書いていきたいと思います。