これが人文学の魅力か!【「知の技法」入門】【読書メモ】
基本情報
タイトル:「知の技法」入門
著者:小林康夫、大澤真幸
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なぜ読んだ?
図書館でNDC002のコーナーをまわっていたときに発見した本。対談形式で「知」について考えられる面白そうな本だと思い、借りた。
感想総論
人文系の知の魅力がすごい伝わってきた。文系の大学2年生くらいが読むととても感動するかもしれない。
感想各論(読書メモ)
一人の人の全集を読む
社会の仕組みの全体像を書いた本としての『資本論』→近代社会の全体を相対化
歴史的にも社会的にも一つの世界観を提示する本
自然科学と人文科学のインタフェースは非常に面白い。『自我の起源』読みたい
渡辺慧『時』物理学の中で時間を考える
20世紀人文科学の流れを知る。実存→構造→脱構築。20世紀思想の理解が深まった。
p62結論ではなく、思考の過程を読もう。
結論へのショートカットが横行し、また求められる現代に、必ず結論の背景に思考過程があることを思い出したい。自分で思考して何かを生み出す時は過程が重要なので。
わからないものが読んでいるうちにわかってくる経験をしていきたい。心がシンクロする本、同じ問題意識を持った本には出会えるのだろうか。
本だって、初めから終わりまで最初からわかった上で書いているわけではない。一緒に思考の過程を追い、探ろう。p70長めのレビューを書いてみること。400字詰めで2~30枚くらい。
心打たれるパッセージの書き写し。p75入門書について。これは知りたい内容だったので興味深かった。
キーコンセプトが全くわからず読んでも仕方ない。『100分で名著 純粋理性批判』にて、西研が「何をきっかけに書こうとして、何を示そうとしたのかを知っていれば哲学書は読める」のようなことを言っていたのを思い出した。入門書の著者が、元の書に深く感動していることが伝わってくるのが良い入門書。でもそれは読まないとわからない。結局、評判の良い入門書を読むのが良さそう。結論、キーコンセプトがわからない哲学書はとりあえずそのコンセプトを知っている程度に入門してから読む。入門書で「そうなんだ」と思って終わるのではなく、その後に原著を読む計画を立てる。p89翻訳の脇に原典を置く話。
「我思う、ゆえに我あり」の原典の、カンマをどう読むか、というところまで考えるのが精読。精読ということの意義や面白さを、少しだが初めて感じることができた。第3章:「誰にもわかる『実存主義・構造主義・ポスト構造主義』」と言っているが、「誰にも」は真っ赤なウソ。専門用語多め。結構深いところまで現代思想の知識を持っている人じゃないとちゃんと理解できないと思う。
p127 資本主義はディスコントラクション。
闘争モデルでは、「意味」を振りかざすゆえに、資本主義よりももっと恐ろしい絶滅抹消タイプのファシズムがもたらされることを20世紀の歴史が証明した。意味は危険、という考え方が面白い。p146まで
実存主義の話はなんとな〜くしかわからなかった。知らない思想家や知らない概念や知らない比喩が多く出てきた。p147『暇と退屈の倫理学』の消費社会に惑わされずに「浪費」をしようという論と似たことを言っていそう。資本主義というものの内部に取り込まれていない意味での主体性を復活させられるか?
p148「資本主義は変数Xへの欲望によって動くシステム」←資本主義の言語化としていいね!!!
p157「おそらく人間が知りたいことは、特に若い人が知りたいことは、学問の分野にこだわっていたら本当のことはわからないし、それぞれの分野で起きていることを互いに刺激し合いながら深めていくような知的営みが出てくる時ようやく学問の面白さもわかってくると思うんです」良い文!
p173~175科学に対するよい考察。
心理現象が脳と対応していることそれ自体の不思議には、科学的研究とは違ったロジックでアプローチしないと。そこで人文知。
量子力学と、哲学的な認識論と存在論が合流してほしい…カオスのエッジで意識や秩序について考える…こういう学習をもっとしていきたいね。複雑系の科学の勉強をしたい。
複雑性の縮減による増大は、実体験としてよくある。
最終章の知についての考察は、考えてきた人たちらしさが滲み出ていた。
行為としての知を探求したい。
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