life span
「life span 老いなき世界」について
(英語版も見ましたよ。)
結論
この本は、今までの常識を一気に覆す可能性がある。
医療関係者、科学に触れている者、そうでない者にとっても「確かにそうだなと腹落ちする」書である。
著者について
デビッド・シンクレア:老化研究では知らぬ者のない第一人者(ハーバード大学医学大学院の教授)
(元出芽酵母の研究者:パンやビールを作るときに使われる酵母である。)
マシュー・ラプラント:サイエンスコミュニケーションが専門の大学教員にしてジャーナリスト
テーマ
人生100年時代とも言われるように、人類はかつてないほど長生きするようになった。私たちはよりよく生きるようになったと言えるだろうか?
もしいくつになっても若い体や心のままで生きることが可能となったら、社会、ビジネス、あなたの人生はどう変わるのだろうか?
「老化」に抗うことは、果たして、それが正しいことなのだろうか?
副テーマ
全ての人間の死が、疾患が原因ではなく、「老化」が原因であるならば、
老化を治せば良いのではないだろうか?
老化を治せば、人は人としてもっと生きられるのではないだろうか?
現在の常識
「老化」=老化だからしょうがないよねという感覚である。
医者が老化で亡くなったと発言する。→学会には認められない。
長く生きる事ができるようになったが、人間らしく生きるのではなく、「晩年=医療を受けること」という認識を生んだ。
シンクレアは、現在の老化の常識に対して、問題提起をしているのである。
何故なら、人の死はある共通点があるからだ、それが「老化」である。
「病気」と「老化」を切り離して考えると、どうやって人生の終着地点までたどり着いたのか、ぼやけてしまう。
もちろん、誰かが崖から飛び降りて死んだのなら、「何故、落ちたのか?」を調べる事は大切である。
しかし、何故崖まで行ったのかを調べるのは同じぐらい大切なのである。
(要は、そこにたどり着くまでのプロセスを辿る事が大切である。)
そのプロセスの中の原因が、「老化」であると筆者は言っている。
「心臓病」は心臓が原因で、殆どの人は亡くなっているのではなく細胞の老化によって亡くなっているのである。
現在の「モグラ叩き式の医療では、部分部分は見るが、包括的に原因を探る視点が抜けている」と、筆者は言いたいのだ。
例:80歳を超えたおじいさんが、どこかしらの臓器が悪く、手術をする。
手術大成功
でも数日後、体調が芳しくなく
ドクターより「手術により体力を失ったみたいです。頑張られていましたが、やはりダメでした。」って言われる。
患者家族は、「おじいちゃんは頑張ったよ。」と言う。
しかーし、
科学的に見ると「そんなに悪くなる前に、やれる事あったんちゃうの?」ってなる。
それが「老化防止」だもんね(byシンクレア)
シンクレアは
酵母の元研究者である。
「酵母は単細胞だが、ちゃんと核を持った真核細胞である。
人間とは大きな隔たりがあるが、生命現象の基本的なところはかなり類似している。」
根本的な所に刺激を加えたら、ちょっとは良くなると思うよ。
今回の件だって、手術をしたことによって、違う部分の死のリスクを誘発したって考えるのが、妥当
反対意見として、
いや、だって「老化は老化でしょ?」と言う意見がある。「カエルはカエルやし」
シンクレア的には、
「だってお前ら、ライト兄弟の事馬鹿にしていたけど、今普通に空飛んでんじゃん。
地球が住めなくなる可能性があって、他の星に移動するためには、長生きしないと
途中で息絶えちゃうんだよ。」
新しい星みたくないの?
孫の孫にも俺会いたいもんね。それって変な事?
ドラゴンボールの真似したくないの?(不老不死楽しい。)
※注意事項
確かに、時代と言うのは勝手に進んできたのではなく、間違いなく科学が発展したお陰である。
(これは、賛否あるかとは思うが、ここでは、こう定義付けたい。)
何故ならば、ワクチンの有用化は医療者が決めるのではなく、科学の根拠を元に決めるのである。
また、過去の事項に関しても科学的な根拠をもとに正否の判断が下されるのである。
シンクレアさんは、なんでそこまで言い切れるんや?
老化は「活性酸素」が原因って
(ブドウ糖が活性酸素に効いて、癌細胞などの予防などに繋がる)
ワイドショーとか○○Kとかでやってるで!!
残念でした!!
「活性酸素はとっくに否定されてます。」
それは、クローン羊の出現で完全に否定されたんです😁
ホンマかワイ、知らんかった(泣)
「老化」は簡単に言ったら、DVDの傷と一緒なんです!!
(どういう事や)
DVDに見立てると、
DVDを使えば使うほど、DISCに傷がつき、やがて読み取れなくなり、
画面(ゲノム)に映らなくなる。
でも、傷を研磨して仕舞えば(どこかで細胞へのリセットボタンを押せば)
また、細胞は復活するのである。
リセットボタンはどこにあるんでしょう?
(いい質問ですね!!)
その前に、
老齢に関連する3つの経路があります。
サーチュイン
AMRK
mTOR
上の3つの経路、特にサーチュインを持ち場に返す事が、DVDへの研磨材である。
実は、リセットボタンはまだ見つかっていないんです。
でも、老齢の細胞からクローンを作ったら、クローンが若返ったんです。
それこそが、リセットボタンなんです。
筆者が「老化」は病気だと気づいたきっかけは、
「ウェルナー症候群」である。見た目は80歳だけど実年齢は40歳に見える病気である。
エピゲノムは、細胞のアイデンティティを決定する。問題は、それがアナログということだ。デジタルと違って、アナログ情報は時間とともに劣化する。なによりコピーする際に、少しずつ情報が失われてしまう。
エピゲノムの情報が失われると、細胞は自らのアイデンティティを失い、生まれ替わる細胞もアイデンティティを見失う。そうなれば、組織や臓器は次第にうまく機能しなくなって、ついには動きを停止する。これが「老化」の正体である。
研究を進めるにつれ、「エピゲノム」を劣化させる事により、
筋力低下
目は濁り
関節は痛み
骨密度は低下
認知力も低下
要すれば、「エピゲノム」を活性化することをやればいい!!
カロリー制限
間欠的に絶食
アミノ酸を制限
汗をかく
寒さに身を晒す
「老化」改善方法
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)
ポリフェノールとして有名なレスベラトロール
AMPKの活性化には、
糖尿病の治療に使われる安価な薬剤メトホルミン(月額$5未満)で手に入る。
しかし、現在は「老化」はまだ疾患、病気として認定されていないので、
国からの研究費も殆ど出ていない状況です。研究費も勿論大切ですが、
まずは、国の法律を変える必要があるんです。
アメリカとシンガポールは法規制に動いています。
やがて、「老化」が病気として受け入れたれるのも時間の問題なんですが、
公的な資金が投入されないと、最後の1手が打てないんです。
この、資本主義の世の中寿命の差が貧富の差になっています。
しかし、本当の富裕層は世の中を良くしたいとは望んでいても、
そんな世の中を望んではいないんです。
だから、誰もが医療を平等に受けれるように、誰もが老化を病気と認定できる世の中が訪れた先にはきっと素晴らしい世の中が待っていると思うんです。今の60代から上の世代は、その恩恵を受けれないかも知れないですが、研究が進むにつれて必ず、平均寿命が今よりも大幅に高くなっている世の中がきっと待っているんです。
「健康寿命が伸びた時、それこそが世界を大きく変える力になるはずである。」
今までは、ただ死ぬのを待てば良かった。
今以上に共感と思いやりの心を持ち、心を許し、より公正になる。
「友よ、私達は人間らしくならねばならないのだ。」
「life span 老いなき世界」を読み終え、
筆者は今まで誰も切り込んでこなかったタブーに、切り込んでいるというふうに感じた。
しかし、日本ではタブーであっても、実際諸外国(オーストラリア・米国・シンガポール)
などでは、研究が進んでいるという印象も受けた。
その一つが、日本人の山中教授のIPS細胞の発見である。
あの研究は、アメリカの研究所の施設がなければ発見されていなかったとも言われている。
要は、日本はどんどん世界から遅れをとるようになると言わざると得ない。
確かに、人間というものは、常識を打ち破るためには、
それなりのエネルギーが必要であり、それなりの行動が必要である。
しかし、我が国日本ではタブーに対して議論をする土俵にも上がっていない。
それは、「大麻」「尊厳死」についても同じ事が言えると思う。
私も議論なくして、進歩はあり得ないと思うタイプなので、ある一定の理解は示せると感じる。
そして、シンクレアさんをYouTubeで拝見して、「人物的にも本当に優れている方だな」という印象を受けた。
「もう材料は揃っているから、最後の1手を打つのはそこにいる君なんだよ。」と
言われているようにも感じる。
ただ、尊厳死と同様、「望む老化」「望まない老化」など、
倫理的、社会的問題にも発達し、一筋縄ではいかないんだろうなとも感じる。
筆者の
「何か守りたいものがあったけど、守れなかったことへの何かの罪滅ぼし的な雰囲気」も少しだけだが、感じる事ができる。
未来の話が好きなものは、
ロマンが好きなものは、
少し目頭が熱くなるのを隠せない、素晴らしい1冊なのではないだろうか。
以上で、考察を終わる。
「人間らしく生きるのは、一体どういう事なのだろうか?」
というテーマを突きつけられているような気がする。
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