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ビオラおじさん

おひさまとビオラじぃじに見守られみぎにひだりにランドセルぴょこぴょこ

おひさまとビオラじぃじにみまもられみぎにひだりに
ランドセルぴょこぴょこ

亜希

そのままの解釈になりますが、お日様とおじさんの顔に見えるビオラの花に見守られながら

ランドセルが歩いているように見える新一年生の様子を「いってらっしゃい」「どうぞご安全に」と

いう気持ちで見守っている気持を詠みました。

期待と不安に慣れないすべての人へ。私もこのシーズンが苦手なので、それも含めておじさんに託しました。



入学の記憶といえば、思い出すこと。

私の出身小学校では、入学のお祝いに上級生が育てたビオラ(すみれ)の花がプレゼントされる。


漆黒のようなビロードのむらさきに白と黄色と青色が入った可憐でちいさな花が植木鉢に一輪

とても大事に両手でもって帰ったのを憶えている。


おかげでこの花が大好きになった。大人になって春になると鉢にビオラを植える。

可憐な姿とは対照的に花は逞しく育ち、陽ざしに向かって伸びてゆく。


帰宅して花に目が留まった時だった。一斉にこっちを見ているように見え、

一瞬ビクッとなる。ビオラがおじさん顔に見えたのだ。


それからはもうたくさんのおじさんにしか見えなくなった。


おじさんたちは、プリングルスのような髭をたくわえ王室貴族のよう。


彼らは、皆おしゃべりで「おおよくぞ帰った」「どこにいっておったのじゃ」と声が聞こえてきそうな気さえする。


風が吹くと一斉に笑い出すように見えるし、お散歩中のワンコにクンクンと嗅がれても動じず、

いつでも機嫌よく過ごしている。


4月はどうしたって不安になる。すべてが新しいことになんの戸惑いもなく進んでいくようで、

私はこの季節がとても苦手だ。


おいていかれてしまったような気持ちになりながら、そんなことないように振る舞わなきゃいけない気がして

すべて抱え込む。


この時期は浅い呼吸ばかりになってしまっているそうで

肩が上がってしまった私を診て、鍼灸院の先生は「立ち止まって深い呼吸を意識するといいですよ」と

伝えてくれた。


外出先から戻ってだんだんと家が見えてくると真っ先に視界に入るのは、おじさんたち。

彼らは、すべて知っているように「おかえり」と迎えられ

ようやく息を吐き、心の中で「ただいま」をつぶやく。



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