どぎつい桜餅
ここ数日、暑いくらい。
桜餅の季節を飛び越してしまったようだけど、なんだか食べたくなったので買ってきた。
私が馴染みのある桜餅は、餡が包んであるタイプのもの。西のほうのやつ。
餡が巻いてあるものがあるなんて、大人になるまで知らなかった。
やさしい桜色をした、もち米を粗く潰したようなお餅の中に、程よい甘さのこし餡。
食べた後も手に残る桜の葉の香り。
最高だ。春だ。
桜餅と言うと必ず思い出すのは、母がつくってくれた桜餅だ。
道明寺粉だったのか餅米だったのかは不明。
でも、炊飯ジャーで炊いてたのははっきり覚えてる。
なぜなら、炊飯ジャーの蓋を開けた光景を忘れようにも忘れられないからだ。
やさしい桜色を想像しながら開けたのに、目に飛び込んできたのはショッキングピンクだった。
明らかに食紅の量を間違えていた。
しかし母はものともせずそのまま桜餅を完成させた。
ショッキングピンクに桜の葉を纏った桜餅は、子どもの記憶に刻み込まれるには十分すぎるルックスだった。
おそらく目をつぶって食べれば味は一緒だったのだろうけど、美味しかったのかどうか、味を全く思い出せない。
食べ物は見た目も大事なのだと身に染みた出来事だった。
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