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ジャーナリングのススメ:人生の航海日誌のつけ方をみつけよう

今年も株式会社MIMIGURIのアドベントカレンダーの時期がきました

MIMIGURI代表の安斎さんの新著冒険する組織のつくりかた「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法にちなんでメンバーみんなで #わたしたちの冒険というテーマで書きます

他の記事はこちらのページにまとまっているのでぜひチェックしてください

人生の冒険は毎日がスペクタクルではない

わたしたちの人生の冒険は毎日の積み重ねでできています

やる気に満ち溢れた日もあれば、何故か力が出ない日もあるし、思いもしなかった出会いがある日もあれば、ずっと1人きりで孤独を感じるような日もあります

最近私は「なんでもない日をどう過ごすか」ということを考えます

風が吹かず、波も立たず、どちらに進めるのかもわからない、気持ちは焦るがどうすることもできない

そんな「凪の日」を豊かにやり過ごすための方法について、経験をまとめてみようと思います

凪の日こそ航海日誌を書く絶好の日和

冒険について考える時、大きな波の乗り越え方や、追い風の掴み方のような動的な側面に意識が行きがちな気がします

むしろ、どちらに進めばいいかわからない、なんとなく前に進めない、そんな時に自分に向き合える方法を持っていることが人生の冒険の役に立つと思います

私の人生の航海日誌

止まらない頭の中のぐるぐる思考

一年程前の私は仕事や育児に奔走して、朝起きてから夜寝るまでずっと頭がフル回転しているような状態で、休日になっても同じような考えがずっと脳内で回り続けているような状態になっていました

忙しくなってきたり寝不足だったりすると特にひどくなり、仕事をしている時意外はpodcastをずっと聞く事で思考を散らしてなんとかしていて、たまにラジオを聴きながら本を読んでるような日すらありました

そんな状態で家族と過ごしていても全く楽しめるはずがなく、しかも疲労は溜まる一方で、自分の気持ちが麻痺していくような感覚でいました

自分なりのやり方を工夫する

そんな中ジャーナリングについて知り、いろいろな方法を試しました

基本的に飽き性なので毎日続けるのは難しいと考えて、あまり方式にこだわらず自分に合ったやり方をいろいろ模索してきました

一年続けるうちに自分の状態を自分で認識できるようになり、過度な思考を自覚しながら、気分を落ち着けられるようになってたので、今も続いている3つの方法をシェアします

ノートにひたすら考えを書き続ける

これをやるとぐるぐる思考が止まり頭がすっきりします

私の場合は気に入ったノートと万年筆を使い、夜か早朝起き掛けの子供が寝静まっている時間に行っています

1日1ページを目安にして、頭に浮かんだ言葉をひたすら文字で書き続けます。ポイントは「他人に見せない」という前提を自分に約束してあげること

汚い言葉や他人へのネガティブな気持ちも頭に浮かんだら絶対そのまま書きます。普段自分でかき消してしまっている言葉を自分に出させてあげるのが大切です

こんな感じでぎっしり書いてます

今回は自分への約束を破って部分的に公開してみます

ちなみにこれはずいぶん前のものです。特に悩みが多かった時期のものなのでネガティブな内容が目立ちますが、最近はここまでではないです(そりゃたまにはありますが)

赤裸々な内容なのでポジティブな内容だとしても一部ぼかしてあります。黒塗りの行政文書みたいです

字が汚いですが、自分のために書いているので汚くていいです。何日か続けていく中で綺麗に書こうという気持ちをなくしていくのも結構大事だともいます

イライラしている時

雨がすごい昨日からイライラしている(略)何にイラついてるのかな予定が詰まっているのでイライラしてる気がするし(略)頭混乱してる、カレンダーもパツパツだしあー車の整備も連絡こないし、そんな時間もとれないし、ストレス溜まる(略)家族に迷惑かけないかたちでやりたい(略)やるべきことに追いついてない…

不思議なもので初めはめんどくさいとかイライラするとか書いていても、ある程度気持ちを書き切れると少し落ち着いた言葉に変わってきたりします(そうならない日もありますが)

書いているうちにだんだん前向きに、そして字が汚くなっていく

家族との時間を減らしたくない。というのは本当の気持ちだけど、むすめと話したり遊びたい、おくさんに負担をかけてしまうのが自分として嫌だ、というのもある、あくまで自分のためだという面が強い。体調がわるかったり、気分がのらない日でもコツコツ1日をすごすやり方を身につけたい
(略)
これはあれだ、1つ1つでいいから、何かやったというのを重ねていった方がいいやつだ(略)ひとつひとつOKにして、自分の調子をみていこう

ちょっと病んでいるように見えるかもしれませんが、自分のネガな面をちゃんと自分で見てあげておけると他人に嘘をつかなくてよくなるので健康的に過ごせる感じがします

同じことを頭の中で延々考えちゃうような時におすすめです

整理して書かないというのがコツだと思います。あとはしつこいようですが他人に見せない自分のためのノートを持つということです

考えていることを記事にまとめる

このnoteもそうですが、1ヶ月に一本程度自分が興味のあることや考えていることをnoteにまとめてきました

仕事に関わることはもちろんですが、子育てをする中での発見や、生活の中で興味が出たことについて他の人に伝わるようにまとめると、自分が考えていた事が自分でもわかるようになってとてもいいです

この記事はまさに日常の中で漫然と考えていることをまとめた記事です。反応がいただけるのも嬉しいです

人にわかってもらうためにアウトプットしていくことは、自分が世の中をどう見ているのかを知る事にもなります

あまり他の人の反応を意識しすぎず、自分の思った事を記事にまとめるということを重ねていくと、だんだん書けるようになってきます

案外人は適当な文章でも読んでくれるものだと思います。気楽に書いてみましょう

SF小説を書く

最後にエクストリームなやり方になるのですが、「小説を書く」というものです

私はこの一年自分のためだけに書いている小説があります

つまり、「自分のジャーナリング」と「小説の中の日常」を同時並行的に書いてきました。二つの人生を冒険してきたことになります

小説のタイトルは「山倉雄三記念館」です

以下の舞台設定だけを前提にして気が向いた時に思うがままに書いています

今からずっとずっと先の未来。舞台は日本のある地域の森の中にある「山倉雄三記念館」という私設の民族資料館。この館の雇われ館長である主人公の業務日誌

山倉雄三というのは適当に考えた架空の人物なので、実在の人物とは関係がありません。この自分で作った未知の世界について、その日に思いつくまま自由に書くことにしています

ある日のストーリーはこんな感じでした

.2063/02/15
午前中は掃除だけなのでそれほど忙しくない、館内を30分程かけて見回る。床掃除ロボットは1階奥の資料展示室の農具展示周辺はなぜか適当にしか掃除しないので、いつも箒で掃除が必要だ。
角をやり残すのはわかるのだけど、なぜか三箇所丸く拭き残す場所があり、設定を何度リセットしても直らない。新品に買い替えたいが予算は年々減っており難しいだろう。

明日は近くの街の小学生が団体で見学に来る予定になっている。基本的な説明は事務AIに任せておけば良いが、この館唯一の人間スタッフとしては人間味のある説明を補助しなければならない、私はこれがどうも苦手だ。人間味のある説明とはなんだろう
展示物については事務AIに聞けばほとんんどの事はわかる。山倉雄三の誕生日はもちろん、彼の好んでいた食べ物、口癖、地域への貢献活動、晩年の著作物の刊行部数などなど…
AIのインターフェイス端末には黄色い文字で「きこねっと」と印字されていて、館を5台が巡回している。研修の時に防犯用の銃器が装備されていると説明されたが、実演してもらえなかったし、幸いな事に今まで出番がなく存在を確認できていない。

掃除はロボットが(一部を除いて)完璧にこなしてくれるし、館の運営も人間がやる必要な事は何もない。私は人間としてここにいて、必要な時に来館者の相手をすれば良いという契約で雇われている。
問題は「必要な時」というのがいつなのかという事で、マニュアルも仕事内容も細かく設定されていないため、私なりに「必要な時」を見つけては来館者の相手をする。ちなみに募集には「支配人代理」と書かれていた。
AIに説明を受けた人にわざわざ声をかけるというのもタイミングや内容が案外難しいもので、必要な情報はすでにAIが提供しているため、「今日は天気が良いですね」「どちらからいらっしゃたのですか?」等の当たり障りのない声かけをドギマギしながらする事になる。

そもそも山倉雄三という人について来館者がどれだけ興味を持っているかも疑問がある。東北の片田舎の限られた地域でのみ名前が通り、教科書に載っているわけでもないこの人物について、わざわざ遠くから街を離れ森を抜けて来てまで何を知ろうというのか。私が言うのもなんだが、全く理解できない。

謎の設定で唐突な内容ですが、味わいがある気がします

これはあくまでジャーナリングとしての小説なので、他人が読んで面白い必要はないのです

書いていて面白かったのは、何日も書いているうちに自分が実生活で家族と話した事と、小説の中のエピソードが微妙にクロスオーバーする日があったりすることです

.2063/02/16
朝から腹痛が続いている。この事務室には来館者用の救急キットはあるが、事務員が使って良い常備薬は置いていない。
私は一人暮らしをしてもうずいぶん長いけど、薬を持ち歩くような甲斐性もなく、今は事務室の小さなソファーに横になって痛みの波が過ぎるのを待つしかない。
こういうとき独り身の寂しさにのまれそうになる。
私にはかつて家族がいたが、もうずいぶん昔のことなので自分の記憶なのか、何かの本で読んだのか定かではないぐらい遠い記憶になってしまっている

妻とはよく散歩をした

確かあれは私が仕事に悩んでいる時期だったと思う。以前勤めていた大学の事務員の仕事を辞め、一念発起して全く畑の違う会社に転職したばかりの頃だった。
周りが優秀に見えて自分の価値を感じられなくなり、他人と自分を比較しては自信喪失していた。

ずっと忘れていたけど、腹が痛くて気が滅入っている今の気持ちと当日の辛さがリンクしたのか、記憶が不意に蘇ってきた。

冬のよく晴れた寒い日で、日差しはあたたかいがたまに吹く風が肌を指すような日だった。私と妻は娘を保育園に送った後、仕事の前に近所の植物園の庭園を歩く事にしていて、元々は健康のためにはじめたのだけど、だんだん夫婦で話す時間として大切な習慣になっていた
「人と比較して何もできないと落ち込むのは、何にもできないと言いながら、できるようになる自分にすごく期待しているようにみえる」
確かそんな事を言われた気がする。今にして思えば仕事ができずに落ち込んでいた私を励ましてくれているようにも思えるけど、なんだかちょっと馬鹿にされているような気もして少し釈然としない気持ちになっていた
その後だんだん仕事にも慣れ、私は日常を取り戻していったが、果たして私は何かができるようになったのだろうか、どちらかというと、できるようになると言う事よりも、できない事に諦めがついていって楽になったように思う。それが良いかどうかはいまだにわからない

体調が悪いと、昔のことばかり思い出してしまう。今日は来客もない、このまま横になっていようと思う

外に公開するための小説ではないので特にオチも何もないのですが、私はこの日何故かこういう話を書きたくなり、その気持ちのまま書きました

これを読むと自分の当時の気持ちや、自分を取り巻いていた世界について、それを自分がどう見ていたのかを思い出す事ができます

創作することで自分の気持ちが落ち着いたり、考えがまとまるというのはものづくりを経験したことのある人であれば共感いただけることと思います

SF小説ジャーナリングは日々のジャーナリングと組み合わせると虚構と現実が入り混じり、謎の内省経験になります

おすすめできるかは、、ちょっとわかりません

さいごに

ジャーナリングや日記が続かないという人は多いのではないでしょうか

本やネットにあるやり方で続かなくても気にしなくていいと思います

これなら自分は無理せず書けるなというものを、いろいろ試す中で焦らず工夫して見つけていってもらえればと思い、この記事を書きました

冒険というと大きな変化や、大胆な行動を想起するように思いますが、自分の日々の変化を見つめ続ける習慣もまた、長い旅には必要だと思います

読んだ方の楽しい冒険の一助になれば幸いです

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明日のMIMIGURI アドベントカレンダーは…

明日12月7日(土)のMIMIGURIアドベントカレンダーは、エンジニアマネージャーの松木さん!お楽しみにっ!

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