印刷について②〜初めての本づくり その7〜
アカツキノイエより初めて刊行した『やまとかたり あめつちのはじめ』(大小田さくら子 2022)の制作過程を思い出しながら記録しています。
初めての本つくり その4にて大小田万侑子さんの挿絵について書きましたが、ちょうど今、彼女がオリジナルのストーリーで初めての絵本を作り、その原画展(2024/4/19-5/18まで@銀座 ART FOR THOUGHT)が始まっているので、こちらも書かねば!と焦りながらの記憶記録。
なんと、この万侑子さんの初絵本『つゆくさひめ』も、この記事で書いているお母様の著書『やまとかたり あめつちのはじめ』と同じ、藤原印刷で制作中だということ!
偶然ではありますが、そもそも藤原印刷を紹介してくれた絵描きの友人が、画集を制作していた時に良い印刷屋さんだということで紹介してくれたことを考えると、なるほど納得です。
ところで。
2022年4月に思い立って再版することにした『やまとかたり あめつちのはじめ』ですが、6月終わりに束見本ができ、自分たちでもダミーを作ったりして、章によって変えるフォントをギリギリまで悩み、表紙のデザインを確定し、箔の色を確認するため再度藤原印刷に出向いたりもしました。
6月から8月にかけて内容の検討とデザインに費やしながら、決まっていった仕様はこちら。
大きさ:四六判
頁数:48ページ
表紙:仁コットン・青
箔:シルキーマロン
本文用紙:アラベールホワイト 46判Y目130kg
見返し:アラベールホワイト110kgに印刷
製本:上製本(ハードカバー、布張り)+ホローバック製法
こうやって、外枠はどんどん決まっていくのですが、フォントについては最後まで悩みました。
自宅でコピーしたものと、実際の本文校正をみると文字の太さが違い、太かったり細かったり。
教科書体なのか明朝体なのか、ゴシック体なのか。
フォントは各章の印象を大きく変えるような気がして、本当に悩ましい問題でした。
その間、文字の校正にも時間がかかりました。
究極の古典である古事記。
どのように表記を揃えるのか、基準を決めるのは難しく、ルビをどのように振るか、読みやすさも加味しながら、著者の大小田さんと一緒に考えていきました。
それでも、完成したのちにエラーを見つけてしまい、校正を素人がすることの難しさをほとほと実感したものでした。
色校正については、数回行いました。
8月上旬に色校正の一回目が到着。万侑子さんの挿絵が大胆にかわいいデザインで仕上げられ、実際に印刷されたものを見ると、文字と絵が動きながら次のページを誘っているような感覚がして楽しい!かわいい!
色もよくのって、デザインは文句なくいい感じなのですが、フォントについてはまだ悩み、追加で別ページを出してもらい、9月初めにやっと最後の色校正ができました。
色校正は下の写真のような感じで上がってきます。
この本は、8ページごとに糸でかがられ、その6つの束で、48ページを構成します。本来は裏にも印刷されるため、ページはこのように飛び飛びに(見える)印刷されてきます。真ん中で十字にカットされ、それぞれを半分に折って重ねて、8ページのまとまりを作っていくようです。
なんだか頭がこんがらがります^^;
表紙の箔サンプルも、黄色味のゴールドかブロンズ味のあるゴールドか、2色で作成してもらいました。
奥付けに載せる発行所名も悩みの種でした。
初めての本つくりとはいえ、発行所になるという責任と、今後もしもまた本を作ることになった場合に長く使っていく名前になるだろうことから、どんなものがいいのだろう。抽象的なもの、スタジオのある周りの海や山など環境に因んだもの、名前に由来するもの。
いろんな案を出しつつも、<あいうえお>すべての母音を含んでいる明るい印象の名前として、最終的に以前からinstagramなどで使っている屋号の「アカツキノイエ」に決定。
その後も、あとがき、奥付けのテキストが決まり、本の内容と体裁がみえてきました。
そして、9月28日に校了。印刷所に最終データが渡りました。
4月に本作りを思い立ってから、約半年でした。
本つくりには、悩もうと思えばいくらでも悩める箇所があるのですが、この年の11月に春日大社若宮様の20年に一度の御造替奉祝の奉納があり、そこでやまとかたりのメンバーがこの本をもって古事記を朗誦することになっていたので、リミットがあったことも、すっきりと早く仕上げることができて良かったのかも知れません。
その後、あとは完成をただ待つばかり、、、というわけではなく、松本にある藤原印刷本社での印刷に立ち会いもしました!
初めての経験でワクワク♪♪
次はその様子を記憶を遡って記していきたいと思います。
今までの記録はこちら
・本づくりの始まり〜初めての本作り その1〜
・やまとかたり 〜初めての本作り その2〜
・初版本から新装版へ 〜初めての本作り その3〜
・大小田万侑子さんの挿絵 〜初めての本作り その4〜
・デザインのこと 〜初めての本つくり その5〜
・印刷について①〜初めての本作り その6〜