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『もしドラ』とサイボウズのマネジメントを比較して考えてみた #理想のマネジャーってなんだ

サイボウズ新卒4年目の私が「理想のマネジャーってなんだ?」を考えていくこの連載。

まずはじめに、「(世の中で言われている)マネジメント」について知るために、王道な本を読んでみることにした。

私が「マネジメント」について一番最初に頭に思い浮かんだのが、こちらの本。

そう、以前大ベストセラーになった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』──通称『もしドラ』だ。

マネジメントの古典と呼ばれているドラッカーの『マネジメント』の内容をダイジェスト的に楽しく知れるいい機会だと思った(それに、小説じゃないと頭に入ってこなさそうだった……)。

そこで、『もしドラ』を読んでみて、そこに書かれてあった「マネジメント」の考え方や手法を、サイボウズと比較してみることにした。「なるほどなあ」と思う部分もあれば、「あれ、ここはちょっと違うかも?」と思う部分も。

すべて個人の解釈(&マネジメント初心者の解釈)で書いているため、間違っている部分もおおいにあるかもしれない。もし「間違っている!」と思ったら、ぜひツイートやコメントなどで教えてください。


「マネジャー」=「成果を出すために、管理や経営をする人」?

まず、もしドラでは「マネジャー」の定義は「成果を出すために、管理や経営をする人」とされているようだった。たしかに「マネジャー」とは直訳すると「管理する人」となり、「組織として成果を出すために、メンバーの成長や業務を管理する人」という定義はしっくりくる。

しかし副社長の山田さんに話を聞くと、サイボウズではマネジャーの役割は「理想の創造もしくは理想への共感と意思決定だ」、という答えが返ってきた。

たしかに、私の部長(マネジャー)のことを考えてみると、「サイボウズ全体の理想(チームワークあふれる社会をつくること)を達成するために、この部署ではどんな理想を持つべきか」をしっかりと咀嚼して伝えてくれる存在だ、と思った。そして、その上で「成果を出すために成長や業務を管理してくれている」と感じるな、と思った。

サイボウズではマネジャーには「管理」以上に「理想への共感」が求められるのかもしれない。「意思決定」については深く聞けていないので、また今度聞いてみたい。


マネジャーの資質は、「真摯さ」にあり?

そして次に、マネジャーの資質について、こう書いてあった。

最近は、愛想よくすること、人を助けること、人づきあいをよくすることが、マネジャーの資質として重視されている。そのようなことで十分なはずがない。
マネジャーにできなければならないことは、そのほとんどが教わらなくとも学ぶことができる。しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、始めから身につけていなければならない資質が、一つだけある。才能ではない。真摯さである。

これは、サイボウズではどうなんだろう? 正直まだわからなかった。

ただ、サイボウズで大事にしている6つの精神──「公明正大」「あくなき探求」「知識を増やす」「心を動かす」「理想への共感」「不屈の心体」──を総合すると、「真摯さ」につながるとも思ったので、サイボウズで働く多くの人はマネジャーの資質を本来持っているのかもしれない。

サイボウズが大事にしている「マネジャーの資質」については、あらためて山田さんに聞いてみたいと思った。


マネジメントをするためには、まずはじめに『組織の定義づけ』から始める

そして次に、もしドラには「マネジメント」をするにあたって一番はじめに必要なことは下記だ、と書いていた。

あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である

「われわれの事業は何か。何であるべきか」。これはサイボウズではしっかりと定義づけられているな、と思った。サイボウズは、「チームワークあふれる社会をつくる」と会社の理念を決めている。部署単位でも、「この部署はどういうことを目指すべきか」がしっかりと定義づけられている。

この「われわれの事業は何か」は、おそらく組織のビジョンとも言われるもので、チームが同じ方向を目指すためにはたしかに必要不可欠なものだな、と感じた。


顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である

次に、こんな言葉が出てくる。

企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。(中略)顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。
したがって「顧客は誰か」との問いこそ、個々の企業の使命を定義するうえで、もっとも重要な問いである。

サイボウズでは、「顧客は誰か」の問いがしっかりとあると感じた。サイボウズの「顧客」とは、「世界中のチーム」。そして、その「チーム」にはサイボウズの会社自身も含まれるのだと思う。

サイボウズでは、何か事業を起こしたり企画を立てたりするときに、「コンセプト(誰に・何を伝えたいのか)」を共通言語としてもっとも大事にする。これは自然と「顧客」を決めている行為なのだ、と思った。


仕事には働きがいが必要

そして次には、こんな言葉が出てくる。

働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。そのためには、①生産的な仕事 ②フィードバック情報 ③継続学習 が不可欠である。

これも、ある程度サイボウズのマネジメントの仕組みに当てはまると思った。

「①生産的な仕事」に関しては、メンバーひとりひとりの「やりたいこと・やるべきこと・できること」を洗い出し、そのバランスを取りながら仕事内容が決まるようになっている。

「②フィードバック情報」に関しては、マネジャーとの週一回の「ザツダン」と呼ばれる1on1ミーティング、半期に一回の振り返り面談などがある。

「③継続学習」に関しては、サイボウズの大事にしている成長指標に「知識を増やす」「あくなき探究」が含まれている。

こうやってあらためて読み進めてみると、もしドラとサイボウズのマネジメントは一致する点が多く、「おおお」と一人で感動している(笑)。


マネジメントとは、人の強みを発揮させること

次に、こう書いてある。

人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。人とは、費用であり、脅威である。しかし人は、これらのことのゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。

組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある──この考えも、まさにサイボウズの考えと一致していると思った。

社長の青野さんはよく「石垣のようなチームワークを」と言っている。多様な個性を大事にして人の強みで弱みを補いあう。全社としてこの雰囲気はあるように思う。


組織はすべて「成果」に向かうべき?

最後の方に、「組織は成果に向かうべき」というシーンがあった。

組織構造は、組織のなかの人間や組織単位の関心を、努力ではなく成果に向けさせなければならない。成果こそ、すべての活動の目的である。管理の技能や専門的な能力によってでなく成果や業績によって評価される者の数を可能なかぎり増やさなければならない。
成果よりも努力が重要であり、職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない。仕事のためではなく成果のために働き、贅肉ではなく力をつけ、過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければならない。

この部分は、唯一「サイボウズとは違う考えだな」、と明確に感じる部分だった。

私が思うサイボウズは、「努力よりも成果がすべて」という印象は受けないし、「成果や業績によって評価される者の数を可能なかぎり増やさなければならない」と考えるマネジャーも多くはないように感じている。

成果はもちろん大事だとは思うけれど、成果によって評価される者の数を可能な限り増やさなければいけないのだろうか。成果こそ「すべて」なのだろうか。それよりも、サイボウズは「ひとりひとりの幸せ」を大事にしているように思える。ひとりひとりの幸せがあって、そこに成果がついてくるといった考えをしているのではないかな、と。

この部分については、山田さんにぜひ今度詳しく聞いてみたい。


以上が、『もしドラ』に記載されていた「マネジメント」についての考えを、サイボウズに当てはめて考えてみた結果だ。

そして、サイボウズのマネジメントは比較的ドラッカーのマネジメントに近いように感じたが、「成果」を第一の目的に置くか、「ひとりひとりの幸せ」があってその先に「成果」があるのか、という部分に大きな違いがあるように思った。

今回この記事を書く上で、「サイボウズはなんでこのマネジメントの形になったの?」などといった疑問点もたくさん出てきたので、そこはまた調べていきたいと思っている。そしてなんだか今回の記事は壮大になってしまったので(笑)、世の中の現場マネジャーの方々が実際にどんなことで悩んでいるのか、というヒアリングシリーズも始めようと思う。


(つづく)

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