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つれづれ雑記*間違い探し、の話*

 子どもの知育遊びに、間違い探しクイズというものがある。最近では大人の脳トレなどにも使われているらしい。

 上下、または右左に並んでいる2枚の絵。
 まったく同じように見える2つの絵は、実は細かいところが何箇所か違っていて、それをみつけるという遊びだ。

 私はこれが大好きで。
 皆様の中で、某カジュアルイタリアンファミリーレストラン(長い…)のテーブルの上にメニューと一緒に乗っている子ども向けの間違い探しクイズをご存知の方はおられるだろうか。
 私はここへ行くと必ず、これに挑戦する。
 ところが、これが超難問で。間違いは10個あるそうなのだが、今まで、お料理を注文して食べて店を出るまでに全部見つけられたことが一度もない。
 ただ、私の名誉のために言っておくと、ここのクイズが難しいことは有名で、挑戦した子どもが答えが見つからなくて大泣きして困った、というクレームがあったとかなかったとか、よくネットで話題になっている。

 あまり簡単なのもつまらないが、かと言って、あまりに難解なのもひたすらイライラして身体に悪い。ちょうどよい頃合いというのが望ましい。

 我が家が長年購読している某地方新聞の朝刊には、毎木曜日、間違い探しクイズが載っていて。
 私の覚えている限りではずっと同じ作家さんによるものだと思うが、これが実に、ちょうどいいのだ。
 絵のテーマも、そのときどきの季節に合ったものが使われていて、とても楽しい。
 
 先日は、秋だねえ、ということで「サンマ祭り」というタイトル、だった。
 どこかの神社の境内?とか、催しの出来る広場?みたいところだろうか、のれんの下がった屋台に、おそらく炭火の入った細長いグリルがずらりと並び、ねじり鉢巻きのおじさんたちが、トングを手にサンマを焼いている。
 その背後には、忙しそうにテキパキと働くエプロンの三角巾姿の女性たち。手前には、焼きたてサンマを美味しそうに頬張るお客さんたち。
 わー、ええやん、と思いつつ、上下に並んだ、ぱっと見には同じに見える2つの絵を見比べる。

 このクイズはいつも間違いは7つ、ということになっている。
 どれどれ。
  
 あ、この真ん中のおじさんの持っているトング、長さが違う。
 それと、右端のお兄さんの首にかけたタオルの左右の長さが違う。
 あー、それから、子どものお客さんの髪型、おだんごの高さが違うなあ。

 こんなふうにひょいひょいと2つ3つ、わかって、なぁんや、今日のはちょろいな、などとうっかり思うと、ここからがなかなか難しい。

 午前のルーティン終了後のコーヒーを飲みながら、穴があくほどテーブルに置かれた紙面を睨む。
 うーん……。
 右から左。左から右。斜めに見たり、身を乗り出して真上から眺めたり。

 あ、ここだ。屋台の暖簾の位置が微妙に違うのがある。これで4つめ。
 お、ここも。エプロン姿の女性のひとり。腕まくりした袖の高さが違う。5つめ。

 そうこうするうちに、コーヒーはすっかり冷めている。
 あと、2つかぁ。
 ……ここからがさらに難関だ。
 
 あー、わからん。
 えー、これ、ホンマにあと2つもあるん?
 実は今日はこれで終わり、やったりせんの? 
 って、そんなわけないやんなぁ。
 
 いやー、ないやろ。ないない。だってみんな同じやん、って、あー、ここ!
 この遠景のおじさんの襟、丸襟とV襟やん!
 うわ、また細かいとこ、ついてくるわー。
 そやそや、この作家さん、そういうこと、するよね。

 クイズ作家さんにもクセ、というものがあるらしく。このクイズを見るようになってから、どのくらい? もう、1年にはなるかな、そうすると、少しずつ、ポイントがわかってきた(ように思う)。
 この作家さんのクイズは、絵面に人がたくさん出てくることが多いので、それぞれの人の襟元、袖口、靴下、ズボンやスカートの微妙な形や長さの差異、髪型、眉毛の傾き、などをついてくることが多い。そして、ここが重要なのだけど、偏りが少なく、いつも全体にほどよく散らばっている。あと、細かい石畳みとか、あちこちにパラパラと生えてる草とか、そういうセコいところにはない。
 そこが、何というか、フェア感?があって、私は気に入っている。

 お昼が近くなり、後ろ髪を引かれながら別の所用をかたづける。

 そして、夕方、晩御飯の準備をしながらもテーブルに置いたクイズをチラチラ見る。
 あとひとつ。これがなかなかわからない。

 うーん。どこ?どこやねん。
 あー、腹立つ。

 たとえ、わからなくても翌日になれば朝刊に解答は載っているのだけども。いや、絶対にそれは見たくない。何がなんでも自分で見つけるぞ、絶対に負けてたまるか(誰にだ)、と決意を固める。
 
 が、そうこうするうちに、夕食の片付けも終わり、食後のお茶も終わり、風呂にも入り、あとは寝るだけ、となる。

 うわー、まだわからん。
 どこ、どこやねん。
 
 私が新聞を睨みつけて唸っていると家族が「どれどれ」と覗き込み、手を出してきた。
 「わかっても絶対言わんといてよ」と釘を刺しながら、手渡す。
 
 と、家族がテーブルに広げている紙面を逆から見た瞬間、あ、ああー、と声が出る。
 屋台の上にずらりと並んだ提灯。ひとつだけ、その形が微妙に違う。、
 うっわぁー、そこかー。
 こういうときって、改めて見ると、今までどうしてわからなかったのか、それがわからない。わかってみると、まさに一目瞭然なのに。

 人って、結局、自分が見たいものしか、見てない、見えてない。
 ホント、そうだな、としみじみ思う。

 あー、すっきり。
 これでよく眠れる。
 背後で家族が「えー、どこ?全然わからんー」とか言ってるけど、私の知ったことではない。
 答えは、自分で見つけてこそ。
 
 じゃあねー。おやすみ。

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