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スミレの洋食器 9月21日

今日は実家にスーツケースを取りに行きました。10月初旬に夫と本当の意味での傷心旅行へ出かけるためです。9月末に娘の納骨が終わって、一段落したら暖かいところで2人で羽を伸ばそうと思っています。

実家へ行く前日に母から「ねえちゃん」に要らない洋食器をいくつかもらったんだけど、欲しいものあったらもらって、と連絡がありました。
ねえちゃんは母が私を産む前に勤めていた会社の先輩です。会社を辞めてからも仲良くしてもらっていて、私も会うとペコッと挨拶をしたりしていました。
ねえちゃんはセンスが良くて、手先も器用な人なので一時期自宅で陶芸を作っていたりしました。私が中学生の時一度だけ、1人で彼女のお家にお邪魔して一緒にお皿を作ったことがあります。
ねえちゃんは一人暮らしでお子さんもいなかったので、思春期の内気な私の扱いに戸惑ったと思うし、私も私でなんだか申し訳ないなと思いつつも、一緒に陶芸をさせてもらいました。
そんなこんなでねえちゃんも私のことをよく知っていて、私が結婚した時とかにも母づてにねえちゃんの一言褒め言葉みたいなのをもらったりして、密かに嬉しく思っていました。娘の死産もきっと悲しがっていそうだなあ。

話を戻すと、ねえちゃんから譲ってもらった洋食器はいくつかあったのですが、そのなかでスミレ柄の綺麗なお皿とティーポットが目に止まりました。
見たことがない柄だけどきっと良いやつに違いない。調べるとアビランドというフランスの磁器ブランドのものでした。さすがねえちゃん、お目が高い!
バラのように主張は強くないけれど、可憐で優しいそのデザインに惹かれて、ありがたくそれを譲り受けることにしました。
来年実家の近くに引っ越す予定でお家も広くなるので、その時に受け取る予定です。
良いものを母から子へ譲り受ける、なんていうのを聞くととても素敵だけれど、ねえちゃんから譲り受けたものも超素敵!と思ったのでした。

最近お腹の大きい妊婦さんを見るとちょっと胸が痛むようになりました。
今まではあんまりそう思わなかったけれど、予定日が10月中頃だったから、きっと娘と同じくらいの子たちなんだろうなって、胸がキュッとなります。
でもその子たちには元気に生まれてきてね、と心の中でエールを送りつつ、娘に思いを馳せるのです。

スミレの洋食器は、娘のいない未来の楽しみの一つとして咲き続けるのでしょう。

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