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傷心旅行でハワイじゃい① 前日譚

娘を死産した。辛くて辛くてしんどかった。
そんな渦中にそうだ、傷心旅行に行こう。
と、予約して勢いでとったハワイ旅行。
ハワイは私にとってどの旅行先よりも訪れているところだし、
新婚旅行で訪れたのもハワイだった。南国で羽を伸ばしておいで!と母にも背中を押され、ホテルと航空券を手配する。

時をほぼ同じくして、私は適応障害と診断された。
診断したクロックスに鼠色の靴下を履いた男性医師にハワイ行きの話をすると、
「とてもじゃないが薦められない」と難色を示され、薬を多く出され、
面食らってしまった。
え、ハワイってそんなに精神蝕むの???

確かに復職はまだ叶っていないけど、じゃあ私は家の中で鬱々と薬飲んでりゃいいんか?と思ったがもちろん医師にはそんなことを言えず、
ハワイ好きの母に相談すると、
「はああ?ハワイの力をわかってない。そんな薬やめてハワイに行っちゃいな!」
と豪快な打開策を提案してくれ、私もそれに乗ることにした。
その後、会社へ産業医面談に行くとそこで出会った女性医師は、
「私も同じ経験をしたことがあって休んだことがあるんです。とにかく好きなことを、旅行とかしてくださいね」
と伝えてくれて、精神科ってこんなに人によって診断が変わるものなのだと唖然としたりもした。彼女はマルジェラのTシャツをサラリと着こなしていた。

薬からも解放され、すっかり元気になった私はハワイの情報を集めて過ごしていた。
泊まるのはいつもお馴染み、ヒルトンハワイアンビレッジ。ハワイ好きの母がタイムシェアのコンドミニアムを所有しており、お情けステイという訳だ。
YouTubeで調べているなかで何故か入国審査の動画ばかりに目がいった。
最近女性1人の入国に対してアメリカが目を光らせていて、さいあく入国ができないというものだ。
今回夫婦で行くし、私はこれまで一度も入国審査で別室送りにされたこともない。なのに何でこんなに入国審査の動画ばかり見ているんだ?
これは何か違うことを伝えているのかも知れない、と思いふとヒルトンのことを検索すると、ビンゴ!
「ヒルトンハワイアンビレッジ、無期限ストライキに突入」
という数日前に更新された記事を見つけた。
神様、入国審査の動画ばかり執拗に見たくなったのはこっちに気づかせるためだったんですね。
記事を見るとベルボーイや清掃員などが一斉ストライキをしているらしく、
チェックインに時間がかかり、部屋の清掃も入らず、ストライキを起こしている労働組合員たちが早朝から夜遅くまで拡声器と太鼓を抱えて主張しながら練り歩いているとのこと。
休職中のバカンスで、労働の権利主張を聞くことになるのか・・・。
イレギュラーなホテルで本当にバカンスができるのだろうか???
Xに投稿された、赤いTシャツを着て大きな声をあげながら行進する様子を見ながら、不安を抱える旅行前になった。
しかし、こんな不安は全く杞憂となるのである。
ハワイはすごいよ!!!

次回に続く・・・

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