朝焼けをきみに
朝焼けをきみに
朝、目が覚めると、
日が昇ったばかりで、
まだ誰も吸っていない空気とか、
触っていない陽の光を
わたしはベッドの中からそっと感じた。
ねぇ、昨日はどんな気分で眠りについたの?
泣いた?そうだよね。
きっと悔しさとふがいなさでいっぱいだよね。
自分に一番厳しい人だから。
そっと君に問いかけるけど、
答えはやってこない。
わたしは手を伸ばして彼のぬくもりをたしかめるけど、
その大きな背中を震わせて泣く姿を、
そっと抱きしめることしかできなかった。
誰よりも逞しいと思っていた体は
誰よりも小さくなっていて、
ことの重大さを、かみしめているように見えた。
明けない夜はない。なんて簡単なことは言えない。
やっとつかんだこの奇跡は
こうやっていとも簡単に彼の手から離れようとしてしまう。
そんなことはさせはしないと、
私はその奇跡を必死で戻そうとする。
あなたと生きていくと決めたから。
私はそっとその胸に抱かれて、
涙をキスで拭うことをやめなかった。
ふふふと笑うその笑顔が、
ちょっと寂しくて
ちょっとうれしかった。