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広告におけるレシピ提案についてサクッと考えてみる【ひとり編集後記】20250213号

昨日、電車に乗っていたときにふと目に留まったこちらの広告。

「たまには」ということは、基本的にちゃんと作っている人に向けたもの?全然料理はしないけど、「たまに作る料理初心者」にぴったりですよ、ということ?

金麦のレシピシリーズで展開している「さぼレシピ」。
公式Xからもこんな投稿があります。

「さぼレシピ」。
どういうレシピのことでしょう。
手抜きレシピ、というのともちょっと違う気がしますが、大枠ではそういうことなのかな、と受け止めました。

金麦のマーケティングコンセプトは「家時間をたのしむ」です。
そのための要素として「食事」や「料理」は切り離せないもののひとつで、広告の切り口としてレシピが採用されるのは自然な流れ。

じゃあ、どんな人達に向けて「家時間をたのしんでもらう」のか。
前回のコンビニ飯は分かりやすかったですよね。
料理定義はコンビニで買える食材で作れるもの。
紹介レシピから想像するに、ターゲットの属性は
・自炊に抵抗はないがスーパーで食材を調達する時間的余裕はない
・自分のために料理する余裕はある(=一人時間が作りやすい)
・一人暮らしまたはディンクス
という風に、ターゲットの輪郭も明確。

マーケティングは得意分野ではないのでさておき。

じゃあ、「さぼレシピ」って…?
造語は、受け取る側に想像の余地を与える分、何を言いたいのかがあいまいになりがち。
「さぼレシピ」だけなら手抜きレシピのようにも思えるけど、金麦のコンセプト「家時間をたのしむ」とややズレる気も。
きっと、「今日くらいは手抜きを」という背景や、「いつもやってるけどちょっとだけ手間を省いて」というニュアンスが含まれているのだろうと考えてみたのですが、なんだかすっきりしません。

「さぼレシピ」の前にある「たまには」もひっかかります。
「いつも作っているから、今日は簡単に済ませよう」なのか、「料理は得意じゃないけど、これくらいなら作れそう」なのか。

このあと、「さぼレシピ」の第二段、第三弾が登場したときに、「たまには、さぼレシピ」の意図がはっきりするかもしれません。

ちなみに、私がおこがましくも「さぼレシピ」チームのレシピ担当だとしたら、どんなものを提案あるいは採用したいかを考えてみました。

今回紹介されていたレシピは「揚げないえび天丼」ですよね。
このレシピ内容から「さぼレシピ」の定義の解像度をもう少し上げるとするなら
・ちゃんと作りたいけど面倒な工程はムリ、避けたい
・身近な食材で手間暇かけずに作りたい
・一皿で完結できるとベスト
というニーズを満たすレシピのことなのだろうと思います。

さらに忘れてならないのは、ビールが飲みたくなる、という大前提。

うーん、難しい。
前回のコンビニ飯との差別化は・・・?
ビールに合う「さぼレシピ」、難易度高いな。

たとえばこんなストーリー?

仕事で頑張った今日、家に一人向かう電車の中。
誰にも邪魔されない家時間を満喫するなら、出来合いのものを食べるより、自分で作った方が満足感も高いよね。
ちょっとだけ頑張って作って、ビールでも飲もうかな。

という気にさせてくれるレシピとは!?

ぱっと出てきたレピ案はこちら。

  1. コンビーフで作るユッケ丼風
    コンビーフ、温泉卵、にんにくチューブ、小ねぎの小口切り

  2. 豆腐と鯖水煮の冷や汁
    豆腐、鯖缶 きゅうり、しょうがチューブ、みそ

  3. ライスペーパーのとん平焼き
    ライスペーパー、卵、豚ばら肉、キャベツ、ウスターソース

つらつらと書いた思考の流れとレシピ案3つまでで目的駅に到着。
約5分。
いい頭の運動になりました。

普段は担当雑誌の特集や連載でテーマとレシピイメージを考えていますが、広告の切り口としてレシピを採用するときは、どんなふうに仕事を進めているのだろう。
広告の仕事も、とても興味深いです。

たしかに、ほぼえび天丼!

ずっとこのレシピのことを考えていたから、夕飯に作ってみました。
子どもたちに好評。
私も夫もおいしくいただきました。
ビールは、基本的に飲まなくて…サントリーさんごめんなさい…!


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