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AI活用は肯定派だけど【ひとり編集後記】20250218号
先日購入した野菜のパッケージに同封されていたレシピリーフレット。
ぱっと見て、違和感が…。
料理写真の野菜がとってつけたように一番上にのっている、献立の並びがめちゃくちゃ、汁ものの中身が正体不明でお椀のふちギリギリまで入っている、器と料理のサイズ感が微妙にあっていない…。
おそらくAIで作られた画像なのだと思いました。
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上記の料理画像を見て、違和感はありますか?
私はあります。
左側のブロッコリーは炒めた様子がありませんが、右上のブロッコリーには焼き色がついてます。
トマトを加熱したとき、皮はこんなにハリがある状態で残りません。
そもそも、トマトなのか?赤パプリカにも見えるような…?
鶏肉と野菜を一緒に炒めたのか、別々に調理したものを盛り合わせたのか、どっちにもとれる不自然さも気になるところ。
これは実は、私がFireflyで作ったAI画像です。
プロンプトは、「鶏肉の照り焼き 器にはブロッコリーとトマトを添えて 1人分の仕上がり」としました。
こんな簡単なプロンプトでここまで作れるのだから、本当に生成AIの技術はすごいです。
でも、やっぱり作りもの感はぬぐえないです。
レシピ原稿も、AIにお願いすれば、ある程度のものはすぐにアウトプットしてくれます。
例えばこんな感じ。
▼プロンプト
あなたは料理家です。 以下の条件でレシピを作ってください。
#調理時間は10分以内
#卵を使った主菜
#夕食に食べたいもの
#塩分は1.5g以下
#レシピは2人分でまとめる
▼出てきたレシピ
ふわとろ卵の鶏そぼろあんかけ
調理時間:10分
塩分:約1.4g
材料(2人分)
卵 … 3個
鶏ひき肉 … 80g
長ねぎ … 10cm(みじん切り)
だし汁 … 100ml
しょうゆ … 小さじ1(塩分約1g)
みりん … 小さじ1
片栗粉 … 小さじ1(同量の水で溶く)
ごま油 … 小さじ1
塩 … ひとつまみ(塩分約0.4g)
こしょう … 少々
作り方
そぼろあんを作る
フライパンにごま油を熱し、鶏ひき肉と長ねぎを炒める。
だし汁、しょうゆ、みりんを加えてひと煮立ちさせ、水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。卵を焼く
ボウルに卵を割り入れ、塩・こしょうを加えて軽く溶く。
別のフライパンにごま油(分量外)を薄くひき、半熟状のスクランブルエッグを作る。仕上げ
器にふわとろ卵を盛り、鶏そぼろあんをかける。お好みで小ねぎや七味唐辛子をふる。
一見、いい感じのレシピが出てきたと思いますよね。
でもしっかりチェックをすると、しょうゆや塩以外の塩分が考慮されていない(まぁほとんどないですが)、そぼろあんのごま油は材料に入っているのにスクランブルエッグのごま油はなぜ分量外なのか、焼くときの火加減の記載がない、という風につっこみどころがポロポロ出てきます。
よくわかってない制作者が、お金がない、時間がないという理由でもしAIを活用したレシピを作って、それが世の中に出回るとしたら。
こわいですね。
仕事を取られるという意味ではないです。
料理は、それを作って食べる人がいて、レシピ通りに作っても万が一火どおりが甘くて食あたりにでもなったら大変なことです。
さまざまな理由から食事制限をしている人が、塩分量やカロリーを信じてレシピ通りに料理を作ったのに、実はその情報が裏取りされていないものだったとしたら大変なことです。
食べ物の情報を扱うということは、人の健康や命にまでかかわることなのです。
話を私が見たリーフレットに戻しますが、そこに記載されていたレシピは、顔や名前を出している管理栄養士さんが解説をしていたので、信頼のできるレシピなのだと思います。
じゃあ、なぜ画像はAI(っぽい)画像を使ったのだろう。
先にも書いたように、撮影予算がとれなかった、制作スケジュール的に撮影ができなかった、といった理由があるのかもしれません。
仕事の効率化、仕組化、管理などでAIを使うのは大賛成で、私もよく使ってます。
企画書や構成案のベースを作ったり、スケジュールを立てたり、ターゲットの潜在ニーズの掘り起こしでヒントをもらったり。
画像生成AIも、提案書に添えるビジュアルやイメージ画像を用意するために活用しています。
でも、AIで作ったものをそのまま納品物としてお客様に出すことはしません。
それは、やっちゃいけない、と思っているから。
私の信用にかかわることだから。
AIはとっても便利なものです。
でも。
AIが作ったものは本当に信用できるのか。
傷つけたり困らせたりしないものなのか。
胸を張って問題ないといえるのか。
常にアンテナを立てて向き合っていけないと思っています。