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Étincelle

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白い靄が揺蕩う目の前を、一筋の、スパーク。
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#小説

紫電改

モラトリアムが火花、閃光であることを誰も教えてくれなかった

大水と、強風を抜けた先に待つものはなにか
デブリと一筋に揺蕩う過去
empty(husk)をそれが押し固めている

いくつかの両義性
陰惨と赤は混ざることなく、肺を起点として循環していく 

げんえいしがすすむ

成りたくない者、失いたくない費途
さいわいを、尊大に

げんえいしがすすむ

循環する虚構とアフォリズム
ぺたぺたとリンパ腺

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スーパーの電灯と鯖

 片目が潰れた野良猫が喉を鳴らす。相変わらずの佇まいで、軽薄さとは何かを私に教えてくれる。
 「ハロー」
 ピクリとヒゲを動かす。退屈そうに煙草の煙をたった一つの目で追いかけた。薄桃色の皮膚が露わになった腹。禿げていて寄生虫が食った跡が見える。本当にどうしょうもない奴だ。
 残った惣菜をあげたあの日から、奴は此処を寝床にしている。どってりと重い油とヤニ臭いスーパーの裏側で、寛げる場所を見つけたみた

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