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42日目:不動産の税金
42日目は、不動産の税金について学んでいきます。
1.不動産の税金の全体像
不動産に関する税金は、不動産の取得、保有、譲渡、賃貸などの状況に応じて様々な種類があります。それぞれの税金の課税主体、納税義務者、課税標準、税率、特例などを把握することが重要です。
不動産の取得時にかかる税金は以下の4つです。
不動産取得税: 不動産を購入や贈与などで取得した場合に都道府県に納める税金です。固定資産税評価額に3%(原則4%)の税率がかかります。宅地や新築住宅などには課税標準の特例があります。
登録免許税: 不動産の登記を行う場合に国に納める税金です。固定資産税評価額に0.4%~2%の税率がかかります。個人が取得する住宅には税率の軽減特例があります。
消費税: 不動産の売買や賃貸などの取引に対して国に納める税金です。取引金額に10%の税率がかかります。土地や住居用物件の貸付などには非課税取引があります。
印紙税: 不動産の契約書などの文書に対して国に納める税金です。文書の種類や金額に応じて印紙代が決まります。
不動産の保有時にかかる税金は以下の2つです。
固定資産税: 不動産を保有することで市町村に納める税金です。固定資産税評価額に1.4%の税率がかかります。住宅用地や新築住宅などには課税標準の特例や税額軽減特例があります。
都市計画税: 市街化区域内の不動産を保有することで市町村に納める税金です。固定資産税評価額に最大0.3%の税率がかかります。住宅用地には課税標準の特例があります。
不動産の譲渡時にかかる税金は以下の2つです。
所得税: 不動産を売却や贈与などで譲渡した場合に国に納める税金です。譲渡所得に15%~55%の税率がかかります。住宅の譲渡や相続などには特別控除や非課税枠があります。
住民税: 不動産を譲渡した場合に都道府県や市町村に納める税金です。所得税の10%がかかります。所得税と同様に特別控除や非課税枠があります。
不動産の賃貸時にかかる税金は以下の2つです。
所得税: 不動産を賃貸して得た収入に対して国に納める税金です。所得金額に5%~45%の税率がかかります。経費や減価償却費などを差し引くことができます。
住民税: 不動産を賃貸して得た収入に対して都道府県や市町村に納める税金です。所得税の10%がかかります。所得税と同様に経費や減価償却費などを差し引くことができます。
2.不動産を取得したときにかかる税金
1️⃣不動産取得税
不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を購入、贈与、建築などで取得した場合に、取得者に対して課される税金です。不動産取得税は地方税であり、納税先は都道府県です。納税義務者は、不動産を取得した方です。不動産の取得とは、不動産所有権の取得を指し、有償・無償や登記の有無は問われません。相続による取得は除きます。
1.不動産取得税の基本的な内容
不動産取得税の税額は、不動産の評価額に税率をかけて算出されます。不動産の評価額とは、原則として固定資産税評価額と同じです。税率は原則4%ですが、現在、土地と住宅については、特例として3%に軽減されています(令和6年3月31日まで)。また、宅地や宅地と同じ扱いを受ける土地については、評価額の2分の1が課税標準額となっています(令和6年3月31日まで)。
2.課税標準の特例
不動産取得税には、以下のような軽減措置の特例があります。
新築住宅の場合、評価額から1,200万円を控除します。ただし、住宅の床面積が50m 2 以上240m 2 以下であることが必要です。住宅の床面積は、マンションの場合、共用部分を按分して専有部分に加算した面積が基準になります。これを課税床面積といいます。また、認定長期優良住宅に認定された新築住宅の場合、控除額が100万円上乗せされて1,300万円になります(令和6年3月31日まで)。
住宅用地の場合、次の(1)(2)のいずれか高い方の額を土地の税額から控除します。ただし、土地を取得した日から一定の期間内に、その土地の上に住宅が新築されているなどの一定の要件を満たすことが必要です。
(1)150万円×税率
(2)土地1m 2 当たりの価格×1/2×住宅の床面積の2倍(200m 2 が限度)×税率
不動産取得税の軽減措置の特例を受けるためには、申告が必要です。申告期限は、不動産を取得した年の翌年の1月1日から3月31日までです。申告は、不動産の所在する都道府県の税事務所で行います。申告に必要な書類は、不動産取得税の申告書、不動産の売買契約書や贈与契約書などの取得証明書、新築住宅の場合は耐震基準適合証明書などです。詳しくは、税事務所に問い合わせてください。
2️⃣登録免許税
1.不動産の六記
不動産の六記とは、不動産登記の際に必要な書類のことで、次の六つを指します。 - 登記申請書:登記の種類や内容、申請人や登記名義人の氏名や住所などを記載した書類です。 - 添付書類:登記の根拠となる契約書や証明書などを添付した書類です。 - 地図等:不動産の所在や形状、面積などを示す地図や図面です。 - 登録免許税の納付証明書:登録免許税を納付したことを証明する書類です。 - 印紙:登記申請書に貼付する印紙です。登記の種類や内容によって必要な印紙の額が異なります。 - 登記識別情報通知書:不動産の登記識別情報(不動産番号や登記識別情報番号など)を通知する書類です。
2.登録免許税の基本的な内容
登録免許税とは、不動産や船舶、航空機、会社、人の資格などについての登記や登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定や技能証明について課される国税で、流通税の一種です。登記や登録等を受ける者が納税義務者となり、登記や登録等の事務を担当する登記官署等の所在地が納税地となります3。登録免許税は、登記や登録等の申請書に印紙を貼付する方法や、現金やクレジットカードなどで納付する方法などがあります。
3.税率の特例
登録免許税の税率は、登記や登録等の種類や内容によって異なりますが、一部の登記や登録等については、特例措置により税率が軽減される場合があります5。例えば、次のような場合には、特例措置が適用されます。 - 土地の売買による所有権の移転登記等については、令和8年3月31日までの措置として、本則の税率(1000分の15)から特例の税率(1000分の3)に軽減されます6。 - 自己の居住の用に供する家屋の新築・取得に係る所有権の保存・移転登記や抵当権の設定登記については、令和6年3月31日までの措置として、本則の税率(所有権の保存・移転登記は1000分の4、抵当権の設定登記は1000分の4)から特例の税率(所有権の保存・移転登記は1000分の1.5、抵当権の設定登記は1000分の1)に軽減されます。 - 長期優良住宅や認定低炭素住宅の新築・取得に係る所有権の保存・移転登記や抵当権の設定登記については、令和6年3月31日までの措置として、本則の税率(所有権の保存・移転登記は1000分の4、抵当権の設定登記は1000分の4)から特例の税率(所有権の保存・移転登記は1000分の1、抵当権の設定登記は1000分の0.1)に軽減されます。 - 買取再販住宅の取得に係る所有権の移転登記については、令和6年3月31日までの措置として、本則の税率(1000分の2)から特例の税率(1000分の0.1)に軽減されます。
3️⃣消費税
4️⃣印紙税
印紙税は、理解しにくい税金の一つです。一般的には、経済活動にかかわる書類を作成することで「経済的な利益を得る可能性がある」等の観点から、税金が課されると考えられています。
印紙税は、原則として「収入印紙」によって納税します。収入印紙は、印紙税額に合わせて購入し、書類に貼り付けて消印を押します。
印紙税は、紙の書面に対して課税されるもので、電子的な方法で契約などを取り交わす場合は、印紙税がかからない場合があります。
3.不動産を保有しているとかかる税金
1️⃣固定資産税
1.固定資産税の基本的な内容
固定資産税とは、土地や建物などの固定資産に対してかかる地方税です。
2.課税標準の特例と税額軽減特例
土地に関する固定資産税の減税は「住宅用地の特例」と呼ばれ、200㎡までの部分は課税標準を6分の1に、200㎡を超える部分は3分の1に軽減します。
建物に関する固定資産税の減税は、新築住宅の場合に適用され、一定の面積まで、課税標準が固定資産税評価額の1/2になります。
その他にも、特殊な業種の償却資産や文化財保護法に規定する登録有形文化財等の家屋などに対しても、課税標準の減額や軽減率の適用などの特例があります。
2️⃣都市計画税
2.課税標準の特例
都市計画税の課税標準には、一定の条件を満たす場合に適用される特例があります。主なものは以下のとおりです。
住宅用地の特例:居住の用に供する建物がある土地で、小規模住宅用地の特例が適用されないものについては、都市計画税の課税標準額を価格の9割の額とする特例があります。
住宅の特例:居住の用に供する建物で、築年数が20年以下のものについては、都市計画税の課税標準額を価格の9割の額とする特例があります。
火災等による減額:火災や地震などの災害によって土地や建物が損壊した場合、都市計画税の課税標準額を減額することができます。減額の額は、損壊の程度に応じて決められます。
4.不動産を譲渡したときにかかる税金
1️⃣譲渡所得(原則)
1.居住用財産の3,000万円の特別控除
居住用財産とは、自分や家族が居住するために使用している土地や建物のことです。
譲渡した居住用財産に、譲渡の前日までに自分や家族が居住していたこと。
譲渡した居住用財産が、譲渡の前日までに自分や家族の所有していた唯一の居住用財産であったこと。
譲渡した居住用財産の取得費が、譲渡所得の収入金額を超えていたこと。
譲渡した居住用財産の取得日が、平成22年1月1日以降であったこと。
2.空き家の譲渡の特例
空き家とは、居住用財産であって、譲渡の前日までに自分や家族が居住していたが、譲渡の日までに居住をやめた建物のことです。
空き家を譲渡した場合、居住用財産の3,000万円の特別控除の特例と同様に、譲渡所得から最大3,000万円まで控除することができる特例があります。
譲渡した空き家に、譲渡の前日までに自分や家族が居住していたこと。
譲渡した空き家が、譲渡の前日までに自分や家族の所有していた唯一の居住用財産であったこと。
譲渡した空き家の取得費が、譲渡所得の収入金額を超えていたこと。
譲渡した空き家の取得日が、平成22年1月1日以降であったこと。
譲渡した空き家が、相続によって取得したものであったこと。
譲渡した空き家が、被相続人が死亡した日から3年以内に譲渡されたこと。
3.居住用財産の軽減税率の特例
居住用財産とは、自分や家族が居住するために使用している土地や建物のことです。
譲渡した居住用財産に、譲渡の前日までに自分や家族が居住していたこと。
譲渡した居住用財産が、譲渡の前日までに自分や家族の所有していた唯一の居住用財産であったこと。
譲渡した居住用財産の取得日が、平成22年1月1日以降であったこと。
譲渡した居住用財産の所有期間が5年を超えていたこと。
4.特例居住用財産の買換えの特例
特例居住用財産とは、自分や家族が居住するために使用している土地や建物で、居住用財産の3,000万円の特別控除の特例や居住用財産の軽減税率の特例の対象となるもののことです。
※FP3級試験練習問題
問題
次の文章を読んで、(1)~(4)の問いに答えなさい。
Aさんは、令和5年1月1日に、Bさんから土地と建物を購入しました。土地は市街化区域内にあり、建物は令和2年1月1日に新築されたものです。Aさんは、令和5年1月31日に所有権移転登記を行いました。また、令和5年2月28日に、購入した土地と建物に抵当権を設定しました。Aさんは、令和5年3月31日に、購入した土地と建物の固定資産税評価額の通知を受け取りました。その内容は以下のとおりです。
表
種類 面積 評価額
土地 300㎡ 6,000万円
建物 150㎡ 3,000万円
(1) Aさんが購入した土地と建物にかかる不動産取得税の税額を求めなさい。ただし、不動産取得税の税率は3%とする。
(2) Aさんが所有権移転登記にかかる登録免許税の税額を求めなさい。ただし、登録免許税の税率は0.3%とする。
(3) Aさんが抵当権設定登記にかかる登録免許税の税額を求めなさい。ただし、抵当権設定登記の税率は0.1%とし、抵当権の債権金額は9,000万円とする。
(4) Aさんが令和5年度に支払う固定資産税と都市計画税の税額を求めなさい。ただし、固定資産税の税率は1.4%、都市計画税の税率は0.3%とする。
回答
(1) 不動産取得税の税額は以下のようになります。
表
種類 課税標準 税率 税額
土地 6,000万円×1/3=2,000万円 3% 60万円
建物 3,000万円-1,200万円=1,800万円 3% 54万円
合計 114万円
(2) 所有権移転登記にかかる登録免許税の税額は以下のようになります。
表
種類 課税標準 税率 税額
土地 6,000万円 0.3% 18万円
建物 3,000万円 0.3% 9万円
合計 27万円
(3) 抵当権設定登記にかかる登録免許税の税額は以下のようになります。
表
種類 課税標準 税率 税額
抵当権 9,000万円 0.1% 9万円
(4) 固定資産税と都市計画税の税額は以下のようになります。
表
種類 課税標 税率 税額
固定資産税 土地 6,000万円×1/6=1,000万円 1.4%
建物 3,000万円×1/2=1,500万円 1.4%
合計
都市計画税 土地 6,000万円×1/3=2,000万円 0.3%
建物 3,000万円 0.3%
合計
合計 50万円
これらの内容がFP3級試験に役立つことを願っています!