#映画感想
しあわせのかおり (2008) 監督 三原光尋
中華料理は作る過程がダントツに映画映えする料理だと思う。
強力な火力で高温に熱せられ、中華鍋のなかで油が泡立つ。素材が流し込まれジュっと大きな音を立てる。湯気が沸き立ち、一瞬にして艶やかにふっくらと卵が変化する。肉をミンチにしたり野菜を切ったりする時のリズミカルな音。鍋が振られると食材は鮮やかさを増して宙を舞い、小気味よくお玉と鍋がぶつかりあう。手の中で魔法のように小龍包や蟹シュウマイが包み上が
風雲 ストームライダーズ (1998) 風雲之天地雄覇/THE STORM RIDERS 監督 アンドリュー・ラウ
1998年だから、今から20年以上前、「マトリックス」の1年前の映画です。はっきり言ってストーリーの深みとか登場人物の心の機微とかはあまり期待しないでおきましょう。マンガの世界が映像になった、痛快B級映画と言っていいと思います(原作は本当にマンガだそうです)。DVDがすごく安くなっていたので、思わず購入して再見しました。
とにかくこの映画との出会いの印象が強すぎました。初めて観たのはなんとタイの
モンゴル (2007) MONGOL 監督 セルゲイ・ボドロフ
義経=ジンギスカン説。
もしかして、このちょっと荒唐無稽な伝説を監督が知っていて、わざわざ日本人の浅野忠信をテムジン(チンギス・ハーン)役に持ってきてたら面白いな、なーんて思いながらオープニングを観ていたら、いきなり「1192年」とテロップが出たのでビックリ。いい国つくろう鎌倉幕府? ますます疑念は深まるのでした… なんつって(現在は1192年より前だったって説が有力なようです。娘の歴史の教科書
抱擁のかけら (2009) LOS ABRAZOS ROTOS/BROKEN EMBRACES 監督 ペドロ・アルモドバル
アルモドバル監督の映画を見る時は、どんな色彩、部屋の内装、風景、劇中劇を見せてくれるのだろう? という興味で観ているような気がします。
レナとマテオの逃避行先のファマラのホテルの部屋。鮮やかで明るいのにかげりを感じさせるブルーの壁にオレンジの花柄のソファ。海岸で、男の赤のシャツの背中をそっと抱きしめる女の深緑色のニット。補色がいつも効果的に使われています。
登場人物たちの思いも、色のように鮮や
恋するベーカリー (2009) IT'S COMPLICATED 監督 ナンシー・マイヤーズ
原題は「It's complicated」。複雑なんです!
なぜなら…
10年前に離婚した夫は子供たちのパパで、共通の知人も多いから、ことあるごとに顔を合わせちゃう。これがまた口がたつし、憎めない男なんですよね。
それに10年も経ったら憎しみだとか辛かった気持ちがようやく薄れてきて、おそらくは更年期もようやくやり過ごして、なんか楽しかったことばかり思い出してしまうみたい。
ああ、でも酔った
エターナル・サンシャイン (2004) ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND 監督 ミシェル・ゴンドリー
映画を見終わった後、ケイト・ウィンスレット扮するクレメンタインのタンジェリン色の髪の色がいつまでも記憶に残ってしみ込むような余韻。ミシェル・ゴンドリー監督の作品が好きってこともあって、私の好きな映画の、かなり上位に食い込んできています。
記憶消去手術なんて奇想天外で超現実的なストーリーなのに、そこから抽出されるのはリアルな恋愛のエッセンス。性格がまったく逆の2人が惹かれ合い、その違いゆえにうんざ
ロシュフォールの恋人たち (1966) LES DEMOISELLES DE ROCHEFORT/THE YOUNG GIRLS OF ROCHEFORT 監督 ジャック・ドゥミ
大雨の日、「シェルブールの雨傘」を観ようかと思ったけれど、時間が合わず、こちらの鑑賞となりました。だけど、大正解! 冷たい雨の憂鬱さなんて完全に忘れてました。見終わって、ただただハッピーです。
ミシェル・ルグランの時に軽妙な、時に切ない旋律に
ジョージ・チャキリスや、ジーン・ケリーのダンスに
美しいドヌーブと、その実の姉のフランソワーズ・ドルレアック(この映画の翌年に25歳の若さで交通事故死
迷子の警察音楽隊 (2007) THE BAND'S VISIT 監督 エラン・コリリン
「チェット・ベイカー、知ってる?」
アレクサンドリア警察音楽隊の二枚目君のお決まりの口説き文句はコレ。相手の女がポカンとしていれば、目を見つめながら「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」口ずさむ。これを初めての異国(しかもエジプト人にとってのイスラエル)で、インフォメーションで行き先を聞きながらやっちゃうもんだから、行き先を間違っちゃう訳です。っていう導入がなかなか自然でいい感じでした。
エジプト
南極料理人 (2009) 監督 沖田修一
笑ったー。どストライクでした。おなかを抱えて大笑いって感じとも少し違って、グフフフ… 笑いの連続。途中からなんだかもう、箸が転んでも、雪の上を走っていてコケるだけでもおかしい、みたいなループに入ってしまいました。
一連のエビフライネタ。たたみかける「今エビって言った?」「今エビって言った?」静かだけど執拗な ♪エッビフライ コール。そして出来上がったエビフライの絵面… 伊勢エビのヒゲが邪魔でよけ
やわらかい手 (2007) IRINA PALM 監督 サム・ガルバルスキ
最近マリアンヌ・フェイスフルが新型コロナ肺炎で入院していたみたいなんですが、退院したというニュース(https://www.barks.jp/news/?id=1000181651)を見て、この映画のことを思い出しました。
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マリアンヌ・フェイスフルと言えば、あの峰不二子のモデルになったとか、ミック・ジャガーの恋人だったとか華々しい過去が有名です。でも彼女が38年ぶりに主演
ミッドナイト・イン・パリ (2011) MIDNIGHT IN PARIS 監督 ウディ・アレン
とっても観たかったんですよね。ウディ・アレンの描くパリ。
今回の主人公はオーウェン・ウィルソン。「ダージリン急行」でお兄ちゃんやってた人です。彼がすごく良かった。
彼については「幸せのはじまりは」って映画を見た時にも印象に残ってました。スターで稼ぎはいいけどちょっと頭の弱いプロ野球選手。結局ヒロインの子は彼から去ってゆくのだけど、それが残念に感じられるほどいい味だしてました。朴訥で人が良くてち
(500)日のサマー (2009) (500) DAYS OF SUMMER 監督 マーク・ウェブ
フリーハンドでビルが描かれてゆくオープニングを見た瞬間から、ああ、絶対に好きな映画、って思いました。
トム君のへなちょこ具合がどーしようもなくかわいいんです。建築家を目指していたけれど、挫折してグリーティングカードの会社で働く彼。運命の恋を信じているけど、恋した子に声もかけられない彼。声をかけるまえに勝手に深読みして落ち込み、友達を巻き込む彼。一瞬、恋がうまくいったようにみえて世界が薔薇色になり
のだめカンタービレ 最終楽章 前編 (2009) 監督 武内英樹
311の後に書いた感想なんですが、状況が今とちょっと似ていてなんだかそわそわします。今見るといい映画なのかも。
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あの震災以来、つい夜中にネットで原発についてとかいろんな意見や見解を探しては見入ってしまい、その結果寝不足になり気持ちは落ち込み、どうしようもなくなる、というループが続いちゃってます。自分はもう年齢的にもどうなってもいいけど、子供のことは守らなくちゃいけな