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『お探し物は図書室まで』失敗して自分を嫌いになったとき、そっと寄り添ってくれた本
❐仕事歴20年のベテランだと思っていた自分が、仕事で失敗をしたこと
1ヶ月ほど前、私は仕事で大きな失敗をして自信をなくしていました。私は勤めている事務所の所長で一番上に立つ立場にいます。
ある時、私が接客したお客様に対して自分では気が付かないうちに気持ちを傷つけてしまっていたようで、契約をキャンセルされてしまいました。
そしてそのことを所内で一番若く、仕事において能力に足りない面があると時折注意していた部下から知らされたのです。
お客様は私に会ったあとその部下と会い、気持ちを打ち明け契約を終了したいと相談したのです。
彼女からそれを知らされた時は本当にショックで恥ずかしくて、世の中から消えていなくなりたいと思いました。
そんな時に手に取ったのがこの本です。
傷ついた自分の気持ちをどう扱えばいいのかわからず、この本のタイトルに答えを求めたのかもしれません。
❐あらすじ
お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?
人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。
彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。
仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。「本を探している」と申し出ると「レファレンスは司書さんにどうぞ」と案内してくれます。
❐私が感じたこと
第一章から、物語の出来事が自分と重なって泣いてしまいました。この章の主人公は20代の女のコで、若い世代のお仕事の悩みを中心としたストーリーに共感出来るのかな、と思っていたらそんなことは関係なく、各章20代から60代までそれぞれの年代の物語が自分のことのように思えとても共感できたのです。
実は先に綴った契約を打ち切られた出来事の後にも、理不尽なことで別のお客様からクレームを受けたりもして心がボキボキに折れていたので、この本の優しさが胸に染みたのだと思います。
青山美智子さんの文章は読んでいて身体にすーっと素直に入っていく感覚、読みやすくて、でも軽くない、心にぽっと温かさを残してくれる文章だと思いました。
何が起こるかわからない世の中で、今の自分にできることを今やってるんだ (本文より引用)
まわりのバリバリ仕事が出来るように見える同業の所長達を羨んだり、出来ない自分を卑下したり落ち込むのはもうやめよう、私にできることをやる。
目の前にあるやるべきことを精一杯、丁寧に真摯に向き合う、その積み重ねで人生を変えられるかもしれない、そう思えたのです。
主人公たちが物語の最後に司書さんに報告をすると、言ってくれる言葉があります。
その言葉を私も作者の青山さんに言ってもらったような気がしました。ぜひ小説を読んで体感していただければと思います。
一章がちょうど良い長さなので毎日一章ずつ読み進めていくのもおすすめです。
私は面白くて一気に読んじゃったんですけれどね。
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