ワンシーンだけ引っ提げて
好きな映画はいろいろあるから選べない
けど一番好きなシーンだったら一つ迷わず選べる
それは 存在の耐えられない軽さ
主人公テレザは眠るとき誰かと手を繋いでいないと眠れないのだけど
同床異夢
ベットを共にするトマシュはもともと誰かと共にベットで眠ることのできない体質なものだから
イタシタ後に眠るテレザの手に自分の代わりに本をそっと握らせて
自分はすうっとベットから身を滑らせて起きるシーンがあるのだけど
今回書こうと思って、あれ、テレザが本を握らせて眠るのはトマシュの方だったかしらと記憶があやふやでネットで調べてみようとしたけど
勿論最初から見直せば確認はできるのだけど
全編見どころだらけの美しい映画の中でそのシーンは特筆すべきものでは全然ないから見つからない
別に民主主義じゃないし勝ち負けが多数決で決まる訳じゃない
マイ・フェイバリットシーンが
Googleが探せないくらい些細なことで逆に良かったと思うくらいだけれど腹立つことにGeminiは探してきよる💢
要らんがな教えて欲しくないねんオマエには
と思ったけどやっぱスゲエなAIと慄いた
本当はずうっと、朝目が覚めるまで神が二人を分かつまで手を繋いでいればいいにと思うのだけど
トマシュは今でゆうところのヤリモクで(ヤリモクって何の略語なの?シケモクならまだイメージできるけど??)あっちこちで浮名を流しているモテ男なんだけど、寝るときは自分一人自分のベットでないと寝れない
孤独な人なんだと思う
テレザが病気でトマシュの前に現れちゃったもんだから無下に追い返せなくってしゃあなしに自分ちに泊めることにしてベットも眠りも共にするスペシャルな関係になった
けどやっぱりトマシュは二人では眠れないで
手を繋いで眠りたいテレザの手を握って眠るふりをするけれど
自分の手の代わりにそおおっと本を握らせて
自分はベットから身を滑らせて一人起きる
そして多分他の女のところにイタシに行く
ああ悲しいふたりは幸せに暮らしましたとさなんて
日本昔話のおじいさんとおばあさんみたいなハッピイエンドは訪れない
ふたりの間にあるのは悲しい嘘
トマシュだと思って握っているのはそれは本だよテレザ
太平の眠りを貪ってる場合じゃねえ、起きろテレザ
あの男はサビーナのところに行くんだよと画面越しに叫びたいけれど
テレザはトマシュに本を握らせてもらって幸せそうに眠る
一人かもねむの赤毛のチンコとどっちがいいねんと言われたら
そら優しい嘘の方がいいねん
けどテレザはトマシュの軽い嘘を見抜かないわけがないし見えないふりして傷ついて
嘘に気づかないふりに耐えかねて女のマンコの臭がするあなたの髪を洗ってって切れ散らかしちゃう
一番シアワセな場面の中に
スッと滑り込ませた優しい軽い嘘に
あああ、目を覚ませ!とも思うし
目を覚まさないで!とも思うし
千ぢに乱れるとはこのことかと思うけど
自分が引き裂かれるような思いと
短いシアワセに一緒に浸って眠りたい気持ちに同時になる
悲しみの中にシアワセがあって
幸せの中にカナシミがある
それを可視化してくれる優しいシーンが
存在の耐えられない軽さの中にあって
そのアンビバレンツ それが忘れられないのだけど
それをふと思い出したのは
年明けに、あけおめの挨拶に母の高校の同級生で私の離婚の師匠の春子さんと話していて
春子さんはウイスキー飲んでベロンベロンでご機嫌さんだったのだけど
幾つになっても自分の中でありありと立ち昇るシーンってない?チコちゃんには?
あるでしょう?
そういうのある人だよ絶対と絡んでくるから
うん、あるよって
記憶の引き出しから引っぱってきた
ほらねえあると思った
私?私のワンシーンはね
小学校4年生の時に読んだ路傍の石
路傍の石の吾一がね、ひとり食卓に座って
ゆらああって立ち昇る茶碗から湯気をじっと見ているのよ
そのシーンがね
私にも全く同じ瞬間があったことを
強烈に思い出させてくれるのよ
スッと立ち昇る一本の湯気がね
今こうして話していてもまざまざと浮かぶし
そのシーンを一生賭けて探しているような気がするのよって
心象風景と言ってしまえば
一言だけれど
私には私の
春子さんには春子さんの
1枚の景色があってなぜかそれが刺さったまま生きる
なんのこっちゃわからんと言う人もいるだろうし
赤毛あいつやっぱ頭オカシイわ
メンヘラ認定とインスペクテッド検閲済みにハンコ押す人もいるかもしれないけど
実際熱量はあるけど自分でも自分の言ってることはよくわからない笑
知らんがなって岡田さんみたいに呟いて
十歳にもならない自分の脳裏に一瞬焼き付けられた景色を70年近く守り続けている人に私もなりたいし
その景色のバトンを受け継いで生きようと思う
アジカンのエスカーに
サムネで江の島の砂浜を貼り付ける
この少年たちがスリーピースバンドみたいで
くるりのジャケ写みたいだなあと
早くも今年の一枚を撮ってしまったと思ったけど笑
トンビが糞を落とすんじゃないかとヒヤヒヤしながら見上げた正月の江の島の空は青かった
やったこれぞストーカーチックな聖地巡りの完成形じゃ
時空はズレても同じところに立ったというだけで
頬を伝う涙
発症から引き算するとこの日に感染したとしても
これで風邪を引いたんだとしても
何の後悔もないと言い切れる!
職場には言えないけど汗
長い紹介文
そらそうよ熱量が違うもの