正負の法則 美輪明宏さん受け売り かつ自分バイアスかかってます
美輪明宏さんの紫の履歴書をご存知だろうか。その人生は波乱万丈でとてもここではご紹介しきれないけれど、その本の中で、正負の法則に言及されている。
乱暴なほどにザックリ簡単に言ってしまえば、人生、生きていれば良いこともあれば悪いこともある。凄おく良いことがあった時には、逆にその後に凄おく悪いことが起きる時とセットで、人生のプラスとマイナスの収支は帳尻あってるんだという理論だ。
別に丸ごと同意したり信仰の門を叩いてもいない、そんな風にビターアッと因果が呼応しているのなら、神と仏がいるのなら、この世に悲しみも苦しみも不条理もないと思う。
ただ、分不相応というか、持てない荷物を持ってはいけないという気はする。
父が高級住宅や大使館の多いエリアでよいお客さんに恵まれ小商いを営んでいたのだけど、お子さんの居られないあるご夫婦には息子同然に可愛がっていただいていた。子供の私たちも、帝国ホテルのクリスマスディナーショーに招待され、そこには毎日NHKで見ていたプリンプリン物語のプリンプリンが来ていて、金を出せばプリンプリンも来てくれるのかと目を見張った記憶は鮮明だ。
サバティーニでイタリアン、銀座天国で天ぷら、野田岩でウナギ、聘珍樓で北京ダックと、ザご馳走を一家でご馳走になり、Bunkamuraで中村紘子さんのショパンを聞かせて貰ったし、シルクドソレイユや劇団四季も見せて貰った。重くてもう使わないからと和光のお誂えのバックを妹とそれぞれ頂いたこともあった。成人のお祝いに銀座の宝石店で好きなのを選びなさいとショーケース前に座らされてうん十万のネックレスを妹と二人プレゼントしていただいた。
惜しみなく愛情とお金を注がれるというのは、こういうことなんだと肌身にしみて感じて育った。
お返しにできたのは、学校はどうだい?と聞かれて、小学校のクラスのお友達のことや、先生のこと、遠足のことを精一杯面白く話して、おじさんとおばさんを笑わせること位だった。
ご夫婦は、聖路加レジデンスにお住まいだったが、その相続人に父を指定していた。赤の、他人の、ただのオカカエ商人みたいな関係の人間を。
そして、いよいよ、というときに、父は奥様のご兄弟に、父の小さな商店の株式と引き換えにするという条件で、相続を放棄して譲渡した!
その譲渡のお食事会は両家の最後の晩餐となり、しれっと一対一のトレードを装う慇懃無礼な鍋島藩の末裔だというご家族に、唾を吐きたい気持ちを抑えて、マズイマズイ高級な焼き肉を乃木坂で食べた。
何億だったんだろう?
私の相続じゃないし、口を挟むことでない。父の選択、結論だ。
何年も経って、あの時、相続しなくてよかったね、と父に言うと、そうだよ、あんなのもらったら大変だよ、人生狂っちゃうよ、返してよかったんだよ、あの人たちなら扱いに慣れているからね。とサラリと言っていた。
そうは言っても鼻先人参、何億かの不動産をぶる下げられて、要りません、分不相応ですからと断る冷静さを持てるだろうかと、意地汚く捕らぬ狸が皮算用をしている夜に。
願いましては〜 ポンポコポン♪
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